映画『フェアウェル』あらすじ、キャスト、絶対ネタバレなしで見て!今年イチオシかも!?

2021年9月1日

映画『フェアウェル』

ルル・ワン監督が実際に経験した話を元に作られた映画『フェアウェル』は、面白おかしく、ほっこり出来る映画です。主役のオークワフィナは本作品でゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞。アジア人女性としては初めての快挙!

脇を固めるのはテレビシリーズ「24-Twenty four-」などに出演のハリウッドにはもはやかかせないベテラン中国系アメリカ人俳優のツィ・マーなど。

ここでは、映画『フェアウェル』のあらすじ、キャストの紹介、感想をネタバレなしでお届けします!最後の最後に、「えっ!そうなの?!」という事が分かりますので絶対にネタバレなしで見た方が面白いですよ~!

写真引用:映画『フェアウェル』公式サイト

映画『フェアウェル』作品情報

原題:The Farewell

公開年:2019年

監督・脚本:ルル・ワン

出演:オークワフィナ、ツィ・マー、ダイアナ・リン、チャオ・シュウチェン

上映時間:100分

配給:ショウゲート

映画『フェアウェル』あらすじ

ニューヨークに暮らすビリーは、父方の祖母ナイナイととても仲が良い。ある日その祖母が余命3ヶ月と診断を受けたことを両親から聞かされる。親族はナイナイには告知せず、会いに行く口実としてビリーの従姉妹が中国で結婚式をあげることを企画する。

アメリカ育ちのビリーは、祖母に告知しないことに大反対。しかし、残り少ない時間を楽しく過ごして欲しいと主張する親族。

家族全員がナイナイのことを想うばかり、ぶつかり合ったり慰めあったりしながら結婚式の日を迎える。
結局、ビリーと家族が取った決断は、嘘を突き通すことだったのか?それとも?

映画『フェアウェル』キャスト

オークワフィナ(役名:ビリー)

役柄:中国生まれ、アメリカ育ち。幼い時に家族でアメリカに移住。


オークワフィナはラッパー、歌手、役者という多彩な顔を持った第二のルーシー・リウと言われています。

最近では、アメリカテレビシリーズ「クレイジー・リッチ! 」のレイチェルの親友リン役、そして映画『オーシャンズ8』では、スリ師のコンスタンス役が記憶に新しいです。リン役もコンスタンス役もちょっとぶっとんだ役柄でしたが、本作品ではごく普通のどこにでもいそうな中国系アメリカ人を演じています。

 

ツィ・マー(役名:ハイヤン/ビリーの父親)

役柄:成功を求めてビリーが幼い時に家族でアメリカに移住。ごく普通の中国系アメリカ人。


海外ドラマを見る人だったら、ツィ・マーという名前は知らなくても、「あっ、このおじさん!」と顔を見ればすぐ分かるほど、数多くのドラマに出演しています。

テレビシリーズ「24 -TWENTY FOUR-」の中国政府工作員チェン・ズィー役や、同じくテレビシリーズ「ザ・ブック/CIA大統領特別情報官」の中国大統領役で出演。貫禄があるので大統領役もぴったりですし、中国マフィア的な役もなかなか似合う、ハリウッドでは欠かせない中国系役者さんでしょう。

映画『フェアウェル』感想

本作品は、ルル・ワン監督の実体験に基づいて描かれた作品で、監督の祖母が余命宣告を受けたものの本人には告知せず家族全員で従兄弟の結婚式を計画し、それを口実に親族が全員祖母に会いに行く、というお話。

日本人の私達にとっては1990年代ごろまでガンの本人告知はしていなかったので、理解しやすいコンセプトですが、欧米の人々には信じられないことでしょう。実際に祖母の孫にあたるアラサーのビリーは、絶対に告知すべきだ!アメリカだったら法律違反だ!と大反対。

しかし、保守的な中国ではいまだにガン患者への告知を希望しない家族が多いらしく、欧米の視聴者は少なからずカルチャーショックを受けたと思います。

中国人だけど中国人じゃないビリー

この映画の面白いところは、ビリーは中国人だけど中身は中国人らしくない、という点。(法律上はアメリカの市民権を得ているためビリーもビリーの両親もアメリカ人)文化的思想や例えば今回のように告知問題などはとてもウエスタナイズされているので、中国の親族との間にカルチャーの違いを痛感します。

私は海外在住で、この国にも御多分にもれず多くの中国人が住んでいます。ビリーのようにこの国に生まれ育った彼らは完璧な英語を喋り、ビリーのようにだいたいの中国語は分かるし話せるけど、読み書きは苦手という人が多くいます。

映画の中でビリーが中国に着いて宿泊先のホテルで従業員が「どこから来たの?」「何で来たの?」「ニューヨークと中国どっちがいい?」などと初対面のお客さんに対して質問攻めにするシーンがありますが、これ中国人あるあるなんですよね~。思わずクスッです。

この弾丸質問に戸惑うビリーの様子が、ビリーは中国人の血が流れているけどアメリカ人なんだ、というのが上手く描写されていたシーンだと思います。

家族愛

家族間の繋がりが濃いとされる中国人ですが、ナイナイがフラットメイトのような人と暮らしており、家族のだれとも暮らしていないのは、現代の象徴かもしれません。

しかし、家族の誰かが病気と聞けば、全員が一斉に会するのはさすが中国人。
大きなテーブルを囲んでたくさんの料理が並び、みんながワイワイと喋りながら、あれも食べろ、これも食べろ、というのは典型的な中国の食卓風景でしょう。

楽しいはずの食事ですが、みな真実を隠しながら余命宣告を受けたそれぞれのナイナイへの想いから、どこか哀しげです。そんな家族を「長旅で疲れているのね~」と言って、一番明るいお喋りなナイナイ。

告知って

そんな元気なナイナイを見ていたら、ビリーの親族がいうように告知しないで嘘を突き通す方がいいのでは?と思ってしまいました。病は気からっていいますもんね。

老齢で咳も出て、体調は優れないのにも関わらず、朝から活動的にタイチーの動きをビリーに教えるナイナイ。「はっ!はっ!」と大声を出すことで、悪い気を払うことが出来ると言って、ビリーにもさせるのですが、そうやって身体を動かし声を出すことでビリーの顔にも自然と笑みが溢れてきます。

笑えてほっこり、そして涙

ガンで余命宣告・・・というだけで、あ~暗い映画なのかなー。と思ったのですが、とんでもない!めちゃくちゃ笑えました!

ナイナイの検査結果を家族全員先回りして受け取り、怪しい書類偽造ショップに行って検査結果を捏造したり・・・親族が一致団結してナイナイのために必死になって「優しい嘘」をつこうとする姿に思わずホッこり涙してしまいました。

映画『フェアウェル』トリビア情報

本作品は先にも述べたように、監督の実体験に基づくお話。どこまでが本当でどこまでが脚色された部分なのか?というと実際に監督の祖母はステージ4のガン宣告を受け、家族全員が本人には告知しなかったのです。

その上、監督がこの映画の撮影を中国で行うにあたって、祖母には「中国系アメリカ人が祖国に一時帰国しておばあちゃんと数日を過ごすお話」と「優しい嘘」をついたそう。

祖母は撮影場所にも来て役者陣とも顔を合わせたそうですが、それでも決して祖母には映画の内容は語らず、家族の誰もが映画公開前にきっと亡くなるだろうから、言わないほうがいい、としたそうです。

しかし、中国で公開されるにはもちろん中国語の題名がつくわけです。

ちなみに、邦題は『フェアウェル』、英語題はThe farewell。中国語の映画の題名というと・・・「彼女には内緒(Don’t tell her)」(笑)だからタイトルもまだ決まってない、と祖母には言わなかったらしいです。*1 

ちなみに、トリビア情報ですが、祖母ナイナイの妹役を演じているのは本物のナイナイの妹さんだそう!なかなかの演技力でした!

そして、サウンドトラックのピアノ演奏は、元クラシックピアニストの監督自身が演奏されています!

まとめ

映画『フェアウェル』は、ユーモア溢れたハートウォーミングな作品で、見終わったあとにおばあちゃんの声が聞きたくなること間違いなし!?

私は祖父母とビリーのように近くなかったので、あ~、こんな風におばあちゃんと過ごしたかった!と思ってしまいました。祖父母ナイナイへの家族の想いに、そしてナイナイの孫ビリーに対する無条件な愛情に胸が温かくなります。

映画『フェアウェル』は、ただいま全国公開中!

参考:

*1 https://www.npr.org/2019/07/24/744805282/filmmaker-lulu-wang-based-the-farewell-on-her-family-s-real-life-lie