映画『アーニャは、きっと来る』あらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想。史実に基づいたお話をノア・シュナップが熱演

映画『アーニャは、きっと来る』

イギリスの児童小説家マイケル・モーパーゴの同名小説を映画化したもので、ナチス占領下の南フランスのピレネー山脈麓の小さな村で実際に起こったユダヤ人救出劇を描いたお話です。

ノア・シュナップ主演で映画『エイブのキッチンストーリー』が公開されたばかりですが、ノアのファンとしてはとりあえず見ておこう!ということで視聴しました。

ここでは、映画『アーニャは、きっと来る』のあらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想をお届けします。

映画『アーニャは、きっと来る』作品情報

原題:Waiting for Anya

公開年:2019年

監督:ベン・クックソン

脚本:トビー・トーレス、ベン・クックソン

原作:マイケル・モーパーゴ

出演:ノア・シュナップ、ジャン・レノ、アンジェリカ・ヒューストン

上映時間:109分

配給:ショウゲート

映倫区分:G

映画『アーニャは、きっと来る』あらすじ

1942年、南フランスのピレネー山脈の麓に小さな村レスカン。

13歳の羊飼いジョーは、ある日山中で小熊を助けたユダヤ人の男性ベンジャミンと出会う。好奇心から後をつけ、小熊がいると思った納屋に入るとそこには小さな女の子が隠れていた。

彼と義理の母オルカーダは、ユダヤ人の子供達を匿いベンジャミンの娘アーニャの帰国を待って安全なスペインへ逃がす計画を企てていたが、ドイツ軍が村に駐在し監視するようになり更に彼らの移動は困難なものとなっていた。ジョーはベンジャミンとオルカーダをなんとかして助けたいと思うようになる。

一方、ジョーは優しいドイツ軍の将校と親しくなる。過酷なドイツの労働収容所から戻ってきたジョーの父親はそのことを咎めるが、ジョーのユダヤ人児童救出作戦を知ると村人たちと協力して子供達を逃がす日が迫る中、ベンジャミンの娘アーニャは現れるのか・・・

映画『アーニャは、きっと来る』キャスト

ノア・シュナップ(役名:ジョー)

役柄:13歳の羊飼い。ユダヤ人ベンジャミンと親しくなりユダヤ人児童救出作戦に協力する。


Netflixの大人気ドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のウィル役で世界的に有名になり、ここ数年は映画『エイブのキッチンストーリー』など主演が続いています。

現在16歳の彼ですが、ベイビーフェイスで体が華奢なのもあって13歳も全く違和感がありません。
ユダヤ人の彼にとっては思い入れの強い作品となったそうで、ベテラン俳優に囲まれながら熱演しています。

ジャン・レノ(役名:アンリ)

役柄:ジョーの祖父。ベンジャミンの義母オルカーダとは旧知の仲。


日本では名作『レオン』後すっかりお馴染みの顔となり、フランス人のハリウッドスターというニッチな立場なのかテレビCM出演もとても多いです。代表作は『フレンチ・キス』、『ミッション:インポッシブル』など。

丸めがねが素敵な72歳です。

アンジェリカ・ヒューストン(役名:オルカーダ)

役柄:ベンジャミンの義母。


アカデミー賞受賞女優で、代表作は『女と男の名誉』、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』、そして『アダムス・ファミリー』。この作品で世界的に老若男女に知られるようになりました。

映画『アーニャは、きっと来る』ネタバレ感想

イギリスでは1990年に出版された同名の児童書を原作とする映画ですが、日本語での発売日が2020年3月なのできっとこの映画とタイアップという形で日本語版は出版されたのでしょう。

正直、ノア・シュナップが出てなかったら観なかったかもしれませんが、動機はどうであれ観て良かったです!

本作品は、フランスの村レスカンが舞台になっています。このレスカンという村ですが、ピレネー山脈の麓の大自然が広がる”アルプスの少女ハイジ”を彷彿させるエリアで、山の変わりやすい天気に悩まされる中、約5週間かけて2018年に撮影されたそう。

まずは、このレスカンの息を呑むような美しい大自然に可愛いノア・シュナップが羊飼いの格好でいるだけで、一気に物語の中に引きずり込まれました。

しかし、時は第二次世界大戦中のナチスが台頭し始める頃。平和な村にもドイツ軍が駐在し始めユダヤ人狩りをするために村人達を監視しています。

ナチス・ドイツを題材にした映画は本当に毎年かなりの数が作られており、最近日本で公開された映画では『17歳のウィーン フロイト教授人生のレッスン』などが記憶に新しいですね。

 

戦争の代償

お話を作る際、一方が悪で片方が善の方が観客の感情も移入しやすいせいでしょうか、そういう作品が多いのが事実。しかし、本作品が他の作品と異なるのは、戦争をナチス・ドイツ側とそうでない側との両面から描いている点でしょう。

食料品店で買い物をしていたジョーは、1人のナチス将校と会います。
最初は怖くて仕方が無かったジョーですが、ジョーが買ったものを落としてしまいそれを将校が拾ってくれたところから会話が始まります。

このシーンがとても印象的で、将校が自分が住んでいる街とこの街がとてもよく似ていると言い、自分の妻や娘達の話をジョーに聞かせるのですが、彼がいかに家族を愛しホームシックになっているのか、そして、その話を聞いて、ジョーが将校に親近感を覚え始める様子に少し心が温まりました。

そして、ある日将校の元にベルリン空襲で娘が亡くなったというニュースが舞い込んできます。
トーマス・クレッチマンの、ナチス将校として泣き喚くわけにはいかない、押さえ込んだ哀しみの演技が素晴らしかったです。

戦争で多くのユダヤ人が犠牲になったのも事実。戦争で多くのドイツ人が亡くなったのも事実。
一部の権力を持ったサイコパスが始めた戦争によって私達がなくしたものは計り知れないのです。

市井の人々が選んだ勇気ある行動

映画『アーニャは、きっと来る』では、首相でもない大統領でもない重要な役職についているでもない普通の人々が、戦争という過酷な非常事態下で勇気を持って選択した結果ユダヤ人の子供達を救うことが出来たという実際に起こったことを美しく描いています。

ノア演じるジョー。
たった13歳の少年が誰に強制されたわけでもなく、ベンジャミンとオルカーダを助けてユダヤ人の子供達を山を越えたスペインに逃がそうとするのです。国境には24時間体制でナチス兵が監視しているのに。

それは、ジョーが選択したこと。
こんな子供さえも何が正しいことなのかが分かって、自分の命のリスクを負ってでも誰かを助けようとするのです。

ある一般の人のこの映画のレビューをチラッと読んだのですが、その方が「ドイツ軍にユダヤ人の子供を預かっているのがバレて捕まればどうなるかが分かっているのに、そんなことが実際にあったわけがないのに、ファンタジー仕立てにしていて・・・」と映画を批判していました。

これを読んで思わず、ププッと笑ってしまいました。
いや、あなた。実際にあったのですよ。と声を大にしてその人に言いたかった!

確かに、多くのドイツ兵達がヒットラーの政策が良きものと信じ、また、信じていなくても大勢に流されて追随した人がたくさん居たのも事実ですが、同時に多くの個々人が出来る限りの範囲で静かに抵抗したのも事実

私にはドイツ人の友人がいますが、彼女の祖父母は1年半も家族と離れ離れになったユダヤ人の男の子を匿ったそうです。

映画の冒頭でベンジャミンが娘アーニャを連れているシーン。

彼らは強制収容所に送られるところでしたが、ナチス兵の目を盗んで、見ず知らずの女性の手助けを得てアーニャを一般列車に乗せることが出来ました。

この女性も”この子を救う”という選択をした勇気ある1人の女性。ひょっとしたら、何も考えずにした行動かもしれません。

でも、こういう非常事態時にとっさに目の前にいる人を列車から突き落とすのでなく、救える人物でありたいと『アーニャは、きっと来る』を観終ってそう思いました。

1人の人間の勇気ある静かな行動が、1人の人間の人生を大きく変えるのです。

映画の最後にありましたが、100人以上のフランスの一般市民が約7500人のユダヤ人をスペインに逃し命を助けたそうです。

まとめ

本作品の原作本は児童小説ですが、映画は大人でも楽しめるように書いたそうです。ただ、子供にも観て欲しいが為にお話自体はとてもシンプルに仕上がっており、ナチスの非道さや実際にユダヤ人が受けた仕打ちの描写が甘いという指摘も耳にします。

ただ、こういうアングルの作品があってもいいと思います。
私の母は、反戦争活動を積極的にしていた人で、私は幼少期に「はだしのゲン」とか見せられましたけど、もうトラウマになってしまって悪い夢を長い間見続けました。

ビジュアルにただ子供達の恐怖心を煽るのではなく、本作品は実際にあったことをギリギリのところで史実にそって描き「戦争とは」をフィクションとして上手くまとめていたと思います。

映倫区分はGですので、ぜひお子さん連れで! 観終わった後はハッピーな気分になれます!

映画『アーニャは、きっと来る』は、2020年11月27日(金)から全国ロードショー。