映画『博士と狂人』あらすじ、キャスト、ネタバレ感想!実話とそうでない部分を解説します!

映画『博士と狂人』ポスター

ノンフィクション本「博士と狂人 世界最高の辞書・オックスフォード英語辞典の誕生秘話」がメル・ギブソンによって映画化されたのが、本作品、映画『博士と狂人』。なんと、メル・ギブソンが映画の版権を得てから20年以上もかけて作り上げた作品ということで、早速視聴してきました!

ここでは、映画『博士と狂人』のあらすじ、キャスト、そして、どの部分が実話でどの部分が脚色された部分なのかにも触れながら感想をお届けします。

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映画『博士と狂人』作品情報

原題:The Professor and the Madman

公開年:2019年

監督:P.B. シェムラン

脚本:P.B. シェムラン、トッド・コマーニキ

出演:メル・ギブソン、ショーン・ペン、ナタリー・ドーマー、エディ・マーサン

上映時間:124分

配給:ポニーキャニオン

映画『博士と狂人』あらすじ

19世紀、貧しい家の出身だったジェイムス・マレーは、独学で言語学博士となり、マレーが41歳のときにオックスフォード大学から英語辞典編纂計画のメンバーに招集された。

シェイクスピアの時代16世紀まで遡り文献を調べ、すべての言葉の意味を例文とともに収録するという気の遠くなるような、無謀ともいえるプロジェクトが困難を極める中、マレーはボランティアを募集した。

すると、博士にたくさんの資料を送ってくる謎の協力者が現れた。しかし、その協力者は、幻覚に悩まされ殺人を犯し精神病院に収監されていたアメリカ人医師、ウィリアム・チェスター・マイナーだった。

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映画『博士と狂人』キャスト

メル・ギブソン(役名:ジェイムス・マレー)


写真出典:映画『博士と狂人』公式サイト

役柄:オックスフォード英語辞典作成の中心人物


メル・ギブソンと言えば昔はヘレン・ハントとラブコメ映画に出演したりと、イケメン俳優として活躍してましたが、中年になったころからは『リーサル・ウェポン』シリーズや、監督・出演をした『ブレイブハート』でアカデミー監督賞を受賞するなど俳優・監督業の両方で絶好調でした。

しかし、メルもアルコール問題を抱えていて・・・飲酒運転やアルコールによる暴言などですっかり”お騒がせ役者”のイメージが定着してしまってましたが、なんと本作品構想に20年の月日をかけたそうで、映画への情熱は人一番強く本当の映画人なんですよね。

ショーン・ペン(役名:ウィリアム・チェスター・マイナー)


写真出典:映画『博士と狂人』公式サイト

役柄:アメリカ人医師。南北戦争から帰還後精神状態が悪くなる。


2015年の『ザ・ガンマン』以来の久々の映画出演(2016年の『アングリー・バード』では声だけでしたので)ということで、本当に楽しみにしてました。60歳になったショーンですが、相変わらず色気があってカッコイイです。28歳の奥さんをもてちゃうわけですね。

アカデミー賞主演男優賞を二度受賞している名優ショーン・ペンですが、この作品でもう一度賞が取れるんじゃないか?!と思うくらい素晴らしかったです。

ナタリー・ドーマー(役名:イライザ・メレット)


写真出典:映画『博士と狂人』公式サイト

役柄:マイナーに夫を殺された6人の子供を抱える未亡人。


ナタリーを最初に観たのがヘンリー8世とその妻たちを描いたBBCテレビシリーズ「ザ・チューダー」でナタリーがアン・ブーリンを演じたときでしたが、あの少し目が離れたウーパールーパーのような愛くるしい顔がとても印象的でした。

そんな彼女の知名度がグンと上がったのが映画『ハンガー・ゲーム』シリーズのクレシダ役とテレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」のマージェリー・タイレル役です。

本作品では、愛する夫を殺された未亡人を演じており、重要な役どころです。

エディ・マーサン(役名:ミスター・マンシー)


写真出典:映画『博士と狂人』公式サイト

役柄:マイナーが収監されている刑務所病院の看守。


日本ではあまり知名度がない役者さんかも知れませんが、顔を見れば「あっ、見たことある!」となること間違いなしのベテラン名脇役者です。そんな彼が初めて主演に抜擢されたウベルト・パゾリーニ監督の映画『おみおくりの作法』ではエディンバラ国際映画祭主演男優賞に受賞しました。

年間4,5本の映画に出演しており引っ張りだこの人気役者。50歳を超えたおじさんですが、愛嬌のあるかわいい顔をしてて親近感が沸いちゃうんですよね。

映画『博士と狂人』ネタバレ感想

映画『博士と狂人』のワンシーン マレー
写真出典:映画『博士と狂人』公式サイト

本作品は、サイモン・ウィンチェスター著のベストセラーノンフィクション本「博士と狂人 世界最高の辞書・オックスフォード英語辞典の誕生秘話」が元になっている事実に基づいた映画です。

ここでは、映画の結末までも含めて詳しく感想を述べ、事実とそうでない部分の解説もしたいと思います。

誰もが一度は手にしたことがあるオックスフォード英語辞典(通称:OED)。

ウィキペディアによると主要な見出し語数は291,500以上*1が収められており、英語や国語を勉強する度に「これだけの言葉を調べて辞書を作る人って狂ってるに違いない!」と思ってましたが、どうやら本当だったらしいです・・・

映画は、オックスフォード英語辞典の編纂に携わったサー・ジェイムス・マレーが辞書製作に困難を極め、ボランティアを募集し始めるところからお話はスタートします。

するとアメリカ人医師ウィリアム・チェスター・マイナーから大量の資料が送られてくるようになるのですが、マレーがマイナーの詳しい事情(警察病院に収監されているということ)を知るのはだいぶ後になります。

「真実は小説より奇なり」と言いますが、この絶対に交わることのないであろう実在する二人が友情を深めることになったわけは、「言葉への果てしない興味」と、マレーもマイナーもそれぞれの人生において様々な困難に面しているという共通点があったからかもしれません。

事実とそうでない部分

映画『博士と狂人』のワンシーン メレット夫人と看守のミスター・マンシー
写真出典:映画『博士と狂人』公式サイト

ネタバレになります!

 

実話を元に描かれた映画というのは、、どこまでが実話でどこからが脚色された部分なんだろう・・・と思ってしまうのですが、私だけでしょうか?

映画『博士と狂人』実話部分ですが、マイナーは自分の軍年金をメレット家に全て寄付することにするのですが、ナタリー・ドーマー演じるメレット夫人が生活苦であるが自分の夫を殺した犯人からブラッドマネーを受け取るのに苦悩し、様々な葛藤を経て受け取ることにします・・・これは事実です。

その後、マイナーの誠実さを感じ、そして彼の精神の病を理解し、のちに彼から言葉の読み書きを教わるうちに恋愛感情へと変わっていく、というストーリー展開ですが・・・この部分は事実ではないです。

しかし、メレット夫人とマイナーが友情のようなものを築いたのは事実。
実際にメレット夫人は何度か警察病院へ出向き本の差し入れをしています。*2

劇中、マイナーがメレット夫人に好意を持ってしまったことへの罪悪感から自分の男性器を切ってしまう、というシーンがありますが、それは事実ではありません。

実際はマイナーは妄想の中で幼児性犯罪者になってしまい、その妄想後に現実と妄想の区別がつかなくなり切ってしまった、という事実があるそうです。*3

ジェイムス・マレーという人物

映画『博士と狂人』のワンシーン
写真出典:映画『博士と狂人』公式サイト

マレーは、独学で6~14の言語を習得した才能ある人物で、そのことからオックスフォード英語辞典の製作チームに選ばれたわけですが、1879年の3月に選ばれその時は10年かかるだろう、と思われていたそうです。

結局のところ4年後の1884年にプロジェクトはスタートして、なんと!発行までに70年の月日がかかったというから凄いです!そして、一般からボランティアを募ったところマイナーが参加してきたというわけです。

ウィリアム・チェスター・マイナーという人物

映画『博士と狂人』のワンシーン マイナーが連行される
写真出典:映画『博士と狂人』公式サイト

マイナーは南北戦争から帰還してから妄想に囚われておりそれが原因で常に誰かから狙われていると感じていたようで、メレット夫人の夫ジョージ・メレットを射殺してしまうわけです。(後に統合失調症と診断を受けます。)

正気ではなかったと判断され警察精神病院に収監されますが、アメリカ軍年金のため精神病院での暮らしは劇中のように快適だったようで、もともと知的だったマイナーは書斎を檻の中に作り、数多くの古書を集め読んでいたらしく、それが辞書作成に役立ったようです。

二人の友情

映画『博士と狂人』のワンシーン マイナーとマレーが精神病院で面会
写真出典:映画『博士と狂人』公式サイト

辞書製作に当たっては1つの単語に必ず例文を載せなければならなかったのですが、マレーが困るとマイナーは彼が集めた古書の中から必ず適切な例文を作ってよこしていたのです。

この知的なボランティアがまさか収監されているとはマレーは夢にも思わなかったでしょうね。そして、収監理由が”殺人”・・・普通だったら、それだけで引いてしまいそうです。私だったら、距離を置くと思います。

想像通り、彼の周りの人たちは殺人者とは一切関わるな、というアドバイスをあげたらしいですが、後に二人は親友になります。

”知的好奇心”、”言葉への果てしない探究心”、それらが彼らを引き寄せたのは間違いないです。そして、マレーの義理人情とでもいうのでしょうか、後にマイナーが無事にアメリカへ帰国できたのは、映画の中のお話の通り、彼が当時内務大臣だったウィンストン・チャーチルに働きかけたからです。

マレーは、マイナーと意気投合したから、というだけでなくマイナーがマレーが辞書編纂がなかなか進まず困っていた時に助けてくれた恩を忘れなかったからかもしれません。

その証拠に1899年にマレーはマイナーが辞書に貢献したということを公表します。

 “we could easily illustrate the last four centuries from his quotations alone.”

訳:マイナーが貢献した単語の例文だけでも簡単に過去4世紀分の文学が出来る。

まとめ

マレーもマイナーも結局、オックスフォード大学英語辞典の完成を見届けることなく他界しており、少々哀しくも感じますが、マイナーとマレーが愛した言葉や文が詰められた英語辞典が世界中の人にその後何世紀にも渡って活用されているのは、彼らの偉大なる功績の賜物です。

そして、彼らの友情が描かれた映画『博士と狂人』が多くの人の琴線に触れることを願って。

映画『博士と狂人』は2020年10月16日から全国ロードショー

参考:

*1 https://en.wikipedia.org/wiki/Oxford_English_Dictionary

*2 https://erenow.net/biographies/the-professor-and-the-madman/12.php

*3 https://en.wikipedia.org/wiki/William_Chester_Minor