映画『ボイリング・ポイント 沸騰』あらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想 ロケ地は?監督の実体験?など撮影秘話をお届けします!

映画『ボイリング・ポイント 沸騰』

編集なしの90分映画!ということで公開前から映画『ボイリング・ポイント 沸騰』をとっても楽しみにしていました。
イギリスの名俳優スティーヴン・グレアムが主演。英国アカデミー賞にノミネートされ英国インディペンデント映画賞受賞を果たした作品です。

ここでは映画『ボイリング・ポイント 沸騰』あらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想 ロケ地は?監督の実体験?など撮影秘話もお届けします!

映画『ボイリング・ポイント 沸騰』作品情報

原題:Boiling Point

公開年:2021年

監督:フィリップ・バランティーニ

脚本:ジェームズ・カミングス、フィリップ・バランティーニ

撮影:マシュー・ルイス

出演:スティーブン・グレアム、ジェイソン・フレミング、ビネット・ロビンソン

上映時間:95分

配給:セテラ・インターナショナル

映倫区分:PG12

映画『ボイリング・ポイント 沸騰』あらすじ

どのレストランにとっても一年で最も忙しいクリスマス前の金曜日。ロンドンにある人気高級レストランのオーナーシェフのアンディは、家庭内の問題を抱えており仕事に身が入っていない状態。

そんなアンディのレストランに衛生管理検査が入り、新人のミスや書類の不備から衛生ランクを下げられてしまう。否が応でもディナータイムが始めり予約客が来店。メニューにないものを注文する客、人種差別をする客などがいる中プロフェッショナルなサービスを提供しようとするクルー。

カオスな状態の中、アンディの長年のライバルシェフが有名なグルメ評論家を連れて突然来店という・・・

映画『ボイリング・ポイント 沸騰』キャスト

スティーブン・グレアム(役名:アンディ・ジョーンズ)

役柄:オーナーシェフ。私生活で問題を抱えている。


イギリスの俳優。昔は脇役や悪人役が多かったですが、立て続けに話題作に出演し演技力の高さが評価され、演劇界にはなくてはならない存在になりつつあります。

映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのスクラム役、テレビドラマシリーズ「ボードウォーク・エンパイア 欲望の街」のアル・カポネ役。

「ライン・オブ・デューティ」のジョン・コーベット役、最近では「ピーキー・ブラインダーズ」に出演。

本作品では、英国アカデミー賞主演男優賞にノミネートされました。

ジェイソン・フレミング(役名:アリステア・スカイ)

役柄:有名シェフ。アンディの長年のライバル。


ロンドン出身。父親は映画監督。1992年に『インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険』シリーズでデビュー。
ベテラン名脇役。映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のトーマス・バトン役、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』のアザゼル役など。

ビネット・ロビンソン(役名:カーリー)

役柄:スーシェフ。


17歳の時にテレビシリーズ「ザ・コップス」のデビュー。以後、テレビ、映画、そして舞台でも活躍。「ドクター・フー」ローザ・パークス役、「シャーロック」のドナヴァン警部補役など。

アリス・フィータム(役名:ベス)


役柄:レストランのフロントマネージャー。


イギリス・ノッティンガム出身のモデル・女優。2016年頃から役者としての活動を始め、テレビシリーズ「Save Me」や「Bancroft」など。
本作品で注目を浴びること間違いなしの女優さんだと思います!

映画『ボイリング・ポイント 沸騰』ネタバレ感想

まずは一言!素晴らしかった!あっという間の90分。

編集なしのワンショットということでドキュメンタリー臭くなってしまうんじゃないの?と思って観始めましたが、全てのメインキャラクターたちに感情移入することが出来、あれはまさしく師玉の「映画」でした!

出だしは、ロンドンの高級レストランにスティーブン・グレアム演じるアンディが出勤してくる風景。アンディの電話で話す様子から彼が何かトラブルを抱えている様子がひしひしと伝わってきます。

レストランのビネット・ロビンソン演じるスーシェフのカーリーやアリス・フィータム演じるフロントマネージャーのベスは遅刻してきたアンディにプンプンしてます。

そして、なんとレストランオーナーでなくても分かるかと思いますが、一番会いたくない人物、衛生管理検査官が立ち入り検査していました。

その上、クリスマス前の一年で一番忙しい金曜日に!こんなことってあるの?と思いますが、そんなことはどうでもいい、お話に緊張感が加わります。新人のミスや書類の不備から衛生管理ランクが下げられてしまいます。

その上にさらにバッドニュース・・・長年のライバルシェフでアンディのレストランの出資者でもあるアリステリアが批評家を連れて来店するという。

このアリステリアが鼻につくんですよね~、というか、ふと、ゴードン・ラムジーってきっとこんな感じだろうな(^^;;と。

メニューをさっと見て「あ~殆ど俺の開発したメニューだ」とか、料理が運ばれてきてからは「○○持ってきてくれない?」とあたかも何かがが足りないとさりげな~く味に文句を付けるっていう。

その他にも、メニューにないものを頼む男性3人組の客。
黒人ウェイトレスに人種差別する客。
ラムの焼き具合に文句を付ける客。
男性ウェイターに馴れ馴れしくする女性グループ。
そして、アレルギーがあるという客。

とにかく、レストランで一度働いたことがある人は”レストランあるある”満載でしょうし、レストランで働いたことがなくても”うわ~ありそう~”と思いながらとても楽しめます。

そして、なぜにこんなにリアルな脚本が書けたのか?ですが、監督のフィリップは昔ヘッドシェフとして働いていて、アンディと同じくアルコールなどのさまざまな問題を抱えていたそう。*3

役者陣の最高の演技!

お話のフォーカスはアンディ。次から次へと悪いことが起こり、仕舞には最悪の事態になるのですが、スティーブン・グレアムのストレスレベルが徐々に上がっていく演技が素晴らしい!

最初はめちゃくちゃ怒り狂ったかと思えば、我に返りそこからは怒りを内に閉じ込めていく。とっても感情がリアルで観ているこちらにもその彼の痛みが伝わってくるんですよ。

そして、ビネット・ロビンソン(カーリー)とアリス・フィータム(ベス)の演技も良かった~。二人がラム肉の焼き加減で文句をつけてきた客(人種差別してきた客ですね)の件で言い合うシーンなんてとってもリアル!

カーリーのシェフとしての苛立ちも理解できるし、ベスの泣いちゃう気持ちも理解できるし。多分ところどころ、いやかなりアドリブが入っているのでしょうが、まったくそれを感じさせません。

90分ノーカットどうやって?

編集なしの90分映画ってどういうこと?どうやって撮るの?って思いますよね。

調べてみたところ、過去にもワンショットで撮られた映画は数少ないながらもあります。

有名どころではヒッチコックもトライしたそうですが昔ですと撮影の仕方が今とはだいぶ違うと思いますので、最近の作品をみてみると、例えば2015年のドイツの映画『ヴィクトリア』なども138分の長回しで撮られています。

本作品の監督フィリップ・バランティーニによりますと、ワンショット撮影で大事なのは撮影器具、カメラマン、役者、そしてロケーションだそうです。*3

昔と違い最近は撮影しながらSDカードを換えられるカメラがあるのでテクニカル面では問題はなく、あとはカメラマンの腕だそうです。そして、カメラマンがさすがに手でカメラを持ったままだとキツイので、体にカメラを装着する形で撮影。

一番の問題は演者たちがどれだけ落ち着いてアドリブを交わせて脚本からあまり逸脱することなく演じることが出来るのか?

撮影秘話

本作品は当初の予定では4日間に渡って8回撮影するつもりだったそうです。2021年3月16日が初日で2本撮影し、みんながドレスリハーサルのようなつもりで撮影したところその晩にプロデューサーから連絡があり、コロナが感染拡大しつつありいつロックダウンになり撮影できない状態になるかもしれないので、明日が撮影のラストの日になる、と急に言われたそう!

翌日、監督は主役のスティーブンにだけそのことを告げ、他のキャストには内緒にして2本撮影。つまり合計四本のみ撮影したうちの3番目のものを採用したそうです。*3

ワンショット撮影ということで、役者にとってはある意味舞台で演技をするような緊張感もあったでしょうし、観ている方もこれは長回しなんだと思いながら見ることで役者の緊張感をびんびんと感じることが出来、気付いたらなんだか息を止めながら見ているシーンもあったりして。

とにかく、一度観始めたらどっぶりレストランでの人間模様にはまること間違いなし!

ロケ地

ちなみにロケ地は、ロンドンにあるレストラン、JONES&SONS

工場の跡地をスタイリッシュに仕上げた高級なレストラン&バーです。ロンドン在住の方は映画を観た後に行ってみると楽しいかもしれませんね♪

映画『ボイリング・ポイント 沸騰』は2022年7月15日(金)より全国ロードショー。

 

参考:

*1 https://the-take.com/read/is-victoria-really-shot-as-one-long-continuous-take
*2 https://www.indiewire.com/2016/02/no-one-believed-sebastian-schipper-could-make-victoria-in-one-take-175106/
*3 https://thebookofman.com/mind/culture/boiling-point/