映画『ニューヨーク 親切なロシア料理店』あらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想 ほっこり気分にさせてくれるゾーイ・カザン主演

映画『ニューヨーク 親切なロシア料理店』

日曜日の夜に「何か心温まるような映画が観たいな~」と思い、あらすじやキャストも知らずに観たのですが、観終わった後はほっこりとした気分になりました。

映画『ニューヨーク 親切なロシア料理店』は、オランダ人女性監督のロネ・シェルフィグが英語で初監督をした作品で、ニューヨーク・マンハッタンにある老舗ロシア料理店を舞台に、主人公クララを中心に人々との交流が描かれたお話です。

ここでは、映画『ニューヨーク 親切なロシア料理店』のあらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想をお届けします。

写真引用:映画『ニューヨーク 親切なロシア料理店』公式サイト

映画『ニューヨーク 親切なロシア料理店』作品情報

原題:The Kindness of Strangers

公開年:2019年

監督・脚本:ロネ・シェルフィグ

出演:ゾーイ・カザン、ビル・ナイ、タハール・ラヒム、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、アンドレア・ライズボロー

上映時間:115分

配給:セテラ・インターナショナル

映倫区分:G

映画『ニューヨーク 親切なロシア料理店』あらすじ

ニューヨーク・マンハッタンの老舗ロシア料理店”ウィンター・パレス”は、経営苦難に陥っていた。オーナーのティモフェイは、店を立て直すために刑務所を出たばかりのマークをマネージャーとして雇う。
常連客の看護師アリスは、仕事だけでなくボランティアでセラピーグループを、そしてホームレスのためにスープキッチンで働いており、ひょんなことで家も仕事も失った不器用なジェフと知り合う。

ある朝、二人の息子とともにDV夫からニューヨークへ逃げてきたクララ。真冬のニューヨークで着の身着のままな暮らしになった3人の運命は・・・

映画『ニューヨーク 親切なロシア料理店』キャスト

ゾーイ・カザン(役名:クララ)

役柄:二人の息子を持つ母親。夫から逃れニューヨーク・マンハッタンに来た。



ゾーイ・カザンは、何ともいえない不思議な魅力を持った女優さんで、数多くのドラマや映画に出演しています。最近では、コメディアンのクメイル・ナンジアニの実体験を描いた映画『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』でクメイルの妻エミリー役を好演しました。

私のお気に入りは、ミニドラマシリーズ『オリーヴ・キタリッジ』のデニス役。ちょっと変わったナイーブな女性を上手く演じていましたね。

私生活では、私の一番大好きな映画『リトル・ミス・サンシャイン』の長男ドウェーンを演じたポール・ダノとの間に女の子をもうけています。

ポールとは仕事でもパートナーでキャリー・マリガン主演の映画『ワイルドライフ』の脚本を一緒に製作しました。

ビル・ナイ(役名:ティモフェイ)

役柄:老舗ロシア料理店のオーナー。


イギリスのベテラン俳優で、ビルといえばクリスマスラブコメ映画『ラブ・アクチュアリー』のロックレジェンドのビリー・マック役ですね。この役で世界的に知られるようになりました。

本作品ではロシア人でもないのにロシア料理店に説得力を持たせるためにロシア訛りの英語を喋ってユーモアを散りばめています。

タハール・ラヒム(役名:マーク)

役柄:薬中の弟の罪を被って服役し刑務所を出たばかり。ロシア料理店のマネージャー。



フランス人の彼ですが、様々な国のアクセントを使い分けることが出来る役者さんで映画『預言者』ではインドのコルシカ語、映画『第九軍団のワシ』ではスコットランド・ゲール語などを見事に演じていました。耳がいいんでしょうね~!

ハンサムなタハールですが、本作品では、髭を生やしてちょっと暗い過去がある男性マークを演じています。

ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(役名:ジェフ)

役柄:何事にも不器用で解雇され続けていて、スープキッチンでアリスと知り合う。



ケイレブは『X-MEN:ファースト・ジェネレーションショーン』の口からソニックスクリームを発しちゃうキャシディ/バンシー役で注目を集めました。

最近ノリに乗っている役者さんで、多くの映画公開が控えており、独特な雰囲気と風貌で癖のある役も多くこなしています。

アンドレア・ライズボロー(役名:アリス)

役柄:多忙な看護師であるにも関わらず、ボランティアでセラピーグループ、そしてホームレスの為のスープキッチンを運営している。


テレビシリーズ「The Long Walk to Finchley」でイギリスの元首相マーガレット・サッチャー役を演じ注目を集めBAFTA賞にノミネートされました。

本作品では、慈悲に溢れた看護師を演じています。

映画『ニューヨーク 親切なロシア料理店』ネタバレ感想

まず、邦画のタイトルですが、ロシア料理店の店主が親切という印象を受けてしまうのですが、そうではありません。確かにビル・ナイ演じるティモフェイは優しいですが、ロシア料理店周辺の人々が親切で優しいのです。

お話は、ゾイ・カザン演じるクララが朝早く夫が隣で眠るベッドをソッと抜け出し、子供二人を連れて家を出るところから始まります。子供たちもそれを分かっていたかのようで、特にグズルことなく音を一切たてずに家を去る様子が、この家族が抱える問題を上手に示唆していました。

鞄と車と最小限の荷物で家を出たクララですが、ニューヨークに住むDV夫の父親の所に泊まらせてくれる様に頼んでいることから、計画など立てる時間もなく本当に急いで逃げ出した様子が窺えます。しかし、夫の父親は売春婦に払うお金はあっても孫や嫁を助けるお金はないという役立たず。

来たこともないマンハッタンという巨大な都市にクララも子供達も意気高揚としてましたが、お金もない食べるところもない寝るところもない、という状態に追い込まれ、クララが母親として子供達のために最初は気丈に振る舞っているのですが、段々と追い込まれていく姿に観ている方も辛くなってきました。

アリスとマークの親切

教会で寝泊りさせてもらった際にアリスと知り合うのですが、次男のジュードが雪に釣られて外に出てしまい低体温症になったのがきっかけで看護師アリスが3人の事情を察知し、とりあえずロシア料理店に連れて行ってくれたことでマークと知り合います。

アリスが警察に通報するかも(DV夫は警察官なため)という恐怖から料理店のグランドピアノの下に隠れてしまいます。

眠りに落ちた二人にマネージャーのマークが自分の部屋を提供するのですが、その時にお兄ちゃんのアンソニーが「ママに触るな!」とマークに体当たりしたシーンでは、不覚にも大泣きしてしまいました。

たしかに現実だったらこんな見ず知らずの男性のところに宿泊するというシチュエーションは、多少なりともの恐怖があるはず、ただ、背に腹はかえられない。だからこそ、お兄ちゃんの不安が爆発した、その様子が・・・もう・・・可哀想で可哀想で。リアリティ感溢れる演出でした。

見ず知らずの人の小さな親切

マークが住む場所を提供してくれたことで、DV父親のコンピューターをハッキングすることに成功したアンソニー。なんて賢いの!!!

そこには拷問の写真が山ほどという事実・・・。

そこで、観ている私達はアンソニーも拷問されていたことを知るのですが、その後に「自分もそうなるのでは・・・」と不安になる彼を母親のクララが「あなたは父親とは全く違う。離れてしまえば全て忘れられる」というセリフがあるのですが、そこで初めて彼らが父親から逃れられたとしてもしばらくは残るであろう苦悩に気づきました。

その拷問の写真を証拠にマークの友人で弁護士のジョンの力を借りて法廷でDV夫と争うことになるのですが、結局は自分で自分の首を絞めたDV夫。

自分の頼みを聞かなかった父親をボッコボコにして警察に逮捕され、晴れてDV夫から逃れ自由の身となったクララと息子二人。

全く見ず知らずのマンハッタンで知り合ったアリス、マーク、ジョンらの助けで将来が見えてきたクララですが、それまでも見ず知らずの人の親切がありました。

IDがないと女性避難場所を使用できないというルールを無視してシャワーを使わせてくれた女性。

ホテルの廊下から残り物のサンドイッチを盗んだクララを見逃してくれたホテルマン。

そういった名もない人の助けがあったから、クララたちはアリスやマークと知り合うことが出来たのです。

ジェフの再出発

クララのお話と平行して進む不器用でどんな仕事も首になってしまうジェフのお話し。

仕事を無くしてもすぐに一生懸命仕事を探す彼ですが、結局家賃が払えずアパートを追い出されたことでホームレスになってしまします。あまりにもアッサリとある日突然ホームレスになる。自分の身にも起こりえるのでは・・・と怖くなってしまいました。

彼のように首にならなくても、倒産やリストラなどで職を失うのは決して珍しいことではありません。

そんな彼がひょんなことでアリスのスープキッチンで働くことになります。最初はトングもまともに使えない彼でしたが、アリスの「優しさと許容」によりいろいろなことが出来るようになっていくのです。

そして、アリスが彼に「あっという間に仕事が出来るようになってすごいわ!」と言った後の彼の驚きの表情と笑顔に感動しましたね~。

ジェフは、ベッドのセールスマンやランドリーマンとしては認められなかったかもしれないけど、(洗濯物と真っ白い犬をバスケットに一緒に間違えて入れちゃうとかあり得ないけど笑えました)ジェフが噴水を直していることから問題解決能力に優れているらしい、ということが分かります。

ちょっとした誉め言葉チャンスを与えることで、人の人生ってガラッと変わるんですよね。

まとめ

辛い経験をしているクララと子供たち、そして何をやっても上手くいかず危うく死にかけたジェフという重いテーマなお話だったかもしれませんが、ところどころでユーモアが散りばめられていたのが良かったです。

ジェフが窓から投げた椅子がなぜか弁護士ジョンのところにあったり、ロシア人でないティモフェイがロシア人っぽくするためにロシア訛りで喋ってたり、洗濯物の中から発見される犬とか、ドアマンになっても相変わらずおっちょこちょいなジェフとか♪

昨今、他人との関係が希薄で(都会では特に)、電車やバスでお年寄りや妊婦の方に席を譲るのもなんだか勇気が必要なご時勢ですが、誰かが助けを必要としていたら、辛い思いをしていたら、出来る範囲で(クララを受け入れなかったホテルの受付の女性を責めてはならない。彼女も首になったらアパートをすぐに追い出される身)サッと手を差し伸べてあげる人間でいたいものです。

観終わった後、ほっこりと優しい気分になりました。

映画『ニューヨーク 親切なロシア料理店』は、2020年12月11日(金)から全国ロードショー。