『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』家族の悩みを抱えるあなたにアダム・サンドラーが最高の演技を!

『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』

ノア・バームバック脚本・監督のNetflix映画『マイヤーウィッツ家の人々』を観賞しました!最近ノア・バームバックにはまってます。こんな人たちいないでしょ!と思う登場人物たちに、気づくと共感してしまっている自分がいるのです。

出演は、アダム・サンドラー、ベン・スティラーと本来ならどちらか1人で映画が一本撮れちゃいそうな豪華なキャスティング。

親との関係、兄弟姉妹との関係など切っても切れない家族間の問題を、面白おかしく、そして時には悲しく描いたコメディヒューマンドラマ『マイヤーウィッツ家の人々』をネタバレでご紹介します。

写真出典:『マイヤーウィッツ家の人々』より

『マイヤーウィッツ家の人々』作品情報

原題:The Meyerowitz Stories (New and Selected)

公開年:2017年

監督:ノア・バームバック

出演:アダム・サンドラー、ベン・スティラー、ダスティン・ホフマン、エマ・トンプソン、エリザベス・マーヴェル

上映時間:110分

配信元:Netflix

『マイヤーウィッツ家の人々』あらすじ

離婚したばかりのダニー(アダム・サンドラー)は、18歳の娘を連れて父親(ダスティン・ホフマン)と継母(エマ・トンプソン)が住むニューヨークのアパートに引越してきた。

中年にさしかかった3兄弟、ダニーと妹のジェーン(エリザベス・マーヴェル)、そして半分血が繋がっているマシュー(ベン・スティラー)は、決して仲が良いわけではないが、共通点があった。それは、彼らは大人になった今でも父親の大きな影響下にある、という点。元大学教授で彫刻家の父親ハロルドは、年老いた現在でも奔放で傲慢で、子供たちは彼に振り回されてばかり。ある日父親が病に倒れたことで家族の絆が深まるかと思いきや・・・

(C)Netflix

『マイヤーウィッツ家の人々』キャスト

アダム・サンドラー(役名:ダニー・マイヤーウィッツ)

ハロルドの長男で離婚したばかりで(長年主夫をしていたため)無職。18歳の娘がいる。ピアノが上手。

ダニーを演じるのは、ニューヨーク出身のユダヤ系アメリカ人俳優のアダム・サンドラー。スタンドアップコメディアンとしてキャリアをスタートさせた。

1998年の『ウォーターボーイ』、そして名作『ウェディング・シンガー』でハリウッドのコメディアン俳優としての地位を獲得した。1999年の『ビッグ・ダディ』、2004年の『50回目のファースト・キス』ではドリュー・バリモアと競演し、ラブコメも出来る俳優として躍進。2011年の『ジャックとジル』では、最低の映画に与えられるラズベリー賞を受賞してしまうなど酷評を受けたが、その後は2004年『スパングリッシュ 太陽の国から来たママのこと』のようなヒューマンドラマに多く携わるようになる。

2008年6月から2009年6月までの1年間で「最も稼いだ男優」のランキングでは2位と発表された。

ベン・スティラー(役名:マシュー・マイヤーウィッツ)

ダニーと母親違いの弟。投資家として成功をおさめているが、妻とは別居中。幼い息子が1人いる。

マシューを演じるのは、ニューヨーク出身のコメデイ俳優。両親、そして姉も俳優という俳優一家。

1990年から1991年に『ザ・ベン・スティラー・ショー』13話が放映される。キャメロン・ディアスの出世作ともなった1998年の『メリーに首ったけ』は大ヒットを収め、2000年の『ミート・ザ・ペアレンツ』ではロバート・デニーロと義理の親子関係を演じ大成功。続編として2004年と2010年に『ミート・ザ・ペアレンツ2』『ミート・ザ・ペアレンツ3』がリリースされた。

ダスティン・ホフマン(役名:ハロルド・マイヤーウィッツ)

元大学教授で、彫刻家としてはそこそこ名が知れている。3度の離婚を経験。

ハロルドを演じるのは、現在82歳のダスティン・ホフマン。カリフォルニア出身の俳優。1967年の名作『卒業』でアカデミー主演男優賞ノミネート、また1969年の『真夜中のカーボーイ』でもノミネートされたことで、一躍脚光を浴びた。

1979年の『クレイマー、クレイマー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞、1988年にトム・クルーズと競演した『レインマン』ではサヴァン症候群を持った難しい役どころを演じ、興行的にも大成功をおさめ、2度目のアカデミー賞主演男優賞を受賞した。
2004年『ミート・ザ・ペアレンツ2』、2010年『ミート・ザ・ペアレンツ3』でベン・ステラー演じるゲイロード“グレッグ”・フォッカーの父親役をコミカルに演じた。

エマ・トンプソン(役名:モーリン)

ハロルドの4人目の妻。料理が下手。

ハロルドのアル中の妻を演じるのは、デイム(Dame)の称号を持つエマ・トンプソン。ロンドン出身の女優、そして脚本家。
両親、妹も俳優という芸能一家。1989年に『彼がステキな理由』で映画デビュー

1993年に『ハワーズ・エンド』でアカデミー賞主演女優賞を受賞。翌年の『日の名残り』でもアカデミー賞主演女優賞を続けて受賞。1993年の『父の祈りを』では7部門においてアカデミー賞各賞にノミネートされ、エマ・トンプソンも助演女優賞にノミネートされた。

イギリスの作家、ジェーン・オースティン 『分別と多感』原作の1995年の『いつか晴れた日に』では、主演のエマ・トンプソンが脚本も担当し、アカデミー賞主演女優賞にノミネート、そして脚色賞を受賞した。

エリザベス・マーヴェル(役名:ジェーン・マイヤーウィッツ)

ダニーの妹でマシューにとっては母親違いの妹。地味でごくごく普通のオフィスワーカー。

ジェーンを演じるのは、カリフォルニア出身の女優で、主に舞台で活躍。『Misalliance』などの作品でトニー賞に次いで権威があるオビー賞を受賞。

映画では、2012年に『ボーン・レガシー』、『リンカーン』、『私が愛した大統領』など。

『マイヤーウィッツ家の人々』感想

『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』
写真:Netflixより

多くの映画監督がそうであるように、ノア・バームバック監督も作る映画のテーマに一貫性があり、本作品『マイヤーウィッツ家の人々』も2005年の『イカとクジラ』と似たテーマ・親子関係に焦点を置いたヒューマンコメディドラマです。

先にも書いたようにアメリカ2大コメディアン俳優、アダム・サンドラーとベン・スティラーの豪華競演で、父親役はダスティン・ホフマンに継母役にエマ・トンプソンとアカデミー賞受賞経験者の名前がずらりと並び、観る前から期待が高まりましたが、本当に良かったです!

親子関係・兄弟関係問題

描かれるのは、ハロルド(ダスティン・ホフマン)とその子供たちダニー(アダム・サンドラー)、マシュー(ベン・スティラー)そして、ジェーン(エリザベス・マーヴェル)の複雑で喧嘩が絶えない親子関係・兄弟関係です。

父親のハロルドは、自己中心的で、支配的でナルシストで奔放。
元大学教授で若いときは少し売れた彫刻家だが、人生も晩年にさしかかり、自分が芸術家として世に広く認められていないことに苛立ちを覚えている。

彼の二人の息子は、ファイナンス会社を経営し成功をおさめているマシューと、離婚したばかりで長年主夫をしていたため無職のダニー。彼には映画監督を目指す19歳の娘がおり、良い親子関係を築いている。

『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』
写真:Netflixより

ダニーは離婚し父親ハロルドを一時的に頼ってニューヨークに引っ越してきたものの、到着して間もなくハロルドが「仕事を得る気はあるのか?いつまでウチに住むつもりか?2,3日ならいいけどすぐ住む場所をみつけろ」とサラッと言われてしまいます。

中年に差し掛かった男が住む家もなく、そして職も無く両親の家に転がり込んでいることにダニー自身も静かに苛立ちを覚えているのですが、慕う父親に言われたことで傷つきます。

あるシーンでダニーが「いっそのこと、父さんが、僕が怒り狂うようなとんでもなく酷いことをしてくれてたらいいのに・・・だけど、その代わりに小さな嫌なことを毎日ちょろちょろ、ちょろちょろ、ってするんだ。」(英語で観ているので、日本語訳は実際のものと少し違うかもしれません)

ここで、はぁ~とため息と共に私は共感してしまいました。あまりにも現実味があるセリフ。
そうなんですよね、親子関係ってこんな感じですよね。怒り狂うほどのことではないかもしれない、でも、嫌だと分かっていることを子供にネチネチ言わずにはいられない親。誰もが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』
写真:Netflixより

そんな折、父親が散歩中に転んで頭を強打したことが原因で脳内出血で倒れる。それをきっかけに3兄弟が再会し、自然に関係を深めていけるチャンスを得る。

父親がベッドに横たわっているそばで、マシューは父親の病状を医者に頼りっきりではなくしっかりと把握すべきだ!医者の言うことは全てメモれ!とダニーとジェーンに言います。次のシーンでは、3兄弟が必死にメモっている姿が滑稽で笑えます。そして、病院で担当ナースや医者が突然変わったりして3兄弟が慌てふためく「病院あるある」も最高です!

どんなに長年の恨みつらみがある父親でも、兄弟一致団結して必死に面倒見ようとする彼らの愛情にほっこりさせられます。

『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』
写真:Netflixより

そして、エリザベス・マーヴェル演じる地味で静かな妹ジェーンの存在感もこの家族のダイナミックをバランスよくしていました。

生死をさまよった父親が退院し家に戻るのですが、性格はもちろんそのままなので、相変わらずダニーたちは振り回されます。そこで、ダニーが父親に放った言葉は・・・

『マイヤーウィッツ家の人々』は、ノア・バームバックの新たな代表作となること間違いなしです。誰もが経験する親との人間関係。そして、中年に差し掛かっても多くの人が今なお自分の人生に悩んでいる。この映画は、多くの人の心の機微に触れる少し重いテーマを俯瞰的な視点から観るからクスッと笑えてしまうのかもしれません。

人生に悩んでいて、ちょっと苦しいなぁ、と感じているあなたの心のカウンセリングになりそうな映画です。

『マイヤーウィッツ家の人々』はNetflixでご覧になれます。