映画『アナイアレイション -全滅領域-』意味不明!と感じた方に分かりやすく考察します!

映画『アナイアレイション -全滅領域-』ポスター

私は正直SF映画はあまり好んで観るジャンルではありませんが、今回の映画『アナイアレイション -全滅領域-』は、欧米でも評価が高くふつふつと「観たい!」と思うようになり視聴しました!

結果ですが、2回観ました・・・正確に言うと、感動してもう一回観たい!と思ったわけではなく、「なんじゃこれ?」と思い、ちゃんと理解する為にもう一度観ちゃったというわけです。

私のように、「この映画意味不明!」と感じた方のために、私なりの映画の考察を今回はあらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想も含めてお届けします!

写真出典:Netflix映画『アナイアレイション 全滅領域』

映画『アナイアレイション -全滅領域-』作品情報

原題:Annihilation

公開年:2018年

監督・脚本:アレックス・ガーランド

出演:ナタリー・ポートマン、ジェニファー・ジェイソン・リー、ジーナ・ロドリゲス、テッサ・トンプソン

上映時間:115分

配給:ネットフリックス

映画『アナイアレイション -全滅領域-』あらすじ

軍を退役後、生物学教授としてジョン・ホプキンズ大学で教鞭をとるレナ。レナの夫は同じ軍人で1年前に軍の極秘任務に赴いたまま行方不明。そんな夫がある日突然帰宅する。

帰宅した夫ケインにレナが「いつ帰還したのか?」と聞いてもケインはまともに答えられず以前のケインではないのは明らか。ケインはその後吐血し病院へと搬送される途中でレナとともに軍によって拘束される。

ケインとレナが連行された場所は、軍の研究施設。そこでレナは、ケインが参加した軍の極秘任務の詳細を聞かされ、彼が唯一の生還者だと知る。

映画『アナイアレイション -全滅領域-』キャスト

ナタリー・ポートマン(役名:レナ)

ポートマン演じるレナ
写真出典:Netflix映画『アナイアレイション 全滅領域』

役柄:元軍人で現在は生物学者としてジョン・ホプキンズ大学で教鞭をふるう。夫も軍人だが1年前から行方不明。


映画『レオン』でマチルダ役に選ばれて映画デビュー。映画『スター・ウォーズ』新三部作でヒロインのパドメ・アミダラ役を演じて世界的に名前が知られる女優さんになりました。

最近では映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』のジェーン・フォスター役が記憶に新しいですね。

ジェニファー・ジェイソン・リー(役名:ヴェントレス博士)

役柄:軍の施設でレナに初めてケインの極秘任務について説明をする心理学者。


日本ではあまり知られていない役者さんかも知れませんが、映画『ミセス・パーカー/ジャズエイジの華』でゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネートされたり、私が一番印象に残っているのは映画『黙秘』でのジャーナリスト役でこの映画は未だに私の大好きな映画のひとつです。

また、クエンティン・タランティーノ監督作品の映画『ヘイトフル・エイト』で罪人役を演じてアカデミー助演女優賞にノミネートされるなど演技派女優さんです。

ジーナ・ロドリゲス(役名:アニャ・ソレンセン)

役柄:救急救命士。


私にとってジーナと言えば、テレビドラマシリーズの「ジェーン・ザ・ヴァージン」のジェーン役。物語は、1人の真面目な女性がバージンだったのに間違って人工授精(IVF)されてしまい妊娠してしまう!というラブコメ。

出産、そしてボーイフレンドと赤ちゃんの父親との関係などを通してジェーンが女性として成長していく様子が4年間に渡って描かれました。この作品で彼女は監督デビューもしています。

テッサ・トンプソン(役名:ジョシー・ラデク )

役柄:物静かで知的な物理学者。


テッサをはじめて見たのは私の大好きなクリスティン・ベル主演の学園ものテレビシリーズ「ヴェロニカ・マーズ」のヴェロニカと同じ高校に通うジャッキー役です。

その後は人気ドラマシリーズ「グレイズ・アナトミー 恋の解剖学」などに出演し知名度を高め、最近では映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』のヴァルキリー役が記憶に新しいです。

ツヴァ・ノヴォトニー(役名:キャス・シェパード)

役柄:人類学者。


スウェーデンの役者さんで1996年から精力的に活動しており毎年スウェーデン・デンマーク・チェコの映画に平均で2、3本の割合で出演しておりヨーロッパでは著名な女優さんです。

ジュリア・ロバーツ主演の『食べて、祈って、恋をして』ではジュリア演じるリズのスウェーデンの親友として出演しています。

映画『アナイアレイション -全滅領域-』ネタバレ感想・考察

シマーに向かう隊員たち
写真出典:Netflix映画『アナイアレイション 全滅領域』

本作品はあの監督アレックス・ガーランドのSF映画だけあって映像はまるで芸術作品のように綺麗!

欧米では高い評価を受けましたが、多くの視聴者からは「意味不明!」「SFかと思ったらゾンビ映画?!」「よく分からない!」という声が上がっているのも事実です。

でも、それは当たり前というか、この映画『アナイアレイション -全滅領域-』のストーリーは、ある意味「比喩」で構成されているからなんですよね。

観客を夢のファンタジー世界に引き込み、何が起こっているのか比喩で表現しつつ、一方でその起こっている事は何が原因なのか?という事をはっきりとは説明しません。

なので、この映画に関してさまざまな考察がされ、この映画は「キリスト教の教えてに基づいている」とか「がん細胞についてだ」など色々ありますが、私はいくつかのメッセージが込められているのでは、と思ってここで私なりの考察をしたいと思います。

ちなみに、本作品はジェフ・ヴァンダミア著の小説「全滅領域」を原作としており、エリアXと呼ばれる謎の空間に調査に向かう、というところからお話はスタートします。

研究所のすぐそばまで迫っている「シマー」は一体何なのか?

映画では、このエリアXを"the Shimmer(シマー)"と読んでいます。外側から遠目にみるとイルミネーション的で綺麗でもありますが、範囲を徐々に拡大していると聞くと恐怖も覚えますよね。

この「シマー」の正体ですが、ヒントは映画が始まって15分くらいで出てくるこの一文。

“What if the Earth—that is, the planet itself—got cancer?”
訳:ひょっとしたら地球、惑星自体がガンに侵されている?

お話のスタートは、女性5人が謎の空間に答えを求めて探索に向かう、というプロットですが、その中でちょこちょこと出てくるキーワードは「ガン」。

まず、映画の冒頭ではレナが大学で講義をしています。その内容が子宮頸ガンの細胞の突然分裂についてで、いかに速いスピードで細胞が分割と増殖をしていくか、という話をしています。

そして、そのすぐ後に、3年前のサザンリーチで灯台に何かが落ちたと同時に光の輪のようなものがどんどんと広がっていくという超常現象の映像が差し込まれます。

謎の現象。平穏な日々がある日突然それでなくなる。それは、ガンに人々が侵された時と同じです。

確かにガン自体は説明が付かないものではないのかもしれません。最近では治療法も見つかり不治の病ではなくなっています。しかし、それでもガンは私達の身近にあり多くの人を突然苦しめ始める、という点から、「シマー」の発生とその後の広がり方はそれに似ているといえそうです。

がん・増殖

ジョシーを救うレナ
写真出典:Netflix映画『アナイアレイション 全滅領域』

レナたちがシマーの中に足を踏み入れると同時に、植物などが「増殖」していることに気づきます。ガンが広がっていくのも健康な細胞をガン細胞で冒しつつ増殖します。

つまりシマーは人間の身体を比喩したものではないか?

映画の中のシマーは「増殖」のせいでぐちゃぐちゃです。綺麗な景色=健康な細胞、もあれば、「増殖」で変異している植物や生き物が存在します。

レナたちは途中、眼がくりくりした可愛い顔をした白い綺麗な鹿に会ったかと思えば、その後恐ろしいクマにも会ったりするそれですね。

テッサ・トンプソン演じるジョシー・ラデクがグループのみんなにこう言う場面があります。

they’re basically inside of a prism, so everything is refracting. Minds, bodies—everything gets screwed up because that’s what cancer does to a healthy body.

訳:私たちはプリズムの中に今居て、私たちが見ているもの全ては反射。心、身体ー全てが悪影響を受けている。ガンが健康な身体を蝕むのと同じ。

そして、途中で分かりますが、ヴェントレス博士はガンに侵されています。

自己破壊

シーマでワニの口の中を見るレナ
写真出典:Netflix映画『アナイアレイション 全滅領域』

映画の中のもう1つのテーマは「自己破壊」です。これは、監督がグーグルでのインタビューでも明確に説明しています。*1

レナがなぜシーマの探索に行くことにしたのか?レナは医者ですのでもちろん未知への好奇心があったのは確かでしょう。しかし、それとともに「贖罪」の意味もあったかと思います。

映画の中で、死にそうな夫ケインを救うためにも謎の究明をしたい、といいますが、そこまでレナがする理由に、レナは「彼を愛しているから」とは言わずI owe him「彼に借りがある」という言い方をします。

映画の冒頭でレナと夫ケインはラブラブかと思いきや、レナの同僚とレナが不倫をしていることが分かります。そして、それをケインはうすうす感づいており、距離を置くために軍の秘密任務に参加したのでは・・・とレナは思っています。

だから、レナは自分が浮気さえしなければ、ケインは危ない任務には参加しなかったのでは、という思いがあるのです。

贖罪+自己崩壊。つまり、レナは自分自身が許せず、自分を痛めつけているところもあったのではないでしょうか。そして、浮気をする、という行為は自分で自分の幸せを壊す行為=「結婚生活のガン」だったということでしょう。

クマと死に方

5人の隊員は1人ずつ死んでいきますが、その亡くなり方はさまざまです。

未知の物に襲われたり、クマに襲われてバイオレントな死に方をしたり、ヴェントレス博士のように「ガン=シマー」に向き合って静かに亡くなっていったり。

そして、最後レナ1人が生き残り、結果夫ケインとレナが生存者になるわけですが、二人ともかつてのふたりではありません。灯台の中でこの世のものとは思えないほどの凄まじい経験を経て作られたダブルです。ガン患者であれば分かるかと思いますし、身内にガン生還者がいる方も分かるかと思いますが、どんなにガンから治っても、常に生活の中にはその二文字が付きまといます。放射線治療、化学療法の後遺症に悩まされる人も少なくありません。

まとめ

もちろん、この映画の考察は私の考察であって、この映画を観た人それぞれのセオリーがあるかと思いますが、それがこういう映画の醍醐味ではないでしょうか。

映画を観終わった後に、友達や家族とあーだこーだと議論するのも楽しいですよね。

映画『アナイアレイション -全滅領域-』は、「シマー」のように観終わった後もしばらくあなたの脳に侵食拡大していくでしょう。

映画『アナイアレイション -全滅領域-』は、NetflixまたはAmazonプライムでご覧になれます。

 

参考:

*1 https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=w5i7idoijco