Netflix海外ドラマ「クイーンズ・ギャンビット」あらすじ、ネタバレ感想&解説 実話なのか?タイトルの意味は?緑の薬は? 

2021年1月17日

Netflix海外ドラマ「クイーンズ・ギャンビット」

Netflix海外ドラマ「クイーンズ・ギャンビット」は、2020年11月時点で63カ国で視聴率ナンバーワンを取得し、Netflixのシーズン完結型シリーズにおいて今までで一番多く世界中で観られた作品となっています。

主役は映画『サラブレッド』のアニャ・テイラー=ジョイ。脇は映画『ラブ・アクチュアリー』のサム役のトーマス・ブロディ=サングスター、ベテラン名俳優ビル・キャンプらが名前を連ねています。

ここでは、大人気Netflix海外ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』のあらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想、そして、実話なのか?タイトルの意味は?緑の薬は?などについてお話します!

Netflix海外ドラマ「クイーンズ・ギャンビット」あらすじ

1950年代。孤児院で育つ内向的な9歳の少女ベス・ハーモン(アニャ・テイラー=ジョイ)は、ある日、用務員のシャイベル(ビル・キャンプ)がチェスをしているのに興味を示し、彼からチェスの遊び方を教えてもらうことに。

すぐにベスはチェスプレーヤーとしての才能を開花し、養子縁組した母親アルマ(マリエル・ヘラー)と共に10代で数々のチェス大会で勝利し賞金を稼ぐようになる。

しかし、孤児院で与えられていた精神安定剤の中毒になっており、ドラッグと酒に溺れるようになっていく。

Netflix海外ドラマ「クイーンズ・ギャンビット」キャスト

アニャ・テイラー=ジョイ(役名:ベス・ハーモン)

役柄:母親を交通事故で亡くして以来孤児院で育つ。10代にして天才チェスプレーヤーとなる。


アニャは14歳まで父親の母国アルゼンチンとイギリスを行ったり来たりして過ごしたそうで、スペイン語が流暢に話せる24歳。(2021年1月時点)*1

モデル出身で、2015年の映画『ウィッチ』でスクリーンデビューを果たし、その後も映画『スプリット』などのホラー映画で高評価を得たことから”スクリーム・クィーン”と呼ばれるように

2017年の映画『サラブレッド』のリリー役、2019年には大ヒットイギリスドラマ「ピーキー・ブラインダーズ」のマイケル・シェルビーの妻ジーナ役など人気作品への出演が続いています。

 

トーマス・ブロディ=サングスター(役名:ベニー・ワッツ)

役柄:チェスプレーヤー。後にベスのコーチを買ってでる。


あの映画『ラブ・アクチュアリー』の子役サムがこんなに大きくなって~。

現在30歳ということは、サム役を演じたのは13歳ということになりますね。。ベビーフェイスだからでしょうか、当時もっと幼かったかと思ってました。

ちなみに映画『ラブ・アクチュアリー』の主役を演じたヒュー・グラントとは血縁関係

さすが血は争えない!彼の演技力も高く映画『ゲーム・オブ・スローンズ』のジョジェン・リード役、映画『メイズ・ランナー』『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』などに多数出演しています。

ビル・キャンプ(役名:シャイベル)

役柄:ベスがいる孤児院の用務員。ベスにチェスを教える。


ビル・キャンプは、アメリカを代表する名脇役!癖のあるキャラクターを演じさせたらピカイチです。
映画『リンカーン』、映画『ワイルドライフ』、連続ミニシリーズドラマ「ザ・ナイト・オブ」などに出演。

モーゼス・イングラム(役名:ジョリーン)

役柄:ベスと同じ孤児院で育つ唯一の黒人。ベスの親友。


2019年にイェール大学のドラマコースを終了後、本作品でデビュー。

初出演した作品がNetflixの大ヒット作だなんてラッキーですね!出番は少ないですが、重要な役どころです。

Netflix海外ドラマ「クイーンズ・ギャンビット」ネタバレ感想

本作品は、原作がウォルター・テヴィスの同名小説「クイーンズ・ギャンビット」(The Queen’s Gambit)。

配信と同時に高評価がつき大ヒット作品となり、Netflixによると今までのシーズン完結型シリーズの中で一番売れた作品だそうです。

そうなんです。本作品、シーズン完結型(scripted limited series)ということで、全7話で完結します。

しかし、シーズン完結型と言っても、設定は同じままでキャストとお話が変わりシーズン2が製作されたというlimited series作品もありますので、本作品も違う形でまたお目にかかるかもしれません。

「クイーンズ・ギャンビット」とにかく面白い!!!

私はチェスのことは全く知りませんが、観ていて本当に面白かったです!

チェスの試合中のあの緊迫感、スピード感、そして若干10代の少女が大の大人の男性を次々にチェスでメッタ倒しにする様は気分爽快!

また、ベスというキャラクターも良かったです。

内向的でお喋りではないけど芯の強さを内に秘めたようなそんな少女なのです。

ベスは、ベスの母親と二人暮らしですが、母親が精神的に不安定で経済的にも決して裕福でない様子。

その後、母親が自殺と見られる交通事故で亡くなったことから孤児院に預けられます。そこの院長はフレンドリーですが、とても厳しく子供達を静かにするために薬物を投与しています。

緑の薬は原作者ウォルター・テヴィスの経験に基づく

本作品は実話ではなく、主人公ベスは作者ウォルター自身をモデルにしているわけではありません。しかし、彼の少年期の経験に基づいて描かれています。

ウォルターは少年期にリウマチ熱を発症し、その静養のために子供専門の療養所に送られ、そこでは主人公のベスが孤児院で毎日飲まされていた緑の薬のようなものをウォルターも飲まされていたそうです。*2

ドラマの中ではXanzolamと言っていますが、実在する薬ではありません。

ウォルターが飲まされていたのは、フェノバルビタールという向精神薬で、後にウォルターは「療養所で1日三回も飲まされたことで薬物依存症になりそれがアルコール中毒への引き金となった」と語っています。

チェスとシャイベルとの出会い

ベスは孤児院で用務員シャイベルがチェスをひとりでしている様子を目にし、すぐさまチェスに魅了されます。

シャイベルに頼み込んでチェスを教えてもらうのですが、すぐに天才少女ぶりを発揮!

この時のビル・キャンプ演じるシャイベルの抑え込んだベスの才能に驚く驚愕の表情がめちゃくちゃ良かったです!さすがビル・キャンプ!

その後、やっとベスが養女にもらわれ幸せになったかと思えば、そこの両親が離婚し経済的に厳しくなるなど次々と困難が押し寄せます。

しかし、どんな困難もチェスとシャイベルがベスを救ってくれるのです。

ベスが初めてチェスの大会に出場する際、参加費10ドルが払えずシャイベルに「10ドルを貸して。チェスで勝ったら返すから。」という手紙を送るとシャイベルが10ドルを送ってくれベスは無事大会に参加することができたのです。

ただ、ベスはこの10ドルを結局シャイベルに返すことはなかったんですよね・・・それは、わざと返さなかったというより、頭の中はチェスでいっぱい状態でそのうち忘れてしまったのかもしれません。

シャイベルが他界し葬儀に参列した後に昔自分がいた孤児院のシャイベルの用務員室を訪ねると、そこにはベスの活躍が報じられている新聞記事の切抜きが壁に何枚も貼られていたのです。

これを知り、今までどんなに辛くても涙を見せることのなかったベスが泣き崩れるシーンは、こちらも涙腺崩壊でした。

シャイベルは、ずっとずっとベスのことを遠くから見守ってくれていたのですね。

母親アルマ

ベスがアルマの養女になったこともベスのチェス人生において大きな出来事でした。

ベスがやっと養女として引き取られて幸せになるかとおもいきや、養父は留守がちでそのうち帰ってこなくなり(多分他に女が出来たため)、生活が困窮し始めます。

ベスは賞金目当てでチェスの大会に参加するのですが、養母はそれをベスと友人のように楽しみ、お供料として10%の手数料を取るというかなりちゃっかりした人。

でも、ベスを愛していたのは確か。ただ、甘ったるい愛情を注ぐのではなく、ベスに寄り添うような。

そんな養母のベスに対する接し方は、今まで愛情というものを知らずに育ったベスには丁度良かったのでしょう。

そして「手数料は15%ね」という太っ腹なベスがカッコイイ!

アルマは、ベスが自分のチェスに対して弱気になって教本を焦って読んでいる時も「直感は本の中にはない」と言って、ベスに自信をもたせ、直感でプレーするベスに的確なアドバイスをくれるのでした。

しかし、そんな幸せも長くは続かず、アルマは病死します。
そして、寂しさからアルコールと薬漬けになるベス。

友人に恵まれる

アルコール、薬漬けになるベスの様子は正直観ていてきつかったですね・・・

でも、友人に助けられるのですよ。どんなときもベスは。

まずは、ベスが初めて参加したチェスの大会で対戦したハリー。このハリーを演じているのはなんとあの映画『ハリー・ポッター』のダドリー・ダーズリー役を演じたハリー・メリング!


すっかり痩せていい味を出している俳優さんになりました。

ベスが酒に溺れているとき、ハリーはベスを訪れ心配してくれてました。

トーマス・ブロディ=サングスター演じるベニー

もう1人はトーマス・ブロディ=サングスター演じるベニー。彼はハリーより強いチェスプレヤーで、ベスとは大会で初めて出会います。

ベスのチェスのコーチ役を買って出て、自分の狭いニューヨークのアパートで特訓が始まります。

この時のベスとベニーのかけひきが面白いっ!

ベスはベニーに対して男性として興味があるのにベニーは全く興味がない感じ。

でもベスがチェスでベニーをこてんぱんに負かした途端ベスに興味を示すベニー。

べにーが「オレの髪、まだ好き?」ってベスを誘う台詞がセクシー!!!

モーゼス・イングラム演じるベスの親友ジョリーン

そして、忘れちゃいけないモーゼス・イングラム演じるベスの親友ジョリーン。

孤児院ではベスを導いてくれ、お姉さん的な存在でした。彼女は孤児院で唯一の黒人で結局誰にも引き取られず大人になるのですが、屈折した様子が全くなく、常にポジティブ。

ベスが、彼女のスポンサーだったクリスチャン団体の方針に同意できずお金に困窮した際、ロシアへの渡航参加費用を貸してくれたのはジョリーンでした。

ジョリーンがロースクールへ行くための大事な資金。

ベスが「あなたは私のガーディアンエンジェル」と言うとジョリーンが

「何言ってるの!私はガーディアンエンジェルなんかじゃない。
二人で一緒にいれば私達は孤児じゃなかった。あなたを守るために私はいるのではなく、あなたが私のそばに居て欲しいから私はここにいるだけ。家族だから。」

というようなことを言うシーンはもう号泣!

ベスは、実の親には恵まれなかったけど、友人達に恵まれたのですね。

1つだけ文句を言うと、このジョリーンの出番がもっとあったら良かったなぁと思います。でも、たった全7話だと色々と難しかったのかな・・・

モスクワでチェスのクィーンに!

ジョリーンからお金を借りて無事モスクワでの大会に参加するのですが、この最終話がもう最高に良かった!

モスクワでは絶対酒を飲むな、とアドバイスされていましたが、観ている方としては、また飲んじゃうんじゃないか・・・と心配で、思わずドキドキそわそわしてしまいました。

そして、大会の風景も良かったですね。大御所プレーヤーたちが紳士的で素敵♪

マスターチェスプレーヤーのボルコフが以前大会で仲間達とチェスの戦略を練っていたのですが、私その時に初めて知りましたが、チェスって1人でするものではないのですね。

もちろん、試合は1人でしますが。

モスクワ行きの件で揉めて「もう電話してくるな」と言ったベニーやケンカ別れしたハリー、そして忘れちゃいけない双子のプレーヤーたち、みんなが戦略を練ってベスに電話をしてくれてきた場面はベタで青春映画みたいかもしれませんが、シンプルに嬉しかった!

最後大会で優勝した後、真っ白なコートに真っ白な帽子、そして真っ白なブーツでモスクワの街中を歩く様子はクィーンの貫禄でしたね。

Netflix海外ドラマ「クイーンズ・ギャンビット」トリビア情報

題名「クイーンズ・ギャンビット」の意味

本作品の題名「クイーンズ・ギャンビット」の意味は、チェスのオープニングの1つだそうです。駒の配列の名前ですね。

ごめんなさい。それ以上は・・・(笑)

役者陣は実際にチェスをプレーしてる!

ちなみに、ベスが1対1でチェスをプレイしている場面や時間制限で多くの人と1人でプレイする場面、すべての駒の配置はプロのチェスプレーヤーによって監修されており、実際に俳優達が駒を動かしているのも決してデタラメに動かしているのではなく、ルールにのっとってプレイしてます*3

俳優さんって凄いですよね~。つまり、台詞だけでなく駒の動きの順番全てを覚えて撮影に挑まれたというわけです。

まとめ

Netflix海外ドラマ「クイーンズ・ギャンビット」は、恵まれない孤児だったベスが自分の才能と努力、そして周りの人たちの支えでマスターチェスプレイヤーになるまでを描いた反骨精神溢れるサクセスストーリです。

また、当時の男性社会(特にチェスの世界)の中で、女性のベスが堂々と立ち回る様子も観ていて気分爽快でしたね。

決して「おしん」のように惨めに耐える、というのではないのです。

ベスは、人の目なんか気にせず我が道を進む。飄々としています。

そのため、周りの人を傷つけたりしますが、そのキャラクターも人間味があって好きですね。

チェスなんか興味ない、と思われた方も観始めたらベスとチェスの魅力にはまるの間違いなしです!

海外ドラマ「クイーンズ・ギャンビット」はNetflixで配信中!

 

参考:

*1 https://en.wikipedia.org/wiki/Anya_Taylor-Joy
*2 https://en.wikipedia.org/wiki/Walter_Tevis

*3 https://www.cnet.com/news/the-queens-gambit-on-netflix-ending-explained-and-all-your-questions-answered/#:~:text=Is%20it%20based%20on%20a,by%20American%20novelist%20Walter%20Tevis.