映画『望み』あらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想&考察!息子は加害者か被害者か

2021年7月15日

映画『望み』

「検察側の罪人」で知られる作家・雫井脩介の同名小説を映画化したものが映画『望み』。誰もが羨む幸せな家族4人の生活が息子の失踪をきっかけに大きく変化。殺人事件に巻き込まれたかもしれない息子は加害者なのか、被害者なのか……

夫婦役は堤真一に石田ゆり子、息子・規士役に岡田健史、娘・雅役に清原果耶と豪華なキャスト!

ここでは、映画『望み』のあらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想&考察をお届けします!

映画『望み』作品情報

公開年:2020年

原作者:雫井脩介

監督:堤幸彦

脚本:奥寺佐渡子

出演:堤真一、石田ゆり子、岡田健史、清原果耶、竜 雷太

上映時間:108分

配信元:KADOKAWA

映倫区分:G

映画『望み』あらすじ

一級建築士の石川一登(堤真一)と校正者の妻・貴代美(石田ゆり子)は、高一の息子・規士(岡田健史)と受験を控えた中三の娘・雅(清原果耶)と、一登がデザインしたオシャレな家で幸せに暮らしていた。

規士はサッカーで怪我をして以来部活も辞め、無断外泊が増えるようになっていた。そんな折、規士が家に戻らず、連絡が途絶える。
家族みなが心配していた矢先、規士の友人が複数の人間によって殺害されたニュースを見て不安に。石川家のもとに警察が訪れ、規士も事件に関与している可能性があると知る。

息子は加害者なのか、それとも……

映画『望み』キャストの紹介

堤真一(役名:石川一登)

役柄:石川家の父親。一級建築士で自分のデザインした家に住み、隣接したオフィスでデザイン事務所を経営している。


堤真一の名前をキャストの欄に見つけただけで「見る価値がある映画」と思わせてくれる演技派俳優さんです。

私が一番好きな彼の出演作品は、映画『容疑者Xの献身』。主演の福山雅治を食っちゃうほどの演技力で、2008年ごろの作品でしたが、13年経った今でもラストシーンが印象的で心に残っています。

石田ゆり子(役名:石川貴代美)

役柄:幸せそうな4人家族の母親。在宅で校正の仕事をしている。


毎年一体何本の映画に出ているんだろう?と思わせるほど、引く手あまたの女優さん。
普通のお母さんから恋愛する独身のかっこいい女性までも演じられ、そして、名前だけでも観客を集めることが出来る女優さんですね。

岡田 健史(役名:石川規士)


役柄:石川家の長男。サッカー部で活躍していたが怪我が原因で内に篭るようになる。


ドラマ「中学聖日記」で有村架純の相手役として抜擢されてデビュー。今年も大河ドラマへ出演していたりと今後活躍が期待される若手俳優さん。

先日、事務所に対して契約解除申し立ての裁判を起こしたというニュースが飛び込んできました*1が、デビュー3年でせっかく順調な俳優人生をスタートしたばかりですので、スムーズに解決することを祈ります。

清原果耶(役名:石川雅)

役柄:石川家の長女。規士の妹。成績優秀で受験を控えている。


NHK連続テレビ小説の『あさが来た』そして『なつぞら』に出演し、特に「なつぞら」では当時17歳にして20代から40代の役を何の違和感もなく演じて彼女の演技力が全国区になりました。

2021年5月17日から放送が始まった「おかえりモネ」ではヒロインを演じています。

映画『望み』ネタバレ感想&考察


ミステリーで知られる雫井脩介が原作ということでミステリーだと思ってみていたのですが、ジャンルはサスペンス。

行方不明になった息子が近所で起こった殺人事件に関与しているかもしれない・・・それが明らかになるまでの家族の「規士はやったのか?やってないのか?生きているのか?死んでいるのか?」

人間の不安や恐怖の心理を描いた作品です。

天国から地獄へ

天国から地獄へとはまさにこのことか、と思うほどで、物語の出だしでは、誰もが羨むような絵に描いたような幸せな家庭風景が描き出されます。

一級建築士のカッコイイパパに、そのパパがデザインした素敵なおうちに住む綺麗なママ。あんなお家に住んでみたい~と思わず言ってしまいそうになるくらい。

しかし、息子は反抗期っぽく、ろくにお客さんに挨拶も出来ない。一方、娘は愛想がよく、難関校を目指す出来た子、という、まーどこにでもありがちな風景。

しかし、息子が外出して以来連絡が途絶え行方不明になり、殺人事件に関与しているかもしれない・・・となったあたりから石川家に暗雲がたちこめます。

素晴らしい役者陣


まず、役者陣が最高でした!

終始ピーンと緊張感が張った中では芝居は大仰になりがちですが、堤真一も石田ゆり子も大げさになり過ぎない演技で観ている側にリアリティ感を持たせてくれ、そのお陰で「もし、規士が自分の息子だったら・・・」と自分に置き換えてみることが出来ました。

そして、脇役陣も良かった。特に高山建設社長の高山を演じた竜 雷太

殺害された少年を孫にもつ卸業者と公私共に長い付き合いであることから、石川一登の息子が加害者かも知れないというニュースが出始めたことで、石川に辛くあたる人物を演じています。

高山が規士が友人を助けようとして亡くなったことを知ると、崩れ落ちるようにして泣き石川に謝るのですが、そのシーンで観ている私も号泣

メディアの罪

観ていて何が辛かったというと、まず、息子が加害者かもしれない、被害者かもしれない、死んでいるかもしれない、というつかみどころのない不安

親というものは、子供がいつもより少し帰りが遅いだけで心配になるものです。

安否が分からない上に、ひょっとしたら加害者で逃亡中なのかもしれない、という恐怖。

映画の中では、メディアがこれでもか!という具合に石川夫妻に恐怖を煽ります。捜査中でまだ何もはっきりと分かっていない段階であるにも関わらず、メディアは規士が加害者で逃亡中であるかのように報道し、それにSNSなどで追随する人々。

暴走する社会的制裁の恐ろしさを改めて実感しました。

そして、母親の不安心につけこみ、週刊誌の記者・高山は事件解決後の単独インタビューを約束させ、それと引き換えにまだ発表前の事件の情報を母親にリークします。

これはとても真実味ありましたね。”知らない”って本当に恐怖なんですよね。藁をもつかみたい心境の母親を高山の登場で上手く表現出来てました。

しかし、結局「規士君は、加害者の可能性が高い」と言っていた高山の情報も間違っていた。

最後は、規士が亡くなっていたことで母親へのインタビューは無くなりました、と言っていましたが、あそこは少しムリがありますね。週刊誌記者だったら、亡くなった母親の心境を何がなんでもインタビューすると思いますので、無理にまとめた感は否めません。

3人の望み

物語の中で家族3人の望みは同じようで違いました

母親は加害者でもあってもいいから生きていて欲しい。

父親は、建設会社の社長からなじられ、新規の顧客には仕事をキャンセルされ、全てを失う可能性が出てきます。しかし、周りがどんなに規士を加害者として扱っても、自分の息子の無実を最後の最期まで信じました。

父親が息子が加害者ではない、と信じることでそれは息子の死を意味する、と思ってしまう母親の心理描写も素晴らしかったです。

妹は、同級生から「身内に犯罪者が出れば高校入学は難しい」と言われ、自分の人生を案じます。加害者の家族は仕事も無くし、結婚も出来ない、という情報に不安を感じ「お母さんの前では言えないけど、お兄ちゃんが被害者の方がいい……」と思わず本心を父親に吐露。

3人の望みが交錯していましたが、どうであっても悲劇です。

「揉め事に関わってないか?」と規士にたずねた父親の直感は正しかった。

「子供って良い子であればあるほど、親に相談できない」このフレーズが刺さりましたね。どんなに親が子供との距離を縮めようとしても、子供には子供の世界がある……

石川家に平和は戻ったのか

映画のエンディングでは石川家に平穏が戻ってきたかのように描かれてました。

確かに、加害者の家族になったら平穏な暮らしは一生望めなかった。

そして、規士が友達のために事件に巻き込まれて命を落としたという事実は、家族に”規士は心優しい子だった”と再認識させられたことで親としてそれは嬉しかったことだと思います。

しかし、映画を観終わった後でふと思ったんですよね。私が妹の雅だったら後悔の念に苛まれるだろうと。

実際に雅は「被害者の方がいい」と言っているのですから。決して雅を責めているのではなく、その部分は全く映画の中で触れられなかったことに少し違和感を感じました。

久々に見ごたえのある映画で、やはり堤真一の演技は最高でした!

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本ページの情報は2021年5月時点のものです。
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参考:
*1 https://news.yahoo.co.jp/articles/8350275d6f675631f288b1075c6206e2f212ee81