映画『WAVES/ウェイブス』あらすじ、ネタバレ感想 親にもティーンにもおすすめ!
前評判がかなり良かった映画『WAVES/ウェイブス』ですが、アメリカ・ヨーロッパで公開後の評価は10点満点中7.9という微妙な数字でしたので、興味を持って試写会で視聴してきました!
ある家族が悲劇からどうやって立ち直っていくのかという家族の再生を2つのパートに分けて描いたお話で、前半の主人公を『イット・カムズ・アット・ナイト』のケルヴィン・ハリソン・Jrが演じ、後半の主人公には「ロスト・イン・スペース」テイラー・ラッセルが演じています。また、Netflix大ヒットテレビシリーズ「THIS IS US」でランダルを演じているスターリング・K・ブラウンが父親役で脇を固めています。
ここでは、映画『WAVES/ウェイブス』のあらすじ、キャストの紹介、そしてネタバレ感想をお届けします。
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映画『WAVES/ウェイブス』作品情報
原題:Waves
公開年:2019年
監督・脚本:トレイ・エドワード・シュルツ
出演:ケルヴィン・ハリソン・Jr、テイラー・ラッセル、レネイ・エリース・ゴールズベリイ、スターリング・K・ブラウン、ルーカス・ヘッジズ、アレクサ・デミー
上映時間:135分
配給:ファントム・フィルム
映倫区分:PG12
映画『WAVES/ウェイブス』あらすじ
家族4人でフロリダ南部で暮らす高校生タイラー(ケルヴィン・ハリソン・Jr)は、成績優秀でレスリング部のスター選手。美人のガールフレンドのアレクシス(アレクサ・デミー)と青春を謳歌していた。
父親(スターリング・K・ブラウン)は厳しくとても弱音を吐ける相手ではないが、関係は良好で誰もが羨むようなファミリー。しかしタイラーは肩の負傷により選手生命の危機を告げられ、同時にガールフレンドのアレクシスの妊娠が判明したあたりから、運命の歯車が狂いだし、やがて悲劇的な事件が起こる。
1年後、事件以来すっかり自分の殻に閉じこもってしまった妹エミリー(テイラー・ラッセル)の前に青年ルーク(ルーカス・ヘッジズ)が現れる。
兄タイラーと同じくレスリングをする彼はあの事件を知っているはずなのに・・・
映画『WAVES/ウェイブス』キャスト
ケルヴィン・ハリソン・Jr(役名:タイラー・ウィリアムズ)
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役:ウィリアムズ家の長男。運動も勉強も優秀。
ルイジアナ州出身、1994年生まれ。
2012年『それでも夜は明ける』で端役としてデビュー。
2017年『イット・カムズ・アット・ナイト』のトラヴァス役で一躍注目を浴びる。
本作品の公開を受け、英国アカデミー賞 ライジング・スター賞にノミネートされた。
テイラー・ラッセル(役名:エミリー・ウィリアムズ)
写真出典:映画『WAVES/ウェイブス』公式サイトより
役:タイラーの妹。
カナダ、バンクーバー出身、1994年生まれ。
2012年、テレビシリーズ『Emily Owens, M.D.』に端役で出演。
2013年『If I Had Wings』で映画デビュー。
2018年~Netflixドラマ『Lost in Space』でメインパートのジュディ役をゲット。
本作品で恋人役のルーカス・ヘッジズとお付き合い中だとか。(2020年5月21日時点)*1
スターリング・K・ブラウン(役名:ロナルド・ウィリアムズ)
写真出典:映画『WAVES/ウェイブス』公式サイトより
役:タイラーとエミリーの父親。家族を愛しているがタイラーに成功して欲しいがために厳しい。
アメリカ・ミズーリ州出身、1976年生まれ。
幼少期はミドルネームのKelby(ケルビー)をファーストネームとして使い16歳のときにスターリングに変更。彼の母親によると、彼が幼稚園生のときに自分で決めたそう。
スタンフォード大学で演劇を学び、2002年公開の映画『Brown Sugar』のリック役でスクリーンデビュー。2002年~2004年のテレビシリーズ『サード・ウォッチ』警官エドワード・デイド役で出演。2004年『ER』、2006年『FBI 失踪者を追え!』、2011年『グッド・ワイフ』、2014年『メンタリスト』など数々の話題作に出演。
2016年、ミニシリーズ『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』の検事クリストファー・ダーデン役で、エミー賞助演男優賞を受賞。
2016年~現在に渡り配信中のNetflixの大人気ドラマ『THIS IS US』のランダル役でエミー賞主演男優賞、ゴールデングローブ賞男優賞を受賞。
レネイ・エリース・ゴールズベリイ(役名:キャサリン・ウィリアムズ)
写真出典:映画『WAVES/ウェイブス』公式サイトより
役:タイラーとエミリーの継母。
アメリカ・カリフォルニア州出身、1971年生まれ。歌手・女優で舞台でも多く活躍している。
1997年、テレビシリーズ『アリー my Love』でデビュー。2001年公開の映画『All About You』の主役でスクリーンデビュー。2002年、テレビシリーズ『スタートレック:エンタープライズ』、2014年、テレビシリーズ『グッド・ワイフ』などの話題作に出演。
2002年、舞台『ライオンキング』のナラ役で一躍有名になり、その後も多くのミュージカルに出演。2015~2016年のブロードウェイミュージカル『ハミルトン』でトニー賞を受賞。
ルーカス・ヘッジズ(役名:ルーク)
写真出典:映画『WAVES/ウェイブス』公式サイトより
役:エミリーに好意を寄せる。
ニューヨーク出身、1996年生まれ。
脚本家・監督のピーター・ヘッジズの息子。2012年公開の映画『ムーンライズ・キングダム』のレッドフォード役で16歳でデビュー。2013年、映画『アイ・アム・ニューマン 新しい人生の見つけ方』、映画『ゼロの未来』などに出演後、2016年公開の映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のパトリック・チャンドラー役でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされる。
2018年には、映画『ある少年の告白』で、ニコール・キッドマンの同性愛者の息子という難しい役どころを演じゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされる。
日本では2020年8月に公開予定の映画『ハニーボーイ』で主役オーティス・ロートを演じている。
映画『WAVES/ウェイブス』ネタバレ感想
写真出典:映画『WAVES/ウェイブス』公式サイトより
本作品、135分という長編映画ですが、途中で飽きることは無かったです。映画の構成が2つのパートに分かれていて途中からは全く違う人物にフォーカスされるため、映画の雰囲気がガラリと変わったというのが大きな要因だと思います。
冒頭にも書きましたが、前半はケルヴィン・ハリソン・Jrが演じているタイラーに焦点が置かれ、後半は1年後という設定でテイラー・ラッセル演じるタイラーの妹エミリーの視点から物語が描かれています。
タイラーの物語
写真出典:映画『WAVES/ウェイブス』公式サイトより
タイラーは継母と父親、そして妹という家族構成で比較的裕福な家庭に育っている。レスリング部のスターで可愛いガールフレンドもいて青春真っ只中。
映像も透き通るように綺麗だし、家族もみんなお育ちが良さそうで安心材料しかない感じなのに、なぜか緊迫感が漂っています。それは、悲劇が起こるというあらすじを読んでいたからなのか、それとも映像と音楽のトリックなのかは分かりません。特に出だしの360度のカメラワークなどは何とも不安な気分にさせてくれます。
と思ったのも束の間、タイラーは父親の痛み止め(処方されているので強めの痛み止め)を盗んで飲んでいるところから、私の心はザワザワし始めます。
タイラーの父親は、タイラーと一緒に筋トレをしたり息子とコミュニケーションを取っていますが、かなりスパルタ。レスリングの試合で勝ったのに「ここをこうしていれば20秒早く勝敗が決まってた」というダメだしをするような父。
うちの父みたい・・・・😖
だからでしょうか、タイラーはドクターストップがかかったという大事なことも両親に打ち明けることが出来ません。
そこへ追い討ちをかけるように、ガールフレンドのアレクシスの妊娠が発覚し言い合いになり、ストレス発散のために薬+ドラッグ+アルコールという危険なちゃんぽんをしてしまう。
ここら辺からは観ていて真面目に辛かったです。タイラーが酒飲んで運転するわ、ケンカしながら運転するわ、運転のシーンが多いだけに「あ~!!!事故るよきっと・・・」と思いながらハラハライライラしてました。
父親は厳格だし母親は継母だからなのか、困ったときに相談する相手がいないタイラー。
*ネタバレ始まります!
嫉妬にかられた彼は薬とアルコールの影響を受けて冷静な判断が出来ず、アレクシスを思いっきり突き飛ばしてしまいます。その際に彼女はコンクリートに頭を強打。
パニックになってしまったタイラーはそこから逃走してしまい、彼女は死亡。
その後警察に捕まり懲役30年の求刑が課せられてしまいます。
タイラーのとる全ての行動にアラフォーの私は共感出来ず理解に苦しみました。
なぜ、周りの大人や友人に相談できなかったのか?
それは、今まで挫折を味わってこなかった人生だから対処の仕方が分からなかったからなのか?
だから、酒とドラッグに頼ってしまったのか?
つくづく、タイラーの親の年代として「怖い!」と思いました。どんなに子供のことを思っていたとしても、その想いが届いているとは限らない。ドラッグやお酒の怖さを教えていてもこういう事は起こるものです。
なので、親の立場としてはタイラーのストーリーラインはもう苦痛の何ものでもなかったですし、自分を破滅させるような彼の行動にイライラしました。
しかし、自分の10代を振り返ってみると、若さ=危険ですよね。よく今まで大きな事故を起こさなかったなぁ、と思いますし、今生きていることが不思議だったりもします。それだけ若い頃は危険を顧みず行動してましたから。
今現在ティーンの子たちにしてみたら、きっと共感できるお話なのかもしれません。
妹エミリーの物語
写真出典:映画『WAVES/ウェイブス』公式サイトより
後半は事件から1年後のエミリーに焦点を置いた物語ですが、こちらの方が私は共感できましたね。
自分は何にも悪いことはしてないのに、加害者の家族となった時点で人生は地獄へ落ちたも同然。
誹謗中傷を受け、自分の殻に閉じこもってしまっているエミリー。若くして既に人生の不公平さを体験してしまいます。
大人になって社会へ出れば不公平なことはたくさんありますけど、加害者の家族というのは被害者の家族とはまた違った辛さがあるでしょう。
そこへ全ての事情を知ってエミリーに声をかけてきたルークの優しさに触れ親しくなる二人。
彼は父親のDVで苦しみ、そして今はその父親が危篤状態。エミリーは「今会わないと後悔するよ」と言って二人で父親に会いに行きます。ルークにとっては父を「許す」という事を身を持って体験することとなるのです。
許すこと
エミリーは、実はタイラーの事件は自分のせいだと思っている節があります。
自分はあの現場に居たのに、タイラーの様子がおかしいのに気づいていたのに何もしなかったという後悔の念に駆られていたのです。
エミリーと父親が話したシーン「エミリーは悪くない」「今を生きろ」「タイラーは悪魔なんかじゃない間違いを犯す人間なんだ」というシーンは涙無くしては見れないです。
そしてエミリーが母親に「心配しないで」とテキストメッセージを送るときに「帰ったら話そう。そして、以前のような家族になれることを願う」と打ってからその部分を泣きながら削除したシーンがどのシーンより一番胸にグッと来ましたね。
エミリーは、分かっているのです。以前の様な家族になんかなれないことを・・・。
今を受け入れて、タイラーを「許して」前に進むしか方法がないことを。
まとめ
映画『WAVES/ウェイブス』は、製作会社が今をときめくA24だとか、超豪華アーティストによる”プレイリスト・ムービー”だとかいろいろな謳い文句がありましたが、私にはやはり物語の内容、特に後半のエミリーの物語が一番良かったですね。
大人としては自分の子供にタイラーのような間違いは犯して欲しくないですし、この映画を観て今後の子供との接し方が変わったという親御さんも多いそうです。
映倫区分PG12ですので、この夏休みに中高生のお子さんにムビチケをプレゼントしてお友達と一緒に観に行ってもらったりして、親御さんは別で観に行った方がいいかもしれません。(初体験シーンがありますので、私は子供と見るのは恥ずかしいです・・・)
映画『WAVES/ウェイブス』は、2020年7月10日(金)から全国ロードショー。
参考:
*1 https://justrichest.com/taylor-russell-bio-is-she-dating-anyone-her-boyfriend-parents-ethnicity/
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