映画『ステップ』あらすじ、キャスト、ネタバレ感想&評価!号泣間違いなし!父子家庭経験者の目から

2021年7月15日

映画『ステップ』

特に前知識もなく映画『ステップ』を先日視聴しましたが、結果、大満足です!

私の大好きな作家・重松清さん原作の同名小説を映画化したもので、山田孝之がシングルファーザーとして幼い娘を男手ひとつで育てながら二人で成長していく10年間の様子が描かれた作品で涙なしでは見られません。

ここでは、映画『ステップ』のあらすじ、子役・妻役などキャストの紹介、ネタバレ感想&評価、そして、なぜにあの中川大志がカメオ出演しているのか?などについてもお話しちゃいます!

映画『ステップ』作品情報

公開年:2020年

原作者:重松清

監督・脚本:飯塚健

出演:山田孝之、國村隼、余貴美子、広末涼子、伊藤沙莉、川栄李奈、角田晃広、田中里念(9〜12歳)、白鳥玉季(6〜8歳)、中野翠咲(2歳)

上映時間:118分

配信元:エイベックス・ピクチャーズ

映倫区分:G

映画『ステップ』あらすじ

結婚3年目で30歳という若さで妻・朋子を亡くした健一は、2歳半の娘・美紀のために時短勤務が許される総務部へ異動した。

朋子が亡くなった時、義理の父母が娘を引き取ろうかと、また、義理の兄夫婦は養子に受け入れようかと提案してくれたが、健一は男手一つで美紀を育てることに決める。

周りの人々の助けを得て、さまざまなピンチを乗り越え10年間が経ち、健一は素敵な女性・奈々恵と出会うが、美紀は奈々恵を受け入れられずにいた。

ある日、健一と美紀を見守り続けてくれていた義父が倒れたと連絡を受ける。

「思い通りになる人生はない」残された者たちが新たな一歩を踏み出す物語。

映画『ステップ』キャストの紹介

メインキャストをご紹介します!

山田孝之(役名:武田健一)

30歳~40歳のどこにでもいそうなシングルファーザー・健一を演技派の山田孝之が好演しています。

ドラマ「WATER BOYS」でドラマデビュー後に映画『電車男』で初主演。映画『クローズZERO』『イキガミ』『クローズZERO II』『BOSS』ではかなりワイルドな役柄を演じたり、また、ドキュメンタリー「山田孝之の東京都北区赤羽」では本人役を演じたりと、常に新境地を開拓しようとしてましたね。

その後は舞台「フル・モンティ」などにも挑戦。

本作品の健一のようなふつうのお父さん役を山田さんがすることに少しビックリしましたが、本当に良かった!心の機微を表現できる素晴らしい役者さんだからこそ成功した映画でしょう。

映画『ステップ』の子役は3人!

父親・健一と娘・美紀の10年間を描いた作品ということで、作者の重松清さんは一番外見が変化する2歳から12歳の美紀を映像化するのは難しいのでは・・・と思っていたそうです。

美紀役は、2歳を中野翠咲が、6〜8歳を白鳥玉季が、9〜12歳を田中里念が演じていますが、全く違和感ありませんでした。この時期の年齢の子供は見違えるように成長するものなので、全く違う3人の子役が演じていたわけですが、彼女達の演技力もあり何の問題もなかったです。

6〜8歳の美紀を演じた白鳥玉季は、ドラマ「凪のお暇」でうらら役を演じた子で、安定の演技力!

そして、9〜12歳の美紀を演じた田中里念永も映画『恋は雨上がりのように』など映画やドラマで活躍している女の子です。

私としては2歳の美紀を演じた中野翠咲が可愛すぎました~!カッコイイ山田孝之さんが娘をギュッと抱きしめるシーンなんてもう母性本能がくすぐられまくりましたよ!

脇を固める役者陣

國村隼(役名:村松明)・・・朋子の父親、つまり健一にとっては義理の父にあたるわけですが、自分の息子のように接し、優しく、時には厳しく健一に接する愛情溢れたおじいさん役を演じています。

極悪人を演じたかと思えば、本作品の明のように普通のおじいちゃんも演じられるさすがの演技力です。

余貴美子(役名:村松美千代)・・・朋子の母親、健一の義理の母。健一と美紀を温かく見守るおばあさん役。

余さんのあの優しい声と立ち振る舞いが本作品にぴったりでした。

広末涼子(役名:斎藤奈々恵)・・・朋子が亡くなって10年経った頃に健一の会社に出向してきた社員。健一の大切な人となります。

伊藤沙莉(役名:ケロ先生)・・・美紀の保育園の先生。育児に慣れない健一の良き理解者。

2021年5月現在放送中のドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」では、あのハスキーボイスでナレーションを担当しており、伊藤さんの顔が見たいなぁ、と思っていたところにこの映画に登場していたので、嬉しかったです♪

川栄李奈(役名:武田朋子、成瀬舞)・・・亡くなった朋子として、声と遺影のみの出演ですが、朋子に似たカフェの店員・成瀬舞役として出演しています。

角田晃広(役名:村松良彦)・・・朋子の兄、健一の義理の兄。場の雰囲気を明るくしてくれるキャラ。

角田さんは、大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」「これは経費で落ちません!」「半沢直樹」、そして2021年5月現在放送中のドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」などの話題作に数々出演しておりプチブレイク中です!

映画『ステップ』ネタバレ感想

本作品は、作家・重松清の同名小説が原作です。

重松さんといえば、映像化された作品がたくさんあってドラマ「とんび」「流星ワゴン」「ブランケット・キャット」など家族の再生の物語を多く書かれています。

映画『ステップ』も30歳で妻を亡くした男性・健一が2歳の幼子を抱えてシングルファーザーとして、周りの協力を得ながら娘・美紀とともに成長していく、哀しみからの再生を描いています。

実は私も母親を幼くして亡くしており、私の父は40歳にしてシングルファーザーとなり姉と私を育ててくれました。

そんな父も数年前に他界し、日常の忙しさの中で段々と父を想う機会が減ってきていたところ、本作品を視聴し、当時の父の哀しみや苦労を想像し号泣してしまいました。

保育園のケロ先生

健一は、職場復帰するとともに2歳半の美紀を保育園に預け始めます。

美紀は2歳半にして、頑張っている父親に迷惑をかけてはいけないと、泣きもせず無事に保育園デビューをしますが、だんだんと元気がなくなります。大好きなケロ先生や保育園でも以前のように楽しめてない様子。

ある日、健一が残業のため、保育園へのお迎えが遅くなると、保育園ではケロ先生にしがみつくように眠る美紀が。

いつも優しいケロ先生が「お父さんが忙しくて大変なのは理解出来ます。しかし、時々美紀ちゃんを抱きしめてあげてください。美紀ちゃんを甘えさせてください。」と健一に言います。

こういうことを言うのってとても勇気がいりますよね。頑張っているお父さんに他人がどこまで言っていいものか・・・・・・でも、ケロ先生にとっては美紀ちゃんを第一に考えるのが仕事。こんな先生がいたら素敵ですよね。

そして、ケロ先生が「お母さん、もっと美紀ちゃんを抱っこしたかっただろうな」と言ったときは、もう涙が止まらなかったです。母親・朋子の無念さを想うと同時に亡くなった私の母の無念さに思いを馳せ、号泣。

小学校の先生

ケロ先生とは違い、この小学校の先生はまったくもって無神経な先生。

母の日に母親の絵を描くという図工の時間に美紀ちゃんはどうすればいいでしょうか?と父親に聞いてくるって・・・・・・マニュアル通りにしか行動出来ない人間ってこうなるんですよね。

美紀は写真をもとに母親の絵を描くしかないんだから、図工の時間はクラス全員が写真持参でお絵かきをすればいいのでは?!

そして、美紀がお母さんはいつも側にいる、と言ったら「嘘は困る」と言う先生。

子供がどういう意図でそういうことを言ったのか、なぜ考えようとしないのだろう。

でも、これが現実なんですよね。たった一人の生徒の事情になんか付き合ってられない、という。

私もすぐ近所に親戚がいましたし、亡くなった母親の友人もすぐ近くに住んでましたが、みな母が亡くなって間もない頃は差し入れをももって来てくれたりしましたが、しばらくするとそれがパタッと止みます。

ある時を境に「自分の痛みは他の人の痛みではないんだ」と学びました。

隣の親戚の叔母さんの家の台所から美味しそうな夕食のにおいがするのを嗅ぎながら、子供ながらに「現実はこうなんだ」「私達だけで生き抜かなくては」と強く思ったのを覚えています。

具合が悪くなる美紀

広末涼子演じる奈々恵は離婚し子供を死産している女性。健一は妻が亡くなって10年目にしてはじめて「大切な人」が出来たわけです。

初めは美紀は奈々恵に会うことに同意したのですが、会った後は具合が悪くなり食べたものは全て吐いてしまう・・・・・・

このシーンで思わず「ウチだけじゃなかった」と言葉に出しそうになりました。

私の姉も美紀ちゃんと全く同じで、父親が「会わせたい人がいる」と言って日程を決めると決まってその前日に具合が悪くなってました。

私は幼かったので当時の記憶は曖昧ですが、私はてっきり姉が仮病を使っているのかと思っていましたが、ある日あまりにも腹痛がひどくなり救急車を呼んだことを覚えています。

家族として向き合い諦めなかった健一

健一は、義理の父親・明に諭され諦めずに美紀の気持ちと向き合う決心をし、亡くなった妻・朋子と奈々恵と健一と美紀の4人で向かい合おう、と美紀に言います。そして、その後から美紀は奈々恵を少しずつ受け入れるようになります。

私の家族の場合はそうはならなかった。

私の父親も何度と無く父がお付き合いを始めた人と私達を会わせようとしましたが、姉の身体が拒否反応を起こしてしまい、その後しばらくすると二度と父の口からその人の名前が出ることは、私達が成人して家を出るまでありませんでした。

この部分は少し羨ましかったですね。私の父が諦めてなかったらどうなったんだろう・・・とふと思います。

美紀の思春期を描いて欲しかった

映画の中では健一と美紀が全て家事を難なくこなしているようでしたが、その後美紀が中学校・高校へ上がるにつれて忙しくなり家の中はもっと散らかってくると思いますので、せめて中学くらいまでを描いて欲しかったかな、と思います。

私達の場合は、父親は仕事で最前線のサラリーマンとして働き、中学・高校へ上がった私達は勉強と部活動でとてもじゃないですが家事をする時間なんてありませんでした。

そして、思春期は父親と口なんか聞きませんからね、そこら辺の父親の葛藤も見たかったですが、それとも今の親子関係は友達みたいなので、違うのかなぁ。

映画『ステップ』は若干きれいごと過ぎるけど感動できる

父子家庭を経験した身からすると、映画『ステップ』はきれいごと過ぎる感は否めません。

物語の中で苦労と言ったら保育園の時に美紀が元気がなくなった時と、小学校で「普通の家庭」でないことを実感させられた時と、父親の大切な人を紹介した時でした。

実際は、この何百倍も大変!

子供にとっても母親がいないことの大変さは口では語りきれないもので、とにかく家の中が荒れ果てました。それが物語の中では一切ない。洗濯中に居眠りしたり、洗ってない食器がシンクのなかに溜まってたくらい。

正直、こんな感じだったら良かったな、というのが父子家庭を経験した人間の感想です。

また、登場人物がみんな良い人で悪人が全く出ない物語というのは、少し現実離れしてるという感じがしますね。美紀にとってのおじさん、おばさん夫婦も優しい!

しかし、それでもなんとかこの物語にのめりこむことが出来たのは、役者陣の素晴らしい演技のお陰です!健一や美紀の哀しみ、また、おじいちゃん明の彼らを思う気持ちは本物だ、と感じることが出来感動しました。

あれって中川大志?

物語の内容とはまったく関係ありませんが、健一が上司とランチをする場面で必ず若いサラリーマンが店から出てきます。

楊枝をくわえてたりして、あまりにもそこら辺にいそうなサラリーマンだったので気づきづらいかもしれませんが、やはりそこはイケメン。「あれ?中川大志?」と私はすぐに気づきました。

そうなんです!中川大志がカメオ出演してます。全く台詞なし!

映画『ステップ』の飯塚健監督の作品なら通行人でもいい!出してくれ!と現場におしかけ飯塚監督に頼み込んで実現したそうです。

映画『ステップ』を観る方法

映画『ステップ』はBlu Ray&DVDでご覧になれます!