映画『わたしは最悪。』あらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想 撮影裏話などの情報も!

映画『わたしは最悪。』

映画『わたしは最悪。』は2021年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門で女優賞を受賞、2022年アカデミー賞では国際長編映画賞と脚本賞の2部門にノミネートされたノルウェーのロマンティックコメディドラマ。

まずはタイトルに惹かれたのですが、いやあ観て良かった!!!ひょとしたら今年で一番良かった映画かもしれません!
女性向けの映画かと思いきや、2回目は旦那と観たのですが男性でも色々と響くところがあるらしく、多くの人がとっても共感できる映画ではないでしょうか。

ここでは、映画『わたしは最悪。』のあらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想、そして撮影裏話などのトリビア情報もお届けしたいと思います。

映画『わたしは最悪。』作品情報

原題:The Worst Person in the World

公開年:2021年

監督:ヨアキム・トリアー

脚本:エスキル・フォクト、ヨアキム・トリアー

出演:レナーテ・レインスベ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー、ハーバート・ノードラム

上映時間:128分

配給:ギャガ

映倫区分:R15+

映画『わたしは最悪。』のあらすじ

30歳になったユリヤは、自分が何をしたいのか分からず、ただ気持ちが思うままの方向に流され仕事を転々としていた。ある日15歳年上の漫画家アクセルに出会う。

幸せな日々を過ごしていたが、少しずつ何かが違う・・・という違和感を覚え始め、オスロの街をさまよっている時に招待されていないウェディングパーティーに紛れ込む。そこでユリヤはカフェで働くという若い青年アイヴィンと出会い、意気投合するものの連絡先も交換せず別れた。

しかし、しばらくしてユリヤが働く本屋で運命的な再会を果たす二人。アイヴィンとハッピーエンドになるのか・・・

映画『わたしは最悪。』キャスト

レナーテ・レインスベ(役名:ユリヤ)


役柄:30歳でシングル。両親は離婚しており、父親との関係はあまりよくない。本屋の店員。


ノルウェー・オスロ出身。34歳(2022年7月時点)。本作品の監督ヨアキム・トリアーの2011年の作品『Oslo, August 31st』でデビュー。そこでアクセル役のアンデルシュ・ダニエルセン・リーとも共演しています。

その後は2015年くらいからコンスタントに本国ノルウェー製作の映画やテレビに出演。本作品でカンヌで女優賞を受賞しましたので、今後ハリウッドへ進出というのも十分あり得る、今一番期待できる女優さんです。

アンデルシュ・ダニエルセン・リー(役名:アクセル)

役柄:漫画家。40代。


ノルウェー・オスロ出身。母親がノルウェーでは著名な女優さんだったこともあり、11歳で子役としてデビュー。本作品の監督ヨアキム・トリアーの常連。

私生活ではモデルと結婚し二人の娘がいます。医学部を卒業。役者業の間に臨床医としても働いており、コロナパンデミック中はワクチンセンターで管理者として従事。

ハーバート・ノードラム(役名:アイヴィン)

 

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役柄:カフェで働く青年。彼女と暮らしている。


2009年ころから主にテレビドラマで活躍。現在34歳(2022年7月現在)
あまり私生活を明かさない俳優さんですが、歌手のエミリー・ニコラスと事実婚で娘さんが一人いるそうです。

映画『わたしは最悪。』ネタバレ感想

*ネタバレしてます。

物語は序章と12章と最終章から成り立つ内容構成で、上質な大人の恋愛小説を映画化したような素晴らしいストーリーでした。役者陣もとっても良くってハーバートもアンデルシュも全くタイプの違う俳優ですが、ヒロインのレナーテとのケミストリーが抜群でした。

ところどころに、皮肉やユーモアがちりばめられていて思わずクスッと笑っちゃいますし、サウンドトラックも最高!そして何よりオスロの自然や街並みが素敵ですし、キャラクターたちが住むちょっとアンティークでおしゃれなアパートなどなど見どころがたくさん!きっと何年後も繰り返し見ちゃう映画です。

舞台はノルウェーのオスロ。レナーテ演じるユリヤは30歳になっても自分が何をすべきかが分からず、とりあえず思いついたら何でもトライするという女性。恋愛に関しても同じで気が合えばすぐ付き合ってみるが、長く続かず毎回自分からふってしまう・・・

これだけ書くと確かにユリヤは男性目線から見ると「最悪」なのかもしれない。そして、ユリヤの医大にも合格する知性とカメラを仕事に出来るほどの感性とすぐに彼氏ができちゃうほどの美貌を妬む女性陣からしても「最悪」なのかもしれない。

でも、私は見ていて爽快だったんですよね。そして、はたから見るとただ自分勝手な女に見えるユリヤも、自分の気持ちに正直に生きつつも恋愛を通して相手の気持ちを考えるようになっていく。

人生って本当に計画通りになんかいかない上に、次から次へと様々な難題が押し寄せ、場面場面で選択を迫られる。
だれもが経験することですが、私はその選択する場面で理性より本能に近いものを選んだ方がいいような気がします。ユリヤはアクセルとのいわゆる正しいであろう付き合いを止め、気持ちが赴くままにアイヴィンの胸に飛び込んでいきます。

結局、アクセルは亡くなりアイヴィンとは別れてしまいますが、この過程で彼女が学んだことは計り知れないものでしょう。何が正しいかなんて誰にも分からないのです。だから、私はユリヤの生き方が好きですし共感します。

私はユリヤよりだいぶ年上ですが、いくつになってもああでありたい。たった一度の人生。もっともっと自分を愛してあげていいと思う。もっともっと自己肯定感を高くもっていいと思う。

それが時には他人を傷つけることかもしれません。でも、生きている以上、人を傷つけないなんて無理なんですよね。確かに質の悪いものは困りますが、ユリヤは常に正直。二股かけたりせず、アクセルと別れてからアイヴィンと暮らし始めます。

完璧を目指さず、周りの価値観に惑わされず、同調圧力になんか負けず、ユリヤのように生きてみたら人生悩むことはあっても案外楽しんで生きられるかもしれません。

映画『わたしは最悪。』撮影裏話・トリビア情報

ユリヤを演じたレナーテ・レインスベというノルウェーの女優さんを観たのは今回が初めてでしたが、素晴らしい!彼女の心の機微を表現するときの表情がたまらなかった!笑っているんだけど心は泣いている・・・という時の顔が今でも目に焼き付いています。

黒のドレスに身をまとった様子はとってもクールな女性という印象だったかと思えば、アクセルやアイヴィンとじゃれあっている時は本当に愛くるしくてチャーミングでいろいろな魅力をもった女優さんです。

そして、本編はノルウェー語で演技していますが、さすが欧州人だけあって英語の発音が上手!(16歳の頃にスコットランドのエデンベラで過ごしたことがあるそうですが。)*1

ちょっと話がそれますが、日本人はバイリンガルでもない限り、どうしても日本語訛りな英語の発音になってしまいますが、欧州圏の人が英語を発っするとRとかLの発音が綺麗で違和感がないんですよ。

うらやましい・・・

と話をもとに戻すと、彼女の英語もご多分に漏れず素晴らしいので、ぜひぜひハリウッドでも活躍して欲しいです!

女優、辞めるはずだった?

ユリヤ役のレナーテは、コンスタントに一年一本ほどの映画に出演していますが、実は本作品のオファーが来る前日に女優を辞めるべきかどうか悩んでいたそうです。*2

そんな時に監督からレナーテにあてがきする形でユリヤのキャラクターを作り上げていきたいというお話があった、とのこと。

ドラマチックですよね~。レナーテも自分のキャリアに疑問や不安を持っていた。ある意味ユリヤはレナーテだったりするのかもしれませんね。

時が止まったシーン

ユリヤがアイヴィンに会いに行くときにスイッチをパチッとオンにして時を止めてしまう、というとってもチャーミングで面白いシーンがありますが、このシーンはCGなどは一切使っておらず、実際に役者さんたちが動かない状態で撮影が行われたそうです。

実はユリヤがアイヴィンのいるところに走っていく時に二人の少女が手を繋いでいるのですが、よーく見ると小さい子の方の体が少しだけフラッと動いているんですよね。監督もそれにすぐ気づいたようですが、OKを出したそうです。*3

特別にCGなどを使わず役者を使ったことで、リアリティ感が増しましたしとっても良かったですよね。マジカルなシーンでした!

映画『わたしは最悪。』は、2022年7月1日(金)より全国順次ロードショー。

 

参考:
*1 https://www.youtube.com/watch?v=lS-qtkRvwx8
*2 https://www.youtube.com/watch?v=XQl0CZy7yu4
*3 https://www.youtube.com/embed/6PMuhApQoeo