イギリス王室ドラマ『ザ・クラウン』シーズン2 マーガレットの婚約破棄?感想と解説 4話~6話
今回も前回に引き続きNetflixイギリス王室ドラマ『ザ・クラウン』シーズン2のエピソード4からエピソード6までの見所やあらすじ、ネタバレ感想をお届けします。
そして、オルトリナム卿はエリザベス女王を批判した?マーガレットのポートレートが新聞に載った?など史実と答え合わせしながら解説もしたいと思います!
写真出典:Netflix
『ザ・クラウン』シーズン2 4話から6話
『ザ・クラウン』シーズン2の4話ではマーガレットと写真家アンソニー・アームストロングジョーンズの馴れ初めが描かれます。これって皇室の話??と思うほどスキャンダラスなお話で、マーガレットが他界しているからとはいえ、日本では絶対ありえないですよね。
5話では、エリザベスの女王としての危機が描かれ、一般市民といかに乖離しているかジャーナリストに非難されます。
6話は、ショッキングな内容で、過去のウィンザード公爵とナチスの交流が暴かれ、エリザベスはまたもや苦悩することとなります。
キャストの詳細については、イギリス王室ドラマ『ザ・クラウン』シーズン2 フィリップが浮気?感想と解説 1話~3話をどうぞ。
以下、青の部分が史実との答え合わせになります。
4話ー2人だけの秘密 あらすじ
写真出典:Netflix
ピーター・タウンゼントのことをまだ引きずっているマーガレットは、長年の友人ビリー・ウォレスからの結婚の申し込みを受ける。
エリザベス女王の許しを得、エリザベスとフィリップの結婚10周年記念パーティーで婚約発表するはずだったが、その当日、ビリーが友人たちとピストルでの一騎打ちを試み怪我を負ったことを知ると、マーガレットは婚約を破棄する。
皇室恒例の誕生日ポートレート撮影にマーガレットは臨むが、クィーンマザーとマーガレットの好みが一致せず、パーティで出会った写真家アンソニー・アームストロングジョーンズに写真を撮ってもらうことに。
アンソニーのスタジオで写真撮影が行われ、マーガレットはそのうちの一枚を新聞社に送るように頼み、翌日マーガレットが両肩を出した写真がヌードを連想させるものだったため、世間を驚かせる。
マーガレットの婚約破棄は本当?
ビリー・ウォレスとの婚約破棄は事実ですが、その理由はドラマ内のような一騎打ちではなく、ビリーがバハマで浮気をしたことが原因とされてます。
で、このビリーですが、「俺がぺらぺら喋らなかったら」とか言っていたそうで、いやいや、そこが原因じゃないでしょ、って思わず言いたくなりますね。
マーガレットのポートレートが新聞に載った?
これは実際にあったことです。(下の写真がその時のものです。)
1959年のマーガレットの29歳の誕生日ポートレートをアンソニーに撮ってもらっており、ドラマ内のようにデコルテラインから上部が撮影されたもので、写真家アンソニーとマーガレットの親しさを十分うかがわせるものだったそうです。
1つだけ事実と違う点は、ドラマ内では何のアクセサリーもつけていない写真でしたが、実際はネックレスとイヤリングを付けていました。
(c)GETTY IMAGES
5話ー操り人形 あらすじ
写真出典:Netflix
新聞記者のオルトリナム卿が、エリザベス女王が自動車工場でした演説を「上流階級スピーチスタイルだ」と新聞記事で批判。
その後、メディアや市民はオルトリナム卿を批判し、テレビ局前ではあるひとりの男に顔をひっぱたかれるという暴行事件が起きた。
オルトリナム卿は自身の本意を説明すべくテレビに出演し「私は皇室の存在を支持している。ただし皇室が今後存続する為には戦後の一般モダン社会に追随すべきだ」と発言すると世論もそれに同意するようになった。
マックミラン首相が、世論では皇室廃止の動きが出ていることをエリザベス女王に告げると、エリザベスは、オルトリナム卿と面会し、アドバイスを受けることに。
オルトリナム卿はエリザベス女王を批判した?
オルトリナム卿は、実在する人物で1957年8月にエリザベス女王を新聞記事で実際に批判しています。
その内容は、英語で“pain in the neck”「聞くに堪えない」という表現を使ったもので、女王のスピーチスタイルを時代遅れとし、女王おかかえのスピーチライターをするどく批判しました。
「彼らの身分は上流階級過ぎて20世紀のイギリス庶民の生活を全く反映しておらず、皇室にとってそれはダメージである」というものだったそうです。
オルトリナム卿は、貴族でしたが、仕事の場ではジョン・グレッグという名前を使い、貴族の称号は1963年に返還していますので、ある意味、地に足の付いた庶民的な人物だったのかもしれません。
実は、オルトリナム卿は、エリザベスの戴冠式の年1953年にも同じような「皇室は時代遅れ」的な発言をしているのですが、当時エリザベスは市民に人気があったために彼の発言は誰からも相手にされなかったそうです。
しかし、1957年の彼の発言に市民やメディアは興味を示しましたので、その頃はちょうど王室に対する世論の風潮が変わっていった時だったといえるでしょう。
オルトリナム卿が暴行されたのは本当?
実際に、オルトリナム卿はテレビ局前でフィリップ・キングホーン・バービッジという64歳の元兵隊に飛びつかれ顔をひっぱたかれました。
バービッジは、英国王党派のメンバーで忠誠心あふれる愛国家で、のちに裁判所で裁判官に「オルトリナム卿の皇室に対する下品な攻撃は、イギリス国民として嫌悪感をあらわすべきだと思ったからした」と暴行の理由を説明。
1ポンドの罰金判決を受け、裁判所前ではメディアに向けて「フィリップ王子がして欲しいことをしたまでだ」と発言したそうです。
オルトリナム卿は女王と面会した?
実際にエリザベス女王とオルトリナム卿が面会したかどうかは、記録も残っておらず、これはドラマのフィクションとしてみたほうがよさそうです。
しかし、実際にその頃から、皇室は変わり始め、1957年からエリザベス女王は、クリスマスメッセージのテレビ放送を始めています。
6話ー暴かれし過去 あらすじ
写真出典:Netflix
1945年、ドイツ・テューリンゲン州にてヒトラーの通訳が所持していたトップ機密の書類がアメリカ軍隊によって発見される。イギリス人の通訳家によって翻訳された内容は驚愕のもので、それを知ったウィンストン・チャーチルはジョージ6世に報告。これらの文章は絶対にリリースされることがあってはならないとされた。
1958年、エリザベスはウィンザード公爵から職探しのために渡英したいという手紙を受け取る。女王により渡英を許可されたウィンザード公爵は、イギリスにいる自身の取り巻き立ちに自分の役職の斡旋を頼むのであった。
隠蔽されたトップ機密の文章がイギリス人歴史学者により発見され、マーバーグファイルとして名前がつけられると、マックミラン首相はエリザベス女王にその事実を報告。
当時のことを知るクィーンマザーと秘書は、隠蔽した書類の中身の一部をエリザベスに説明。その中身は、ウィンザード公爵とナチスの有力者たちとの深いつながりを示すものであった。
ウィンザード公爵はナチスと交流があった?
6話の内容はほぼ史実に沿ったものです。ここ数十年で様々な情報が開示され、ウィンザード公爵がナチスに対し相反する態度をとっていたことが明らかになっています。
1945年に見つかった書類は本来であれば1世紀以上に渡って隠蔽されるはずだったもので、当時の労働党も文章が漏れるのを必死に食い止めようとしたとされています。
当時の首相、ウィンストン・チャーチルは、ウィンザード公爵を再度王位に戻すというナチスの企みが書かれた電報のやり取りの全てを隠滅しようとしたとされ、フランス政府とアメリカ大統領アイゼンハワーに宛てた懇願する文章が見つかっています。
これらの文書は外務大臣アーネスト・ベヴィンによって保管されていましたが、1996年にはロンドンの公文書館で一般に公開されました。
また、エドワード8世と妻のウォリス・シンプソンがヒトラーと笑顔で握手している写真や映像なども残っており、また、二人がヒトラーの屋敷や工場などにも訪問した記録が残っています。
1997年にはアメリカ元外務省勤務のポール・スウィート著の「ウィンザードファイル」が出版され当時の詳細が記されています。
『ザ・クラウン』シーズン2は、Netflixでご覧になれます。
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