映画『ジュディ 虹の彼方に』あらすじ・感想 日本公開に先がけて観て来ました!

2020年3月2日

『ジュディ 虹の彼方に』

ハリウッドの黄金期と言われる1930年代~1940年代に大活躍した歌手・女優のジュディ・ガーランド。日本では馴染みのない名前かもしれませんが、『オズの魔法使』のドロシー役と言えばお分かりになるかもしれませんね。

私もジュディに関する知識はその程度で映画館に足を運びましたが、私の中で近年観た映画の中ではトップ5に入るほど感動しました!鳥肌が止まらず映画の最後は涙なしでは見られません。ジュディ・ガーランドの輝かしいキャリアの影に隠された真実、そしてジュディの苦悩の晩年などが明かされた実話に基づくお話。

そして『ジュディ 虹の彼方に』で第92回アカデミー賞主演女優賞に輝いたレネー・ゼルウィガーの演技は必見です!

写真出典:『ジュディ 虹の彼方に』公式サイト © Pathé Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

『ジュディ 虹の彼方に』作品情報

原題:JUDY

公開年:2018年

監督:ルパート・グールド

出演:レネー・ゼルウィガー・フィン・ウィットロック・ルーファス・シーウェル・ジェシー・バックリー・マイケル・ガンボン

上映時間:118分

映倫区分:G

『ジュディ 虹の彼方に』あらすじ

ハリウッドの黄金期に大活躍し伝説のスターとも言われたシュディ・ガーランドであったが、1968年の彼女はテレビのレビュラー番組も途絶え、借金も膨らみ定住先もない状態で、二人の幼い子供たちと巡業ライブをする日々だった。

ある日、別れた夫から子供たちの親権を手放すように迫られ、切羽詰った彼女は子供たちとの幸せな生活のため、起死回生を賭けて5週間のロンドン公演へと向かう。


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『ジュディ 虹の彼方に』キャスト

レネー・ゼルウィガー(役名:シュディ・ガーランド)

『ジュディ 虹の彼方に』
© Pathé Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

ハリウッドで大活躍した伝説のミュージーカル女優シュディ・ガーランドを演じるのは、ジュディが亡くなった年の1969年生まれのハリウッド女優・映画プロデューサーのレネー・ゼルウィガー。

1993年『バッド・チューニング』で映画デビュー後数々の作品に出演し、2002年『ブリジット・ジョーンズの日記』に主演、続いて2003年の『シカゴ』ではアカデミー賞主演女優賞にノミネート。

2004年『コールド マウンテン』でアカデミー賞助演女優賞を受賞。そして本作品『ジュディ 虹の彼方に』では、第92回アカデミー賞主演女優賞を初めて受賞し演技力の高さには定評がある。2007年に世界中で一番稼ぐ女優と言われ、この世代では最も成功をおさめた女優と言える。

『ジュディ 虹の彼方に』感想

『ジュディ 虹の彼方に』
© Pathé Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

映画のストーリーは、1968年の亡くなる1年前のジュディとハリウッドの黄金期に幼い頃から活躍していた若いジュディの2つのお話が交錯しながらお話が進んでいきます。

若いジュディがMGM(Metro-Goldwyn-Mayer)映画製作会社からどんな仕打ちを受けてきたか、というストーリーが展開されますが、MGMのプロデューサー、ルイス・バート・メイヤーらしき人物がまだ幼い17歳のジュディの胸元を触ったり、顔を近づけたりといったセクハラをしていたと示唆する内容も出てきます。

ドラッグ・アルコール中毒というと、ハリウッドスターにあるよく聞く悲劇のお話、と思われるかもしれませんが、その始まりは若干17歳から。

会社の言うことに反発しつつも、『オズの魔法使』で一気にスターダムに上りつめた彼女は、まだ幼くほとんど子供です。大人の言うことに従うしか選択の余地はなかったでしょう。(親は一体何をしていたんだ!と思いますが、ジュディの親の話をするとまた長くなるので、また別の機会に)

マネジメントから言われるがままにダイエットピルを飲み(下のトリビア情報で詳細を記載しますが、ジュディが薬物に依存し始めたきっかけはマネジメントが与えたこのダイエットピルが原因と言われています)、18時間ぶっ続けで働かされ、私生活もコントロール、仕舞いにはセクハラも受ける。あまりにもひどい扱いです。

その影響で晩年のジュディは不安神経症に悩まされていて薬を常用。またレギュラー番組がキャンセルされたあとは借金を抱え定住先もなく、別れた夫から子供の親権を手放すように言われるのです。そんな彼女は、子供たちと一緒に住む環境を手に入れるべく、お金のために1968年ロンドン公演に向かいます。

『ジュディ 虹の彼方に』
© Pathé Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

同時期に5番目の夫となるミッキー・ディーンズ(フィン・ウィットロック)とロンドンで結婚式を挙げるのですが、幸せだった期間は短かったらしく、夫との関係性が悪化したことで薬やアルコールの量が増え、彼女のロンドンでのパフォーマンスも影響を受けます。

ふらふらでとてもステージには立てないように見えるのですが、マイクを握ったとたんにパワフルな美しい歌声を披露します。彼女の繊細さ、倒れてしまうのではないかという危うさに歌唱力の素晴らしさが伴い、全身に鳥肌が立つほど感動し、同時に思わず身を乗り出してスクリーンに近づいてしまいました。

そして、最後の一曲『オズの魔法使』の『Over the Rainbow / 虹の彼方に』を歌うシーンは涙なしでは見られません。

最後にジュディが「私を忘れないで。忘れないよね。」と観客に向けて言い、その6ヵ月後に47歳の若さで亡くなります。今でもこのシーンを思い出すと泣けてきます・・・

彼女の晩年があまりにも可哀想過ぎて泣いてしまうのですが、それに加え、本当の愛に飢えていた彼女の気持ちや切なさ、そして生きていくことの過酷さ、そんなことに視聴者である私たちは共感してしまうから、映画『ジュディ 虹の彼方に』は高評価を受けたのではないでしょうか。

命を燃やし尽くすかのように歌い、この世を去ったジュディ。虹の彼方で安らかに眠られることを祈らずにはいられません。

レネー・ゼルウィガーにジュディ・ガーランドが乗り移ったかのよう!

『ジュディ 虹の彼方に』
© Pathé Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

主演のレネー・ゼルウィガーは、1996年~2007年にかけて大活躍の女優さんでしたが、2010年頃からは40代というハリウッドではなかなかいい役が回ってこない年齢にさしかかったこともあったのでしょう、また、のちにインタビューで明かしていましたが「精神的にも疲れきっていた」という彼女は6年間映画界から遠ざかっていました。

その6年間、パパラッチは彼女を放っておきませんので、その度に撮られる写真から整形疑惑が持ち上がりました。レネーとは似ても似つかない顔になってしまった彼女の写真を見て、正直多くの人が「終わった女優」という認識だったと思います。

そんな彼女が2016年に『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』で復帰し高評価を受けます。(この時は昔の面影があるレネーの顔に戻っていたような気がします。)2019年にはNetflixドラマ『WHAT / IF 選択の連鎖』に出演するも作品自体は低評価。

そして、2018年にこの作品『ジュディ 虹の彼方に』でシュディ・ガーランド役を演じたのですが、まさにハマリ役。再起したと言っても過言ではないでしょう。

彼女の演技力、そして歌唱力の高さは『シカゴ』で知ってはいましたが、それを再認識しました!
一年以上かけて歌のレッスンを受け、シュディ・ガーランドの資料を読み漁り、彼女の動画は全て観た、とインタビューでも言ってましたが、ジュディの語り口、ステージ上でのマイクの持ち方や歩き方、歌い方全てがジュディが憑依したかようでした。

レネーをジュディに仕上げたメイクと衣装

『ジュディ 虹の彼方に』
© Pathé Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

実際にイギリスのTVパーソナリティ、ロレイン・ケリーとのインタビューでレネーは、「私だけの努力ではなくてヘアメイクや衣装、そして特殊メイクのおかげなのよ」と言ってるように、映画のもう1つの見所は、メイクと衣装でしょう。

1969年当時のジュディは47歳でレネーの年齢は50歳。
あまり年の差がないのですが、当時の映像を見ると、長年のアルコール・ドラッグの影響でしょうか、当時の実年齢より歳をとっているように見えます。なので、シワを作るためのメイク。そして、鼻も少し大きめにするために特殊メイクが施され、メイクの時間は毎回90分にも及んだそうです。

また、ステージ上で披露する舞台衣装や5番目の夫ミッキー・ディーンズ(フィン・ウィットロック)との結婚式でのシーンで着用していたドレスは、実際にジュディが着ていたものを忠実に再現していました。

第92回アカデミー賞『ジュディ』でレネー・ゼルウィガー主演女優賞受賞!

2020年2月10日にアメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催されたアカデミー賞授賞式では、主演女優賞に『ジュディ 虹の彼方に』のレネー・ゼルウィガーが輝きました!

過去に『シカゴ』、『ブリジット・ジョーンズの日記』でノミネートされたことはありましたが、受賞は今回が初めてです。

ジュディが経験したようにハリウッドの波乱万丈な人生を地で行くレネー。ジュディが再起をかけて命を燃やすかのように臨んだロンドン公演だったように、今回の作品はきっとレネーにとって、6年間のブランク後の大きなチャンスだったに違いないでしょう。彼女の全てを懸けた作品だったのだと思います。

これからもますます期待できる役者さんです。そして、なんと!映画のサントラ版もリリースするそうです。楽しみですね。

2020年3月6日から全国ロードショー。公式サイトは『ジュディ 虹の彼方に』から。

『ジュディ 虹の彼方に』トリビア情報

  • ジュディが所属していた映画製作配給会社MGMはタレントたちの私生活も過剰にコントロール・監視し、そして体重管理を徹底し、ジュディはほとんどチキンスープしか与えられなかった、とのちに述べています。減量のためダイエットピルとしてマネジメントから与えられたものは、現在で言うMDMのようなドラッグで、それが原因で睡眠障害を起こし、のちにドラッグ中毒となっていきます。一説では、眠らせず働かせるために与えたドラッグだったのではないか?とも言われています。
  • 元夫から子供の親権の話をされ、子供に電話をかけたとき、子供に「もしあなたたちが望むのであれば、お父さんと一緒にいてもいいのよ。」とジュディが言うと、娘が「ママとは一緒にいたくない」という日本語訳になってますが、英語では「頻繁に引越しをしなくても済むのは好きだわ」となってますので、もう少し優しいニュアンスですね。
  • 映画ではジュディがロンドン公演中に遅刻し、観客からパンが投げつけらるシーンがありましたが、実際はもっといろいろな物が飛んできて、タバコの灰、角砂糖、グラスなどを投げつけてきた輩もいたそうです。
  • ジュディは姉二人と幼い頃からジャクソン5のようにGumm(ファミリーネーム)シスターズとしてダンスや歌を披露していました。そして後にGummという名前の響きがよくない、ということでGarland(ガーランド)に苗字を変えたそうです。

参考:SLATE