映画『ブリス ~たどり着く世界~』あらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想&解説!SFのようでそうでない?!

2021年7月15日

映画『ブリス ~たどり着く世界~』

映画『アナザープラネット』のマイク・ケイヒル監督の新作映画『ブリス ~たどり着く世界~ 』をオーウェン・ウィルソンとサルマ・ハエックが主演ということで、オーウェンの演技が好きな私としては見ないわけにいかず視聴しました!

前触れどおり、脳みそがごっちゃになるようなケイヒル監督独特な作品で、観終わるや否や一緒に観ていた夫とあーだこーだ、と映画のストーリーの意味をお互い解説しあったりしちゃいました。

ここでは、映画『ブリス ~たどり着く世界~ 』のあらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想&解説をお届けします!

映画『ブリス ~たどり着く世界~ 』作品情報

公開年:2021年

監督・脚本:マイク・ケイヒル

出演:オーウェン・ウィルソン、サルマ・ハエック

上映時間:103分

配信元:Amazonプライムビデオ

映画『ブリス ~たどり着く世界~ 』あらすじ

妻と離婚し二人の子供達とも離れて暮らす会社員グレッグ(オーウェン・ウィルソン)は、満たされない毎日から現実逃避するかのように勤務中にひたすら空想の世界を絵に描いていた。

勤務態度の悪さからついに解雇を言い渡されたグレッグは、上司をとっさに突き飛ばしてしまう。上司は頭を強打し死亡。慌てたグレッグは上司の死体を窓の取っ手に引っ掛けカーテンで隠してその場から逃げる。

向かいのバーに入るとイザベル(サルマ・ハエック)と名乗る女性から声をかけられ、イザベルはグレッグが上司を殺したことをなぜか知っていた。イザベルはこの世界は現実ではなくシミュレーションだという・・・

映画『ブリス ~たどり着く世界~ 』キャスト

オーウェン・ウィルソン(役名:グレッグ)

役柄:妻と離婚し二人の子供達とも離れて暮らす会社員


オーウェン・ウィルソンといえば、ジャッキー・チェンと演じた映画『シャンハイ・ヌーン』やヴィンス・バーンとの『ウェディング・クラッシャーズ』など男性と組んでコミカルな演技も出来れば、映画『トラブル・マリッジ カレと私とデュプリーの場合』のようなラブコメも出来るとっても多才な役者さんという印象。

特に彼の出演作品で私が好きなのはウッディ・アレンの映画『ミッドナイト・イン・パリ』です。おススメです♪

サルマ・ハエック(役名:イザベル)

役柄:謎の女性


メキシコ出身。今ではハリウッドの大女優ですが、アメリカに来て30年以上経ってもかなり強いアクセントがあり、今ではそれも彼女の魅力と言った感じです。

アニメ映画『長ぐつをはいたネコ』のキティ・フワフワーテの声を担当、最近では『コスメティック・ウォー わたしたちがBOOSよ!』に出演。

映画『ブリス ~たどり着く世界~ 』ネタバレ感想&解説

まず始めに、本作品のレビューがめちゃくちゃ良くないです。多分それは、この映画から分かりやすいメッセージ、または映画『マトリックス』のようなサイエンスフィクションを期待したからではないでしょうか。

本作品はかなり抽象的で、観た後に自分の頭で考えなくてはならないのも殆どの人が好まない理由だと思います。

実際に私も一度観ただけでは全く意味不明で分からなかったので2度観たわけですが、それでも余白がいっぱいで、これは監督が自分で決めろって言ってるんだな、と思い、登場人物と同化しようとすることで見えてくるものがありました。

映画の冒頭でグレッグは一見ただ仕事をサボってお絵かきをしているようですが、電話がなっても出ないし上司から呼ばれているのにすぐいかないし、行動がどう見てもちぐはぐしてて様子がおかしいです。

グレッグが薬局に電話して処方箋のリピートを希望するともう既にマックスに達しているので薬が欲しいなら医者の診察を再度受けるように言われ断られます。

そして、上司からは解雇を言い渡されると、この時点でグレッグはいわゆる「イッてしまいます」。

誤って上司を殺してしまったグレッグは、慌てて上司を窓の取っ手に引っ掛けて(ここの部分はなぜか笑えます)カーテンで隠して逃走。偶然出会った謎の女性イザベルに、この世界は現実ではなくシミュレーションで、あの人もこの人もリアルではない、と言います。

二つの世界 リアルとフェイク

イザベルの言うフェイクの世界は、ロサンゼルスの汚い荒れた街でイザベルがホームレスのように住んでいる世界。

そして、彼女が言うリアルの世界は、ユートピアの世界で誰もが仕事をしなくても暮らしていける世界。

では、なぜフェイクとリアルの世界を行ったりきたりする必要があるのか。ユートピアの世界にずっといた方が幸せなのでは?と誰もが思うと思います。

そこで、イザベルがグレッグに一言。

“You have to experience the good in order to appreciate the bad.”
(訳:悪い環境もそんなに悪くないな、と思うには良い環境を経験してみないと。)
“No, the other way around.”
(訳:違うよ、逆だよ。)
“Exactly.”
(訳:その通り。)

もうすでに頭がこんがらがってきます。グレッグが言った通り「逆でしょ」と普通思いますよね。

人間と言うのはお金に全く困らないユートピアに住んでいたとしても映画の中のように人間関係に悩まされたり自分の虚栄心を満たすためにストレスを感じることがあるでしょう。その証拠にお金持ち皆が幸せか、というとそうではありません。

そして、以前住んでいた最悪な環境だ、と思っていたところに戻ってみると、そんなに悪くなかったな、ユートピアで感じたストレスとそんなに変わらないな、と思うのです。

つまり、自分の気持ち次第で良いか悪いかなんて変わってくるんですよね。

そして、SNSやコンピューターテクノロジーが発達した今、アバターが実在の人物のように見えますし、フェイクニュースが飛び交うのが日常茶飯事になっており、何がリアルで何がフェイクなのかが分かりづらい世の中になってきています。

映画の中のリアルとフェイク、イザベルの言っているように二つの世界が同時に存在しているような感覚に陥ってきている現代社会。これがこの映画のまず1つの目のメッセージなのではないでしょうか?

グレッグが薬中毒

映画の冒頭でグレッグが薬局に電話して必死に薬を再度処方してもらおうとしてました。そして、グレッグの息子が、父親はいつもあそこが痛いここが痛いって理由をつけては薬を飲んでた、というようなことを言います。

これから分かるようにグレッグは、痛み止めを常用するようになり妻と子供達が自分の元から離れ、ストレスでぎりぎりのところにいたところを解雇され、ノイローゼと薬物中毒の症状で意識がぶっとんだのでは。

実際は、グレッグはホームレスエリアに住んで薬漬けになって、自分は魔法のようなパワーがあって自分が絵に描いていたようなパーフェクトな世界へ行ったり来たりできるという幻想を見ていたのでは。

イザベルは偶然会ったホームレス/娼婦で(車の中にいる男の誘いにのってどこかへ行ってしまってた。そして、娼婦達と顔見知りであった)、多分彼女も薬物中毒で精神障害をわずらっている、と言えそうです。

エミリーがキーポイント

結局のところ、ロサンゼルスの汚い街が現実で、グレッグの娘エミリーも実在し、彼女が唯一グレッグを諦めずに現実の世界へ引き戻してくれた人物なわけです。

そして、ひょっとしてイザベルは存在せずグレッグが薬物中毒症状の幻想の中で見たものだったのかもしれません。

その証拠に、グレッグとイザベル以外の主要登場人物のエミリーが、一度もイザベルと関わっていないのです。イザベル側からしかエミリーは見えておらず、エミリーは一度もイザベルに会っていません。(イザベルを認識していません)

まとめ

マイク・ケイヒル監督は、きっと二つのパラレル世界のどっちがリアルか分からなくなるように、かなり頑張ってああいうストーリーに仕上げたのかと思います。

しかし、ユートピアでブレインボックスの仕上がりを発表するステージにおいて、“ブレインボックス使用前と後のグレッグに同じ質問をする”という実験を観客の前でするのですが、科学オンチの私でも質問する環境が違ったら答えも違うだろう、と思わずツッこんでしまいましたが・・・監督はどういう意図であの場面を作ったのか。

アマゾンのサイトでもジャンルはSF/ドラマとなってますしSFの匂いがプンプンした映画でしたが、結局は現代社会への風刺と薬物患者の実態を描いたもの、というのが私の解釈です。

皆さんはどう思いますか?

こういう作品は余白がたくさんで、視聴者が観終わった後に映画の感想を述べ合ったり出来る、それも醍醐味だと思います。

映画『ブリス ~たどり着く世界~ 』はアマゾンプライムビデオでご覧になれます!