『ビリーブ 未来への大逆転』マイノリティのために戦った女性の実話に基づくお話
85歳となった今もアメリカの最高裁判事を務め、RGBという愛称で多くの人たちから親しまれ尊敬されているルース・ベイダー・ギンズバーグ。1970年代に彼女がアメリカで前代未聞の男女平等裁判を起こした事実に基づいたフィクション『ビリーブ 未来への大逆転』を観ました!
当時の法曹界は、男尊女卑が当たり前。そんな時代に男女平等権を勝ち取るためにルース・ベイダー・ギンズバーグが、妻として母としてどんな苦労をしながら裁判に挑んだのか。観終わった後は、元気がもらえるそんな映画です。
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『ビリーブ 未来への大逆転』作品情報
原題:On the Basis of Sex
公開年:2018年
監督:ミミ・レダー
出演:フェリシティ・ジョーンズ、アーミー・ハマー、ジャスティン・セロー、キャシー・ベイツ
上映時間:120分
配信元:ギャガ
『ビリーブ 未来への大逆転』あらすじ
1970年代のアメリカ。女性の権利が低く自分の名前でクレジットカードさえ作れなかった時代。弁護士ルース・ベイダー・ギンズバーグが勝利した前代未聞の男女平等裁判。法の専門家たちに100%負けると言われた裁判になぜ踏み切ったのか?そして、どうやって「大逆転」を成し遂げたのか?
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『ビリーブ 未来への大逆転』キャスト
フェリシティ・ジョーンズ(役名:ルース・ベイダー・ギンズバーグ)
写真出典:『ビリーブ 未来への大逆転』公式サイト
イギリス出身。名門オックスフォード大学に進学した才女。テレビドラマや長編映画でキャリアを積み、2011年に『今日、キミに会えたら』で、サンダンス映画祭でドラマ部門特別審査員賞を受賞。2014年『博士と彼女のセオリー』でアカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞にノミネートされる。
アーミー・ハマー(役名:マーティン・ギンズバーグ)
写真出典:『ビリーブ 未来への大逆転』公式サイト
ロサンゼルス出身。テレビシリーズ、『ヴェロニカ・マーズ』、『ゴシップガール』、『デスパレートな妻たち』などに出演。2010年『ソーシャル・ネットワーク』で双子のウィンクルボス兄弟を演じトロント映画批評家協会賞最優秀助演男優賞を受賞。2011年『J・エドガー』では全米映画俳優組合賞最優秀助演男優賞にノミネート。その他の出演作に2015年『コードネームU.N.C.L.E.』、2016年『バース・オブ・ネイション』、2017年『君の名前で僕を呼んで』など。
『ビリーブ 未来への大逆転』感想
写真出典:『ビリーブ 未来への大逆転』公式サイト
先日、ルース・ギンズバーグ判事↑が胆嚢炎で入院した、というニュースが流れましたが、数日入院しただけですぐに職場復帰をした、という・・・なんとすごい87歳なんでしょう!!!
リタイアする気は一切ない、ということで、やる気に関しては42歳で初めて男女平等権に関する裁判を起こしたときから全く衰えていない感じです。
本作品『 ビリーブ 未来への大逆転』は、1933年生まれのニューヨーク出身のユダヤ系アメリカ人、ルース・ベイダー・ギンズバーグの事実に基づいたお話です。
彼女は、コーネル大学で学士号を取得し卒業した数日後に、同窓生マーティン・ギンズバーグと結婚、そして、二人はハーバード大学ロースクールに進学します。
娘を出産した直後に、マーティンが精巣腫瘍と診断されます。マーティンはベッドから起き上がれない状態だったため、ルースはロースクールに毎日通いながら、二人分の授業に出席し口述筆記で夫の分の課題も提出していたそうです。その間、彼の看病、赤ん坊の娘の世話などを全て1人でこなしていた、というのですから、きっと想像を絶する忙しさだったと思います。
ただでさえ過酷な環境下である上に、ロースクールではなんと女児学生はたったの9人ということで学校内には女子トイレさえもなかったというひどい扱い。
写真出典:『ビリーブ 未来への大逆転』公式サイト
映画の中のワンシーンで、ロースクールのディーン教授(サム・ウォーターストン)がハーバードの女子学生全員をディナーに招待し、その席でルースに「あなたはなぜここにいる?あなたがここにいなければ男子にこの場所を与えることが出来たのに」と言います。女子学生を侮辱するためにわざわざディナーに招待するって、いったいどこまで性根が腐りきっているのでしょう・・・
ルースが夫の就職でコロンビア大学へ移籍せざるをえなくなった際も、通常、同じ状況の男子学生であったら他の大学で残りの課題を終えればハーバードの学位を与えるのにも関わらず、ルースは女性だから(もちろんはっきりとは言いませんが)、という理由でハーバードの学位を得ることは出来なかったのです。
のちにルースは、コロンビア大学で法学位を取得するわけですが、やはりハーバードの学位の方が就職に有利でしょうから、まったくもってひどい話です。
当時はニューヨークでも女性の弁護士が弁護士事務所に就職するのは困難で、その上ルースの場合は母親でありまた、ユダヤ系だったということも影響していたようです。面接で男性弁護士がルースの胸元に目をやったシーンは、当時の男性の女性に対する扱いを上手く表現していたと思います。
その後、世間ではフェミニズムブームが始まっていましたが、ルースは、どんなにプロテストしても法が変わらなければ何も変わらない、とし、大学で教鞭をふるいながら、さまざまな過去の性差別裁判の判例を調べつくすのでした。
写真出典:『ビリーブ 未来への大逆転』公式サイト
そこで性差別とされる過去の判例をルースは見つけ出します。
働きながら年老いた母親を介護している未婚男性チャールズ・モリッツが、納税の際に介護費用の控除が未婚の男性という理由で認められなかった、というものです。女性の権利を主張するには、認められていない数少ない男性の権利を主張し「男女平等」とするのが一番の近道だというルースの賢い戦略です。
そこで、ルースは、アメリカ合衆国内国歳入庁を相手取って訴訟を起こします。誰もが行政を相手取る裁判なんてクレイジーだ!と言い、協力どころか聞く耳も持ちません。しかし、ルースの粘り強い説得に公民権運動家のドロシー・ケニヨンも協力することにし、アメリカ自由人権会(ACLU)のメル・ウルフを巻き込み行政を提訴。
写真出典:『ビリーブ 未来への大逆転』公式サイト
この裁判のシーンですが、ルースが実際の裁判の経験が全く無かったために、ハラハラドキドキせずには観られないシーンなのです。最終的には、介護は女性がするものとする法律は性差別に当たる、ということを国に認めさせたのでした。
自身が経験した女性差別をバネに、マイノリティのために法律に立ち向かうルースの逆転劇に、観た人は爽快感とともに感動すること間違いなしです!Amzonプライムでご覧になれます。
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