映画『ハリエット』あらすじ、ネタバレ感想、ハリエット・タブマンに関するトリビア情報!

無抵抗だった黒人男性ジョージ・フロイド氏が白人警察官に首を押さえられ死亡した事件からまだ日が浅く、世界各地でこの事件に関する抗議デモが起きている中、黒人奴隷解放運動の先駆者と知られるハリエット・タブマンの映画『ハリエット』を視聴しました。

本作品は、シンシア・エリヴォにとって初主演で第92回アカデミー賞の主演女優賞にノミネート、そして彼女が歌うテーマ曲「スタンド・アップ」が歌曲賞でもノミネートされたという話題作です。

日本公開は、コロナの影響で延期になったりしましたが、やっと2020年6月5日に全国ロードショーとなりました。

ここでは、映画『ハリエット』のあらすじ、ネタバレ感想、そして、映画のトリビア情報などもお届けします。

写真出典:映画『ハリエット』公式サイト

映画『ハリエット』作品情報

原題:Harriet

公開年:2019年

監督:ケイシー・レモンズ

脚本:グレゴリー・アレン・ハワード、ケイシー・レモンズ

出演:シンシア・エリヴォ、レスリー・オドム・Jr.、ジョー・アルウィン、ジャネール・モネイ

テーマ曲:「スタンド・アップ」byシンシア・エリヴォ

上映時間:125分

配信元:パルコ

映倫区分:G

映画『ハリエット』あらすじ

1849年アメリカ、メリーランド州。

ブローダス農場の奴隷ミンティ(シンシア・エリヴォ)は、幼いころから過酷な労働を強いられていた。そんな彼女の願いはただ1つ、いつの日か自由の身となって家族と共に人間らしい生活を送ること。

ある日、借金の返済に迫られた農場主がミンティを売りに出す。遠く離れた南部に売り飛ばされたら、もう二度と家族には会えず、お互いの消息すらわからなくなってしまう。

脱走を決意したミンティは、奴隷制が廃止されたペンシルベニア州を目指してたった1人で旅立つのだった。

引用:映画『ハリエット』公式サイト

映画『ハリエット』キャスト

シンシア・エリヴォ(役名:ハリエット・タブマン)

元の名はミンティ、解放後ハリエットに改名。奴隷から奴隷解放運動家へ。


ロンドン出身、1987年生まれ。

2011年、舞台「シェルブールの雨傘」、2012年、舞台「天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~」など舞台役者として活躍。

2013年、ブロードウェイ初出演「カラーパープル」で主役を演じて注目を集め、同作でトニー賞、グラミー賞、エミー賞で主演女優賞を受賞。

2015年に『Chewing Gum』で初テレビ出演、2018年に『ロスト・マネー 偽りの報酬』でスクリーンデビュー。

美声の持ち主としても知られている。

レスリー・オドム・Jr.(役名:ウィリアム・スティル)

自由黒人。奴隷解放の組織集団「地下鉄道」の主な活動家。


ニューヨーク出身、1981年生まれ。

1998年、舞台『レント』で初デビュー。その後もコンスタントに舞台出演し、ブロードウェイミュージカル舞台『ハミルトン』でのアーロン・バー役で2016年にトニー賞を受賞、またグラミー賞で最優秀舞台アルバム賞受賞。

2003年、『CSI: Miami』 でテレビ初レビュラー出演。話題作『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』や『Big Day』にレギュラー出演。

最近では2017年、『オリエント急行殺人事件』でドクター・アーバスノット役が記憶に新しい。

ジャネール・モネイ(役名:マリー・ブキャナン)

自由黒人。黒人女性下宿の宿主。


カンザス州出身、1985年生まれ。歌手、作曲家、ラッパー、女優、プロデューサー。

2007年に初のソロアルバム「Metropolis」を発表、トップチャート2位。後に、8回グラミー賞にノミネートされている。

2016年、映画『ドリーム』で、主役の脇を固めるメアリー・ジャクソン役でスクリーンデビュー。
2018年、映画『マーウェン』、2018年、テレビ『エレクトリック・ドリームズ』などに出演。

ジョー・アルウィン(役名:ギデオン・ブローダス)

ハリエットの奴隷主。


ロンドン出身、1991年生まれ。

2016年、『ビリー・リンの永遠の一日』で主役を演じてスクリーンデビューを果たし、その後も2017年、『ベロニカとの記憶』、2018年、『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』、『ある少年の告白』などの話題作に出演。

映画『ハリエット』感想

*ネタバレ感想含みます。

映画『ハリエット』は、アメリカで公開当初からRotentomatoやIMDbなどのレビューサイトでレビューが真っ二つに別れた映画で、それだけ人種問題に対してみながそれぞれ確固たる意見をもっているのがうかがえます。

ハリエット・タブマンは、アメリカでは最も有名な女性と言っていいほど、アメリカ人であれば誰もが名前を知る人物で、黒人奴隷を開放に導いた「女性モーゼ」として知られております。

ハリエットは、彼女自身も奴隷であったのですが、農場のオーナーが死去し未亡人が借金返済のためにミンティ(のちにハリエットと改名)を売りに出した1849年、ハリエットは1人で奴隷制度が廃止されていた160キロ先のペンシルバニア州を目指すのでした。

彼女のすごいところは、一度死ぬ思いでペンシルバニア州に到達したのにも関わらず、またメリーランド州にもどり自分の身内や仲間の脱出を助けに戻ったということだと思います。

エンパワメント

当時の奴隷労働環境は、歴史を知らない人でもたやすく想像が出来るほど、過酷なものでした。朝から晩まで働かされ、労働者たちはオーナーの所有物として扱われ、不要になると売買で取引されるという人権が全くないものだったのです。

私は、この映画が他の奴隷問題映画と違うな、と思ったのは、確かにハリエットが生死をかけて自由をつかもうとしたことが描かれていましたが、お話が一環して、ハリエットの「エンパワメント」つまり、「黒人である自らの生活のコントロールを獲得し社会的に影響を与えた」ことにフォーカスされている点です。

ハリエットを、1人の被害者としてではなく、彼女の勇気とその行動について描かれており、そして、奴隷制度のもとに生まれた白人側の視点が描かれていたのも特徴的です。

奴隷制度と選択

ハリエットは、命を懸けたリスクを負って、自ら農場を脱出、そして誰もが危険だと止める中、奴隷解放の組織集団「地下鉄道」の一員として働くことを選択しました。生涯で800人以上の奴隷解放を手助けしたとされていおり、誰一人として命を落とすことがなかったそうです。

映画の中では、ハリエットが奴隷解放を目指し、神のおぼしめしを受けるために祈るシーンが多々出てきますが、奴隷主たちも神に対して祈っており、両面つまり奴隷制度自体を私はこの映画を通して学ぶことが出来ました。

例えば、自分が生まれた家が奴隷主だったらどうでしょう。奴隷側だったとしてもゾッとしますが、奴隷主側だったとしてもゾッとします。

その制度の元で生まれ育ったとしたら、殆どの子供はその制度を信じて疑わない大人に成長するでしょう。

ハリエットの元主、ギデオン・ブローダスが映画の終盤でハリエットを捕まえるべく、「戻ってきて一緒に暮らそう。子供の頃のように。」と言うシーンがあります。確かに、ハリエットを捕まえるのに甘い言葉を奏でていたのは確かでしょう。でも、あのときのジョー・アルウィンの演技が素晴らしかったのですが、ギデオンのふとした哀しい表情に、この奴隷制度の悲惨さを垣間見た気がしました。

しかし、人間には知性があり感性がある。彼ら奴隷主には、奴隷を使わずに収入を得る、ということを「選択できる」という余地があったはずです。

奴隷が「逃げ出すという選択」をするよりもはるかに楽だったはずです。だからこそ、「女性が1人で逃げ出し、仲間を助け出すという選択」が、いかに勇気がいるもので、大変だったかがたやすく想像できます。

この映画は、人種問題を語っているのはもちろん、人間として何をするのが正しいのか?何を選択すれば良いのか?ということを言いたかったのではないでしょうか?

映画『ハリエット』主題歌

お話の中でハリエットが奴隷たちにシグナルを送る際に歌った際の美声に魅了された方も多いかと思います。

ハリエットを演じるシンシア・エリヴォが歌う主題歌「スタンド・アップ」がこれまた素晴らしいです。

映画『ハリエット』に関するトリビア情報

  • ハリエット・タブマンは、映画で描かれたように度々フラッシュバックが起こったとしています。多くの歴史専門家は、奴隷主が他の奴隷を鉄で叩こうとした際に間違って近くにいたハリエットに当たってしまった際に出来た脳挫傷が原因としている。
  • プロデューサーのデボラ・マーティン・チェイスによると、この映画の製作に7年間かかった、とのこと。
  • 2020年にハリエット・タブマンがアメリカ20ドル札の顔になることがほぼ決定されておりましたが、トランプ大統領が、黒人のハリエットを使用することは、ポリティカル・コレクトネスだとしたことで、この件は停滞し、現在では20ドル札自体が発行されない可能性も出てきている。
  • キャスティングが発表された当初、アメリカンアイコンのハリエット・タブマンをイギリス出身のシンシア・エリヴォが演じることで批判が上がった。監督は、映画は「マイノリティーを表現しており、ディレクター、ライター、デザイナー、作曲家、ヘアメイクなど全てのアフリカンアメリカンを含む」と説明した。
  • ウィリアム・スティルが、ハリエットを地下鉄道組織のメンバーに迎え入れたときに黒板に名前を書きましたが、その場面では、何人かの名前が見えており、一人は、ルイス・ナポレオン21-2 (91.3% 成功率)と書かれており、彼は実在する人物で地下鉄道のメンバーのひとり。ハリエットは、一度も死亡者を出しておらず100%の成功率だったとされている。

映画『ハリエット』は、2020年6月5日(金)から全国ロードショー。

参考:IMDb,