映画『ゴールデンリバー』ネタバレと感想、トリビア情報も!欲望に目がくらんだ結果・・・
映画『ゴールデンリバー』は、私の好きな俳優さん『ワイルドライフ』のジェイク・ギレンホールと『ナイトオブキリング』のリズ・アーメッドの2人が出ているので、とっても楽しみに観て来ました!
この映画の舞台は1851年のアメリカ・オレゴン州。いわゆる一見「西部劇」かと思いきや、兄弟愛、欲望、人生などいろいろなテーマが混じりつつ、そこにブラックユーモアを随所に突っ込んでます。
監督は英国アカデミー賞を受賞した『真夜中のピアニスト』、カンヌ国際映画祭でパルム・ドール賞を受賞した『ディーパンの闘い』で知られるフランス人監督ジャック・オーディアールです。本作品は彼にとって初めての英語言語での映画の監督(過去作品は全てフランス語)ということですが、ある意味すごくないですか?フランス人監督がどうやって西部劇を料理したのか。
写真出典:『ゴールデンリバー』公式サイト Ⓒ 2018 Annapurna Productions, LLC. and Why Not Productions. AllRights Reserved.
『ゴールデンリバー』作品情報
原題:The Sisters Brothers
公開年:2018年
監督:ジャック・オーディアール
出演:ジョン・C・ライリー、ホアキン・フェニックス、ジェイク・ギレンホール、リズ・アーメッド
上映時間:120分
映倫区分:PG12(死体あり、裸体あり、ドンパチありです。)
『ゴールデンリバー』あらすじ
舞台は1851年のアメリカ・オレゴン、ゴールドラッシュの時代。
イーライ・シスターズ*(ジョン・C・ライリー)、チャーリー・シスターズ*(ホアキン・フェニックス)は銃の名手の殺し屋兄弟で、お金持ちのボスの命令により盗みを働いた化学者(リズ・アーメッド)を殺すように命じられる。一方でボスは探偵兼連絡係(ジェイク・ギレンホール)を雇い、化学者を見つけだしシスターズに差し出すように手配する。(*シスターズは苗字です。)
いずれその殺し屋兄弟と化学者、連絡係の4人は結託して黄金を求めて手を結ぶことに。しかし、それぞれの黄金に対する思い入れが全く違ったことから、黄金を手にした瞬間から歯車が狂いだす・・・
Ⓒ 2018 Annapurna Productions, LLC. and Why Not Productions. AllRights Reserved.
『ゴールデンリバー』キャスト
ジョン・C・ライリー(役名:イーライ・シスターズ)
殺し屋兄弟の兄イーライ・シスターズを演じているのは、アメリカ人俳優・コメディアン・歌手・脚本家・プロデューサーと多彩な才能の持ち主ジョン・C・ライリー。
1989年『カジュアリティーズ』でデビュー以後、脇役として活躍。2002年のミュージカル『シカゴ』では美声を披露しアカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。現在は2010年から続いているアメリカ連続テレビコメディ"Check It Out! with Dr. Steve Brule"に出演しエグゼクティブプロデューサーも努めている。本作品ではプロデューサーとしても名を連ねています。
ホアキン・フェニックス (役名:チャーリー・シスターズ)
殺し屋兄弟の弟役は、あのリバー・フェニックスの弟ホアキン・フェニックス。
2000年の映画『グラディエーター』でアカデミー賞助演男優賞にノミネート。2005年に歌手ジョニー・キャッシュの伝記映画『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』で主演とサウンドトラックを努め、グラミー賞を受賞。最近では2017年に主演を努めた『ビューティフル・デイ』でカンヌ国際映画祭男優賞(フェニックス)を受賞。
2019年にはあのバットマンの宿敵ジョーカーがどのように誕生したかを描く『Joker』(原題)で主役のジョーカー役を演じています。過去にさまざまな名役者が演じたこの役、ホアキンがどのように演じてくれるのか今から楽しみです!
ジェイク・ギレンホール(役名:ジョン・モリス)
洗練された探偵兼連絡係を演じるのは、演技派俳優のジェイク・ギレンホール。
1991年の映画『シティ・スリッカーズ』で子役としてデビュー(当時10歳)。『ドニー・ダーコ』で精神的に病んでいる少年役を同じく役者の姉・マギーと演じ高い評価を得ました。2004年には『デイ・アフター・トゥモロー』でデニス・クエイドと共演。翌年公開の『ブロークバック・マウンテン』ではヒース・レジャーと惹かれあう役を演じ、英国アカデミー賞 助演男優賞を受賞、アカデミー助演男優賞にノミネートされ、『ナイトクローラー』では、世界的に評価を受けゴールデングローブ賞俳優賞、英国アカデミー賞 助演男優賞にノミネートされました。
雑誌「ピープル」では「最もセクシーな独身男性」に選ばれたくらいなのでとてもモテるらしく、私生活では、ナタリー・ポートマン、キルスティン・ダンスト、リース・ウィザースプーンなど数々の大物女優と噂になり最近では、歌手のテイラー・スウィフトと交際し世間を騒がせましたが、ここ最近はあまり噂を耳にしませんね。
リズ・アーメッド(役名: ハーマン・カーミット・ウォーム)
知的な大きな夢を持つ化学者を演じるのは、イギリスの俳優・ラッパーのリズ・アーメッド。
役者としては2006年の『グアンタナモ、僕達が見た真実』で名を知られるようになり、その後コンスタントに映画に出演しますが、ブレイクスルーとなったのは、2014年の映画『ナイトクローラー』でジェイク・ギレンホールー演じるルイスのアシスタント・リック役でしょう。
その後、2016年に放送されたテレビミニシリーズ『ザ・ナイト・オブ』で純朴な青年が殺人事件の容疑をかけられ投獄され、刑務所生活の中でどんどんと彼の性格が変わっていく様子の演技が高く評価され、エミー賞主演男優賞受賞をします。
私はこの『ザ・ナイト・オブ』の演技ですっかりリズの大ファンになりましたので、本作品でも彼の演技とっても楽しみにしていました。
『ゴールデンリバー』感想
写真出典:『ゴールデンリバー』公式サイト Ⓒ 2018 Annapurna Productions, LLC. and Why Not Productions. AllRights Reserved.
まず、邦題の『ゴールデンリバー』は良くないですね~。この邦題からは、「黄金を捜し求めるアドベンチャー&サスペンス」系の映画を期待していたのですが、全く違いましたね。なので、映画の途中から自分の思っていたのとは全然違う方向にお話が進んでいったので、少々戸惑ってしまい若干集中力が欠けてしまいました。原題"he Sisters Brothers"「シスターズ兄弟」で良かったのでは?と思います。
映画全体の印象ですが、西部劇っぽくもあるんだけどさすがフランス人監督だけあって、ドライ過ぎなくてそこに少し繊細さがある映画でした。
あらすじのところでも書きましたが、イーライ・シスターズ(ジョン・C・ライリー)、チャーリー・シスターズ(ホアキン・フェニックス)は、ボスの命令により盗みを働いたとされる化学者ハーマン・カーミット・ウォーム(リズ・アーメッド)を殺すように命じられ、一方でボスは探偵兼連絡係ジョン・モリス(ジェイク・ギレンホール)を雇い、化学者を見つけだしシスターズに差し出すように手配するのですが、ここで「え?なんで探偵を雇う必要があるの?シスターズ兄弟だけでいいじゃん。」と思われることかと思います。
写真出典:『ゴールデンリバー』公式サイト Ⓒ 2018 Annapurna Productions, LLC. and Why Not Productions. AllRights Reserved.
つまり、ボスはシスターズ兄弟を殺し屋としては評価しているものの、おつむが弱い?からか探偵のような真似は出来ないだろうと踏んでいるのです。
その証拠にシスターズ兄弟の旅の道中では、なんでこんなことが?とう数々のアクシデントが起こります。ここからはもうコメディ。
朝、兄のイーライが起きるとそこには逆さまに吊るされた死んだ熊が。チャーリーが「大変だったよ~。馬が騒ぐんで起きたら熊が襲おうとしてたよ。」と何事もなかったかのようにサラッと言ってのけます。
兄のイーライが爆睡中に毒を持った蜘蛛がイーライの口の中へゆっくりゆっくりと入ったかと思ったその瞬間、寝ていたイーライは「ごくんっ。」と蜘蛛を飲み込んでしまうのですが、その瞬間映画館の観客席からは悲鳴に近い声が発せられてましたよ~。
チャーリーはほとんどアル中で頻繁に馬に乗りながらゲロ吐きまくるわ、酔えば暴力的になるタイプだけど、兄のイーライは娼婦と2人きりになってもエッチなことはせず自分が夢みる場面を娼婦と即興ドラマしちゃうようなロマンチスト。センシティブで将来はお店を開いて平穏な暮らしをしたいと密かに思っているタイプで二人の性格は全くの正反対。
でも、ドンパチのシーンになると、チャーリーと共に銃の名士であるイーライも力を発揮し余裕でかすり傷1つ無くバタバタと敵を倒しめちゃくちゃカッコよくなります。
なので、彼らのボスの判断(ジョン・モリスを雇うという)は正しかったわけですが、途中でシスターズ兄弟はメイフィールドという敵を作ってしまい、彼女の手下に追われることになる際に利害が一致して化学者ウォームと連絡係ジョン、そしてシスターズ兄弟4人は黄金を見つけるために結託することになります。
写真出典:『ゴールデンリバー』公式サイト Ⓒ 2018 Annapurna Productions, LLC. and Why Not Productions. AllRights Reserved.
ここからはネタバレ含みます。
化学者ウォームの作った化学液体が川の中の黄金を光らせる要素を持っているのですが、それが強アルカリ性の液体なんですよ。おつむの弱いチャーリーがその危ない液体を扱うとどうなるか・・・
最後は、チャーリーが欲望に眼がくらんでウォームとジョンがまだ川の中に居るのにもっと液体を入れればもっと黄金が取れると思ったらしく、強アルカリ性液体をドボドボと川の中へ。結果、ウォームとジョンは酷い火傷を負い死に、チャーリーも腕を落とす羽目に。
こいつ頭悪い?いや、分かっていたことなんですよね。チャーリーの頭が賢くないことは。全く黄金発掘どころじゃない。
ここで、やっぱり邦題『ゴールデンリバー』がイマイチだって日本の観客の皆さんは私に同意してくれることと思います。
映画は全体的にブラックコメディからシリアスなドラマに変わったかと思えば、突然のバイオレンス、そしてシニカルなユーモアという具合にテンポよくストーリーラインが変わって行き、120分の映画ですが全く長さを感じさせません。
舞台は1850年代のアメリカ西部という設定ですが、アメリカでは一切撮影は行われておらずスペイン・フランス・ルーマニアで全て撮影されたそうです。景色も広大で美しくスクリーンをボーッと観ているだけでタイムスリップ出来たような感じで十分楽しめますし、最後もホッコリ出来ます。(ちなみに最後のシーンはシングルテイクで続けて撮られたもので、カメラをまわしつつ出演者はコスチュームを見えないところで着替えてカメラ前に現れる、という撮り方をしたそうです。)
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2019年7月5日より全国でロードショー。公式サイトはこちら→『ゴールデンリバー』
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