映画『ファントム・スレッド』あらすじ、キャスト、ネタバレ感想&解説 題名の意味は?

映画『ファントム・スレッド』

大晦日にいつも映画を1本観るのですが、2020年の大晦日は映画『ファントム・スレッド』をチョイス。
アカデミー賞を3回受賞しており、本作品で引退したダニエル・デイ=ルイスが主演。

上映時間約2時間10分という長い映画ですが、飽きることなくどっぷりと1950年代のオートクチュールの世界を舞台に究極の恋愛ゲームをする二人のキャラクターに翻弄されたひと時でした。

ここでは、映画『ファントム・スレッド』のあらすじ、キャストの紹介、そしてネタバレ感想と題名に込められた意味などを含めて解説していきたいと思います。

写真引用:映画『ファントム・スレッド』公式サイト

映画『ファントム・スレッド』作品情報

原題:Phantom Thread

公開年:2017年

監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン

出演:ダニエル・デイ=ルイス、レスリー・マンヴィル、ヴィッキー・クリープス

上映時間:130分

配給:ビターズ・エンド、パルコ

映倫区分:G

映画『ファントム・スレッド』あらすじ

1950年ロンドンが舞台。

有名なオートクチュールの仕立て屋レイノルズ・ウッドコック(ダニエル・デイ=ルイス)と彼の妹シリル(レスリー・マンヴィル)は、イギリスファッション業界の中心的存在におり、皇族や著名人、スターらにウッドコックのセンスが光るドレスを提供し続けていた。

ある日、若いウエイトレスのアルマ(ヴィッキー・クリープス)と出会い、レイノルズのパーフェクトで穏やかな人生がアルマとの恋愛によって崩壊していく。

映画『ファントム・スレッド』キャスト

ダニエル・デイ=ルイス(役名:レイノルズ・ウッドコック)

役柄:イギリス、ロンドンのオートクチュール界で脚光を浴びているデザイナー


ダニエル・デイ=ルイスと言えば、過去3回アカデミー賞を受賞した唯一の俳優。

過去の作品を観ていただくと分かりますが、ダニエルは役に憑依し英語のアクセントまでもその役柄に忠実に変え、ダニエルが話しているとは思えないくらいに声を変えることが出来る役者さんです。

まだ63歳ですが本作品で引退、ということで残念!

ヴィッキー・クリープス(役名:アルマ)

役柄:ウエイトレスをしている時にレイノルズに見初められ、恋に落ちる。


ルクセンブルク出身で父親が映画配給会社を経営。

日本ではまだ名前が知られていない役者さんですが、2008年ごろからドイツ、フランス、スイスなどのテレビや映画に出演してます。

本作品が英語での初出演。そして、ポール・トーマス・アンダーソンというアカデミー賞常連の鬼才監督の作品でダニエル・デイ=ルイスの相手役ですから大抜擢ですね。

レスリー・マンヴィル(役名:シリル)

役柄:レイノルドの未婚の妹でビジネスでは彼の右腕。


イギリスの名脇役です。
映画『家族の庭』で英国アカデミー賞助演女優賞にノミネート、また本作品でもアカデミー助演女優賞にノミネートされました。

映画『ファントム・スレッド』ネタバレ感想&解説

毎年、大晦日に映画を観るのは私達夫婦の恒例行事で、映画館に行くこともありますが、NetflixやAmzonプライムなどで配信されている映画の中から選ぶこともあります。今年は家でまったりシャンパンを飲みながら過ごしたい気分でこの映画『ファントム・スレッド』をチョイス。

まったくレビューも読まずに予備知識なしで観始めたのですが、少しフィルターがかった1950年代のロンドンのオシャレなアパートメントやオートクチュールの世界に気づいたらどっぷり浸かっていました。

奇妙な兄妹関係

出だしはレイノルズと妹のシリルが暮らしスタジオを持つロンドンの美しいアパートメントにたくさんの針子さんたちが出勤してくる様子から始まります。

そして、朝食の風景。
初めは女性二人にレイノルズの関係性が分かりませんでしたが、若い女性・ジョアナの方がレイノルズと口げんかを始め「一日の始まりを口げんかで始めたくないんだよ。」というレイノルズの丁寧だけど横柄な態度から、この二人の関係性はレイノルズ主導だという事が明白。

そして、後で妹のシリルが「ジョアナのことはどうするつもり?」と言って兄のためにジョアナを追い払うようにセッティングするのですが、その時の彼女の穏やかな冷酷さが怖いっ!

いい歳した兄の恋愛事情に妹が首を突っ込むというのが、この二人の関係性がヘルシーでないことが分かりますよね。

アルマとの出会い

アルマのモデルとしての完璧なフォルムに魅了されたレイノルズは、アルマを早速モデルとして活用し始めます。

アルマは、ウエイトレスからいきなり上流階級の世界へというシンデレラのような展開にもう、うっとり。デザイナーでアッパークラスの英語を喋り、スポーツカーを乗りまわす大人の男性にイチコロです。
この時のアルマ役のヴィッキー・クリープスの頬がピンク色でまさに恋する少女なんですよ。

幼児性

レイノルズは感情の起伏が激しく、ジョアナを冷たく捨てる様子から、人を愛するとはどういうことかを知らない幼児性がある人物で彼に問題ありかと思いきや、このアルマとレイノルズは二人とも結構似たもの同士なんですよね。

アルマは若いこともあって思ったことをはっきりと口にします。ドレスの衣装合わせの時の様子。

アルマ:「このドレス好きじゃない。」
レイノルズ:「きみの趣味は良くない」
アルマ:「自分の好みが好きなの」
レイノルズ:「それが揉め事のもと」
アルマ:「揉め事を起こしたいのかも」

というような会話があるのですが、もう口げんかが低レベル!そしてレイノルズは殆ど精神年齢が子供。

ユーモア

この映画、結構ユーモアがあって笑えます。

レイノルズの発言がいちいちお高くとまってて、彼の嫌味な台詞に思わずクスッとしてしまうのです。

アルマが仕事中のレイノルズにお茶を持っていくのですが、なぜかイライラしてる彼。
「お茶なんかいらない」「邪魔なだけだ、あっち行け」とレイノルズが言って、アルマが「今去ります」と言うと「お茶は去っても“妨害”はまだここにある」というなんともいやらしい言い方をするのですが、この台詞に思わず苦笑。

一度朝食の場面でアルマがガチャガチャ音を立てて食べてる様子に腹を立てたレイノルズに、アルマがわざと彼が嫌う音を立ててお茶を注いだりして、その場面も笑えます。

もう、こんな精神年齢が幼児な老齢男と別れちゃえばいいのに!と思うのですが、アルマも「揉め事をおこしたいのかも」という口げんかのフレーズから分かるように、トラブルが好きなんですよね。

だから、レイノルズとの口げんかも楽しんでいて、彼女にとってはゲームになってきている感じが。

優位性と毒キノコ

しかし、楽しんでいてもゲームは勝ってなくちゃ面白くないです。
そこで、誰が優位であるかを分からせるべく、二人の攻防戦が始まります。ここまでくると病的。

そこで、毒キノコ登場・・・

怖いですね~。ちょっと生意気だから懲らしめてやろうって感じでしょうか。

昔、私の女友達が会社の上司にパワハラ受けてて、雑巾の絞り汁を上司のお茶に入れていたのを思い出してしまいました。こわっ!

そして、結婚後、自分のお客が他に流れたりしたことでイライラし、アルマに八つ当たり。それに怒り心頭の彼女は、またもや毒キノコをゲームのツールに。そして、今回はレイノルズもそれに気づいていて、毒キノコを自ら口にする・・・

やはり病的ですね。こういうギリギリのところでのゲームが好きな二人。

『ファントム・スレッド』の意味

題名の『ファントム・スレッド』は、ビクトリア朝時代の針子たちは長時間手縫いで縫う作業を強いられたため、仕事から家に帰っても指の先がピクピクと動いた様子を、「幻の糸を縫っている」と表現したところからきているそうです。

そして、この映画がなぜ『ファントム・スレッド』なのか?

もちろん、答えは人それぞれかと思いますが、レイノルズが初めてアルマと食事をした際に、自分のコートの下地との間に亡くなった母親の髪の毛を入れて自分の身に着けている、と言った場面を覚えてますでしょうか。

亡き母に対する異常な執着愛。16歳で仕立ての技術を習い、母親のためにドレスを作った彼は、母親の死後もドレスを永遠に縫い続ける・・・ファントム・スレッドなのかもしれません。

まとめ

正直、彼らの関係は全く理解出来ませんが、こういうカップルいますよね。そして、ケンカばかりしているのになぜか別れない。仕舞いには子供までも作っちゃう・・・

しかし、こういう愛の形もあるのかもしれません。そして、恋愛にスパイスは必要とよく言いますが、スパイスじゃ物足らなくて毒キノコにいたった二人なのかもしれませんね。

映画の中で流れるジョニー・グリーンウッドの音楽も素敵でうっとりするような静かな気分にさせてくれます。ある意味、大晦日にぴったりの映画。そして、大人のための恋愛映画でした。おすすめです!

Amazonプライムで字幕版が楽しめます。