映画『ミセス・ハリス、パリへ行く』あらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想 ほっこりとした気分にしてくれるチャーミングな映画

映画『ミセス・ハリス、パリへ行く』

一着のディオールのドレスに魅せられた家政婦ミセス・ハリスを描いたチャーミングなお話は、アメリカの小説家ポール・ギャリコの「ハリスおばさんパリヘ行く」が原作。

製作にはディオールが完全バックアップをし、当時のディオールのサロンやドレスを忠実に再現。ファッション好きにもたまらない作品です。主演は映画『ファントム・スレッド』で知られるレスリー・マンヴィル。

ここでは、映画『ミセス・ハリス、パリへ行く』のあらすじ、キャストの紹介、そしてネタバレ感想をお届けします!

映画『ミセス・ハリス、パリへ行く』作品情報

原題:Mrs Harris Goes to Paris

公開年:2022年

監督:アンソニー・ファビアン

脚本:キャロル・カートライト、アンソニー・ファビアン、キース・トンプソン、オリビア・ヘトリード

出演:レスリー・マンビル、イザベル・ユペール、ランベール・ウィルソン、アルバ・バチスタ、リュカ・ブラボー、エレン・トーマス

上映時間:115分

配給:パルコ

映倫区分:

映画『ミセス・ハリス、パリへ行く』あらすじ

舞台は1950年代のロンドン。家政婦として働く戦争未亡人のミセス・ハリスは、ある日クライアントの家で見たディオールの美しいドレスに魅せられ、自分も一着欲しい!と心に決める。

バス代を節約したり、ドッグレースにかけてみたりするもなかなかお金は貯まらない。すると、ちょっとした運が味方をしてくれ、初めて飛行機に乗りパリヘ行くことに。

ディオールのサロンでやっとドレスを一着を購入することになるが・・・

映画『ミセス・ハリス、パリへ行く』キャスト

レスリー・マンビル(役名:ミセス・ハリス)

役柄:戦争未亡人で家政婦として生計を立て、一人で暮らしている。


イギリスの名優。子役として舞台でキャリアをスタート。20代の頃からテレビの連続ドラマや映画にも出演するようになりマイケル・リー監督の常連で映画『人生は、時々晴れ』や『家族の庭』など。

最近ではテレビドラマ「ラブライフ」のナレーションを務めたり、また人気Netflix歴史ドラマ「ザ・クラウン」の最後の2シーズンではマーガレット女王を演じる予定です。

俳優ダイエル・デイ=ルイスの引退作品となった映画『ファントム・スレッド』ではアカデミー賞助演女優賞にノミネートされました。

イザベル・ユペール(役名:クロディーヌ・コルバート)

役柄:ディオールのサロンマネージャー


ユペールを一気に国際的女優にしたのは2001年の映画『ピアニスト』でしょう。主演のエリカ役でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞しました。

アメリカのアカデミー賞にあたるフランスの演劇賞セザール賞主演女優賞に過去最多の14回ノミネートされており、映画『エル ELLE』でアカデミー賞主演女優賞に初めてノミネートされました。

3人の子持ちで娘のロリィタ・シャマはフランスで活躍する女優さんです。

アルバ・バチスタ(役名:ナターシャ)

役柄:ディオールの駆け出しのモデル


ポルトガル出身。Netflixドラマの「シスター戦士」の主役エヴァで知られています。

リュカ・ブラヴォー(役名:アンドレ)

役柄:ディオールのサロンの財務担当


フランス人モデル&俳優。父親はフランスのフットボール選手、母親は歌手。20代半ばで俳優としてデビューし、映画『エミリー、パリへ行く』のガブリエル役で知られています。

ジェイソン・アイザックス(役名:アーチー)

役柄:ミセス・ハリスの友人。ドッグレース場で働く。


リヴァプール出身。

映画『アルマゲドン』のロナルド・クインシー博士役、『ハリー・ポッター』シリーズのルシウス・マルフォイ役、またテレビシリーズ「アウェイク 〜引き裂かれた現実」の刑事役など脇役もでき主役もはれる役者さんで引っ張りだこです。

映画『ミセス・ハリス、パリへ行く』ネタバレ感想

人生において何が大切か。周りの目など気にせず、自分の信じた道に立ち止まる突き進むことで開けてくる未来がある。そんなことを教えてくれる映画です。

本作品は冒頭で述べましたが、アメリカの小説家ポール・ギャリコが55年前に出版した「ハリスおばさんパリヘ行く」が原作となっており、私の大好きな本です。もちろん若干お話の内容は異なってきますが、小説ファンをも裏切らない仕上がりになっています!

ファンタジー過ぎない絶妙な現実とのバランス

お話は決して裕福ではない家政婦のミセス・ハリスが、やっとの思いで貯めたお金でパリヘ行き、ディオールのドレスを購入するのですが、その過程で様々な人々に出会い、様々な問題に直面します。

まず、いきなりディオールに行って洋服を買うのは無理ということをミセス・ハリスは知りません。(当時はオートクチュールのみでの販売)

しかし、ラッキーなことにサロンの新作発表会に偶然居合わせたフランスのシャサーニュ侯爵の好意でサロンに入ることができます。そこで、テンプテーションという深紅色のドレスにミセス・ハリスは一目ぼれしますが、いじわるな上流階級のおばさんに横取りされてしまいます。

2番目に気に入った緑のドレスを購入することにしますが、そこからさまざまなトラブルが。

シャサーニュ侯爵は自分に気があるかも・・・と思っていたミセス・ハリスですが、シャサーニュ侯爵は、自分がミセス・ハリスに惹かれたのは自分が子供の頃寄宿舎で過ごした際に優しく涙を拭いてくれたメイドを思い出させるからだ、と無神経に告げます。それを聞きとてもショックを受けるミセス・ハリス。

これが、シンデレラストーリーなら、このシャサーニュ侯爵とハッピリーエバーアフターというエンディングを迎えるところでしょうが、それだと甘すぎるんですよね~。

そこを脚本家はちゃんと分かっている!だって、パリに行って旅行に行って侯爵夫人になる、なんてこと絶対ないですもんね。

また、憧れのパリへせっかく行けたのに、ごみ収集人たちがストライキをしていて町中がゴミだらけというのも現実味を帯びてて良かったです。

当時ディオールは業績が思わしくなく、サロンが従業員を解雇した際に、アンドレとミセス・ハリスがもっと一般の人にも手が届く洋服づくりとビジネスプランを提案し、魔法のように(^^;;クリスチャン・ディオールを説得してしまうのですが、この時代のファッション業界の移り変わりもお話に盛り込んでいたのもとっても良かったですね。

そして、ディオールサロンのマネージャーコルバート夫人の家にミセス・ハリスとアンドレが訪ねるというシーンでは、そこはきらびやかなディオールのサロンとは比べ物にならない古いアパート。戦争で重傷を負った夫の看病に疲れている夫人がいました。

華やかなディオールのサロンとまだ戦後の爪痕が残る現実とのバランスが絶妙だったと思います。

魅力的な脇役陣

脇を固めるのはフランスの名女優で映画『ピアニスト』で知られるイザベル・ユペールが冷たいマネージャー役。そして、『ハリー・ポッター』シリーズでおなじみのベテラン俳優ジェイソン・アイザックスがアーチー役として。

若手では超イケメン俳優のリュカ・ブラヴォー。ちょっと不器用でシャイなアンドレ役がぴったり。

そして、めちゃくちゃ可愛いアルバ・バチスタもとっても良かったです。特にアルバの美貌!美しいドレスに身をまとっている様子はため息ものでした。

諦めない

シャサーニュ侯爵の発言に傷つけられたり、やっとの思いで手に入れたドレスを駆け出しの女優に貸すも修復不可能なくらいにドレスをボロボロにされてしまったり、(巨乳のおねえちゃんとミセス・ハリスではサイズが全然違うじゃん・・・とツッコミたいのを我慢して)

こんな目にあったらもう人を信用できなくなってしまうのでは・・・という場面で、ミセス・ハリスの人柄や彼女の優しさをそのまま返してくれる人たちが周りにいたのです。

嫌なこともあるけど、ちゃんと周りの人を大事にしていれば、きっと自分に返ってくる。

そして、時には自分のために立ち上がることも大事!というのもミセス・ハリスは教えてくれます。
あのケチなクライアントのおばはんに「人をごみのように扱ってそのリターンに忠誠心を求めるなんて!」とハッキリと言って仕事を辞めた時はスッキリしましたね~!

もう一つ私が好きなシーンは、アンドレが「映画のようにはいかないんだよ」と言うと、ミセス・ハリスが「なぜそうでないと決めつけるの?」と言うのですが、その言葉はミセス・ハリスの生きざまそのものでいいんですよね。

初めっから諦めるのではなく信じることで自分が望む方へ人生は進む、ということをミセス・ハリスは実践しているのです。

生きていくうえで大事なことを教えてくれる映画ですので、ぜひぜひ若い視聴者(小学生高学年から大丈夫だと思います)の方にも見ていただきたいです!

 

映画『ミセス・ハリス、パリへ行く』は、2022年11月18日(金)より全国ロードショー!