映画『ダーク・ウォーターズ』あらすじ、キャスト、ネタバレ感想!観た後デュポン製品を捨てた私

2021年3月18日

映画『ダーク・ウォーターズ』

映画『ダーク・ウォーターズ』はウェストバージニア州とオハイオ州の住民がテフロン加工フライパンで有名なデュポン社を相手どって2005年に訴訟を起こしたという実話に基づいたリーガルスリラーです。

ベテラン俳優マーク・ラファロが長年構想を練ってプロデュース、そして自ら主役の弁護士ロバート・ビロットを演じています。その他、アン・ハサウェイ、ビル・キャンプ、ビル・プルマンなどベテラン勢がしっかりと脇を固めています。

とにかく、ほんとうに観て良かった~!!!!!
こんなにインスパイアされた映画は久しぶりです。元気が出る映画であると共に便利さの中に潜む危険というものをひしひしと感じました。

ここでは、映画『ダーク・ウォーターズ』のあらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想をお届けします。

映画『ダーク・ウォーターズ』作品情報

原題:Dark Waters

公開年:2019年

監督:トッド・ヘインズ

脚本:マリオ・コレア、マシュー・マイケル・カーナハン

出演:マーク・ラファロ、アン・ハサウェイ、ビル・キャンプ、ティム・ロビンス、ビル・プルマン、ビクター・ガーバー

上映時間:126分

配給:キノフィルムズ

映画『ダーク・ウォーターズ』あらすじ

企業環境問題専門の被告側弁護士ロブ・ビリオット(マーク・ラファロ)は、シンシナティ市内の有名な弁護士事務所に勤めるエリート弁護士。丁度事務所のパートナーに選ばれたばかりだった矢先、ウエストバージニア州に住む祖母の知り合いのファーマー、ウィルバー・テナント(ビル・キャンプ)から弁護の依頼を受ける。

内容は、デュポン社が埋め立て場に破棄している汚染物質が原因で彼の牛がバタバタと死んでいる、というものだった。

真実を追究するために、弁護士事務所の所長のトム・タープ(ティム・ロビンズ)のサポートを得て、デュポン社を相手どって訴訟を起こすも、大企業とのリーガルバトルにより彼の評判、健康、経済状況、そして妻との関係が悪化、たくさんの苦難がビルを待ち受けていたのだった。

映画『ダーク・ウォーターズ』キャスト

マーク・ラファロ(役名:ロブ・ビリオット)

役柄:企業環境問題専門の被告側弁護士。


映画『ユー・キャン・カウント・オン・ミー』のテリー役で注目され、その後もコンスタントに大きな作品に出演。2012年の大ヒット映画『アベンジャーズ』ではハルク役をゲットし世界的に知られるようになりました。

2014年の『フォックスキャッチャー』のデイブ役、2015年の『スポットライト 世紀のスクープ』ではマイク役でそれぞれアカデミー助演男優賞にノミネートされた実力派俳優です。

ビル・キャンプ(役名:ウィルバー・テナント)


役柄:ウエストバージニア州のファーマー。ロバートに弁護を依頼する。


どんな役にも七変化するというベテランバイプレーヤーです。

最近ではNetflix海外ドラマ「クイーンズ・ギャンビット」のシャイベル役が記憶に新しいですね。

ビル・プルマン(役名:ハリー・ディーツラー)


役柄:ロバートをサポートする人身傷害専門の弁護士


これまたベテラン俳優。若い時はラブコメで主役女優の相手役、というポジションが多かった彼ですが、最近ではちょっと癖のある役どころが多いですね。

Netflix海外ドラマ「The Sinner 隠された理由シリーズ」では主役のハリー・アンブローズ刑事役を好演してます。

映画『ダーク・ウォーターズ』ネタバレ感想

映画『ダーク・ウォーターズ』を観終わって、しばらくは動けませんでした。

こんな理不尽なことがあっていいのだろうか?

あんな大企業が堂々と殺人まがいなことをしていいのだろうか?

そして、なぜそれが許されるのだろうか?

怒りと嫌悪感との中で自分の無知さに嫌気がさしたとともに、大企業相手に立ち上がったファーマー、テナント氏の勇気と弁護士ロブ・ビリオットの知力と忍耐力と正義感に畏敬の念を抱かずにはいられませんでした。

本作品は、2016年にニューヨークタイムズマガジンのナサニエル・リッチによる記事“The Lawyer Who Became DuPont’s Worst Nightmare"(訳:デュポンの悪夢となった弁護士)が基になっていますが、一番最初にこの事件が暴露されたのが2007年、ジャーナリスト、カリー・リオンズによる本“Stain-Resistant, Nonstick, Waterproof and Lethal: The Hidden Dangers of C8"訳:汚れにくい、こびりつかない、防水、そして致死:C8に隠された危険)でした。

物語は実在する弁護士と実際に起こった出来事を基に描かれており、弁護士ロブ・ビリオットが彼のキャリア、そして家族を犠牲にし、世界的大企業デュポン社の汚染物質垂れ流しというダークシークレットを暴いたお話です。

ウェストバージニア州の環境汚染問題

事の発端は弁護士ロブ・ビリオットの祖母の知人でウエストバージニア州に住むファーマー、テナント氏の所有する牛たちがバタバタと死に始めたことから始まります。

テナント氏がロブに弁護と調査を依頼してきたときは既に地元民がデュポン社に調査を求めて「問題なし」という返答が戻ってきてから数年が経っておりました。

牛がバタバタ死んでるのに問題なしって・・・

ロブは、企業弁護士として企業側を弁護する立場ですので、この場合立場が逆になるのですが、祖母の頼みということもあり、仕方なく引き受けます。

しかし、事態は一向に改善せず、テナント氏は所有する変死した牛の臓器の肥大などから、デュポン社による土地汚染をほぼ確証していたという状況でした。

ここのシーンは観ていてきつかったですね・・・

牛が気が狂い暴走し、それをテナント氏が射殺しなければならなかった。

そして、既に190頭の牛が死んでいるという事実。農地が集団墓地と化しているのです。

あのデュポン社がまさか・・・という半信半疑で調査を進めるロブはクライアントでもあるデュポン社に過去のウエストバージニア州の土地汚染に関する調査資料を要求するのですが、まず謎の言葉PFOAにぶち当たります。

この時にデュポン社のトップがロブに「分かった、資料を送るよ」と言った後にロブに「今回だけは許してあげる」と冗談っぽくいうのですが、2度目に観たときはこの台詞にめちゃくちゃ腹立ちましたね~!きーっ!

PFOA(C8)とは何なのか?

デュポン社が山のような資料を送ってきた中からロブはアメリカ合衆国環境保護庁(EPA)の規制リストの中にも見当たらない謎の言葉PFOAを見つけます。

PFOAは、ペルフルオロオクタン酸の略でC8とも呼ばれ現在も消火剤や界面活性剤として使われているもので、デュポン社は独自に何十年にもわたってPFOAの効果をテストし続けていました。

その結果、PFOAは発がん性物質であり、一度体内に入ると血中にとどまりゆっくりと年月をかけて体内に蓄積され、また、妊婦がPFOAに晒されると胎児は身体欠損症を患うということがデュポン社内で証明されていました。

これ、どうやってテストしていたか?が劇中で描かれますが、なんと!従業員にPFOA入りのタバコを吸わせて人体実験してたんですよーーーー!!!!

それにも関わらずデュポン社は一般に事実を公開せず報告を怠り、それだけでなく、汚染物質をテナント氏の農場の脇の埋立地に破棄していたのです。

怖いです。

人の命よりお金を大事にする企業。

20年に渡る裁判

その後、この裁判は20年にも渡って続きます。

集団提訴となり70000人もの地元民の協力で採血し、それを分析するまでになんと7年もかかっています。

その間、地元一番の雇用を生み出していたデュポン社を訴えたことから、ファーマー、テナント氏、原告側代表のカイガー夫妻、そして弁護士のロブとその家族が耐え抜かなければならなかった試練は想像を絶するでしょう。

テナント氏は夫婦ともガンを発症。カイガー夫妻は親族の家に放火され、ロブの子供達は転校を余儀なくされます。

ロブ自身も何度なく身の危険を感じ、劇中では車のエンジンをかけるのを躊躇う様子が描かれましたが、大企業を相手どるということはそういうことも十分ありえるわけなんですよね。

このシーンは緊迫感がマックスになり、ロブが助かるのは分かっているのにめちゃくちゃ怖かったです~。

ロブは妻、そして弁護士事務所のほかのパートナーから責任を追及されストレスから虚血症になり倒れます。

そして、やっと住民の血液検査の結果が戻り住民の健康問題とデュポンの汚染物質との関連性が証明されて喜んだのも束の間、デュポン社が契約を破棄し提訴自体が白紙となります。

ここで映画は残り10分ほどで、なんだかポジティブな終わり方はしないのではないか、という気になり観ていて暗い気持ちに。

自分で自分を守る

しかし、ここで諦めるロブではありませんでした。

国が守ってくれないのであれば、自分で自分を守るしかない、とロブが弁護を務め原告一人ひとりが大企業相手に裁判を起こしたのです。

本作品が製作されたのが2019年ですが、その時点でもまだロブは裁判を続けています。

そして、忘れてはいけないのが、これは民事裁判であり刑事裁判ではないのです。

国や警察はデュポン社を敵に回す気はサラサラない、ということです。

多くの人が亡くなっているにも関わらず。

原告と被害者達がカメオ出演

劇中は、多くの地元民そして原告代表と被害者たちがカメオ出演しています。

母親が妊娠中にウエストバージニア州のデュポンのテフロン製造工場で働いていたため、身体欠損症を患い顔のバランスが崩れて誕生し、30回以上の手術を繰り返しながら成長したバッキー・ベイリーが、ロブにガソリンスタンドで話しかけるシーンに登場。

また、第一回の集団提訴の際に原告側代表となったカイガー夫妻が教会でのシーンに二人揃って登場。

亡くなったテナント氏の弟がカフェでのシーンに登場。

そして、弁護士ロブ・ビリオットと妻のサラ・ビリオットが序盤の産業イベントパーティのシーンに登場しています。奥さん、とってもきれいですし、ロブ氏もなかなかのイケメンでマークよりハンサムかも?!

私はデュポン製テフロンフライパンを捨てた!

映画の最後に、PFOAは地球上の生物の体内に蓄積されており、99%の人間の体内にも存在する、という文章を読んだときは血の気が引きましたね。

ロブがはじめてPFOAの事実に気づいたときに、自宅の台所でテフロンフライパンを捨てようとしてましたが、映画を観終わってから私もテフロンは捨て鉄製のフライパンに切り替えました。

食べ物がくっつかない、手入れが楽、という理由でテフロン製フライパンを使い始めましたが、PFOAの存在が明らかになってからは、テフロン製のフライパンの多くにケミカルフリーという文字が宣伝文句として謳われるようになりました。

しかし、フライパンは相変わらずツルツルです。

安全なケミカルを使っている、という言葉を信じて購入し使っていた私でしたが、あれだけ堂々と人体実験を繰り返しPFOAの人体に対する危険性を知っていながら製造加工に使用していたデュポン社を信じて良いのでしょうか?

ロブが言ったように「自分で自分を守る」。これが答えのような気がします。

マーク・ラファロ自身も

本作品で弁護士ロブを演じるマーク・ラファロは主役を演じているだけでなく、プロデューサーでもあり、この環境問題に真剣に取り組んでおり、本作品は長年の構想の上に出来上がった映画です。

近年では、アメリカ議会においてマーク自身がPFASの危険性を訴えました。上のツィッターの動画はその時のものです。

*PFASとPFOAの違いについては下記のサイトをご参考下さい。「Forever Chemicals(訳:永久に残る化学物質)」とも呼ばれ、体内に蓄積されるといわれています。

【環境】化学物質PFASとは何か? 〜マクドナルドやアマゾンが使用禁止を決めた背景やPFOAとの違い〜

まとめ

お話はもちろん俳優陣の演技が素晴らしかったです。特にビル・キャンプの南アクセントの喋り方、アナ・ハサウェイ演じる妻サラの苦悩など真実味があってまるでドキュメンタリーを観ているかのようでした。

多くの人におススメしたい映画なのですが、日本での映画上映が終わってからDVD日本語版が発売されていないようなのです。

配給会社のキノフィルムズは上映終了した映画もサイトに映画の情報を載せているのが普通なのですが、本作品についてはその情報が一切ありません。

これって、デュポン社の息がかかったとか?忖度されたとか?怖いです・・・

英語が分かる方は英語版をぜひ観てみてくださいね。