『アナと世界の終わり』全てが中途半端な映画 ネタバレと感想
2019年5月31日に日本初公開のゾンビと青春ミュージカルが融合した異色の映画『アナと世界の終わり』を一足お先に観て来ましたので、あらすじとキャストの紹介、そしてネタバレを含む全くオブラートに包まない正直な感想をお話します。
『アナと世界の終わり』作品情報
原題:Anna and the Apocalypse
公開年:2017年
監督:ジョン・マクフェール
出演:エラ・ハント、マーク・ベントン、マルコム・カミングス、サラ・スワイヤー
上映時間:98分
映倫区分:PG12
まず、映画館に行く前に、原題のApocalypseの意味が分からなかったので、調べてみると「人類滅亡」的なニュアンスだそうで、ちょっと映画への期待度がアップ↑しました。わくわく。
出演者の中で私が知っていたのは、マーク・ベントンくらいで彼はイギリスでは良く知られているベテランバイプレーヤーです。主演のエラ・ハントは、2016年から2年間イギリスで放映された連続コメディドラマのシーズン6に登場、これからが期待される新鋭のきれいな女優さんです。
『アナと世界の終わり』あらすじ
高校生のアナ(エラ・ハント)は、イギリスのとある町で父親トニー(マーク・ベントン)と二人暮らし。父親は自分が通う学校の用務員であり、家でも学校でも父親に監視されているようで、窮屈な生活から抜け出してオーストラリアへ留学したいと考えていた。
クリスマスも迫るある日、アナは幼なじみのジョン(マルコム・カミングス)と学校へ向かう途中でゾンビと遭遇する。気づいたら町中にゾンビが溢れ返り町人たちを襲っていた。バイトの仲間、クラスメートの安否を気遣い途中ゾンビに襲われそうになりながらも、アナとジョンはとりあえず学校へ。しかし、アナたちは、すぐに友人たちもゾンビと化してしまったことに気づく。果たしてアナは、ゾンビたちに打ち勝つことが出来るのか?
©2018年 Anna and the Apocalypse
『アナと世界の終わり』感想 あ~・・・全てが中途半端
本作品は、日本では5月31日公開ですが、私の住むニュージーランドではクリスマス前の公開でこの作品はクリスマスムービーと宣伝されていたので、街中がクリスマスムードも高まる中映画館に行ってきました。
『アナと世界の終わり』はゾンビとミュージカルクリスマスムービーということで、少々期待しておりましたが、残念ながらゾンビ要素もミュージカル要素も中途半端で終わっているかのような仕上がりでした。
めちゃくちゃ面白くもなければ、めちゃくちゃ血だらけでグロスでもなければ、めちゃくちゃお話が素晴らしいわけでもなく・・・退屈で鬱積した日常から抜け出したい高校生が、日常がひっくり返るゾンビ体験をしてその先に見つけるものは何か?というわけでもなく、ストーリーも納得性に欠けるものでした。
そして、予算が少ないのは仕方がないのかもしれませんが、アナとジョンが雪の上を寝転がるシーンでどうしても雪が全く本物に見えない・・・高校の演劇部でももう少しリアル感が出せるのでは?と思ってしまいました。
劇中のいくつかのオリジナルの曲やダンスは確かに途中観ていて楽しいですが、その他の曲はたぶんAI(人工知能)が作ったのかなぁ・・・と思わざるを得ない、全くハートに響いてこない歌詞でゾンビとミュージカルというユニークなコンセプトが台無し。
そして、パクリ疑惑・・・アナが学校に行く途中、近所の人たちがゾンビたちに襲われてそこら中血だらけでそこら中にゾンビがいるのにアナは踊って歌っていて全く気づかない、という映画の中で唯一印象に残るシーンなのですが、どうしても『ショーン・オブ・ザ・デッド』*(Shaun of the Dead)に似てるじゃん!と思わずにはいられないのです。(でも、『ショーン・オブ・ザ・デッド』*の方が断然上手く出来ていた。)
*ゾンビ映画の元祖『ゾンビ』(原題: Dawn of the Dead)をパロディにしたホラーコメディ映画
何であんなに中途半端にしちゃったかな・・・ミュージカル要素があるので、少し控えめにしちゃったのかもしれませんが、ゾンビの映画を見に来る人は、そこら中が血だらけで血がドピュービシャーっていうのを期待していると思うんですよね。ぜんぜん、ドキドキしないし、目を背けたくもならなかったです。ゾンビ映画にしてはキレイ過ぎる・・・緊迫感ゼロ。
そして『ショーン・オブ・ザ・デッド』を少しでも意識しているのなら、なぜコメディ要素を真似しなかったのか??
大ヒットミュージカル連続ドラマ「グリー」(原題: Glee)が人気を集めた理由は、歌が素晴らしかったのはもちろん、お話に深みがあって弱者が強者に立ち向かう的な視聴者が共感できた部分があったからだと思うんですよね・・・でも、この作品のアナの悩みは、同じ高校生であってもイマイチ真剣に共感できるほどのものでもなく、あいまいで中途半端に終わってしまっているので、それをカバーする意味でももっとコメディ要素を入れたら良かったのに・・・と思わずにはいられません。
ただし、音楽は、若い世代には十分響く要素はあるのかもしれませんし、時間つぶしや何か馬鹿げたかるーいものを観たい時にはぜひどうぞ。ただし、ゾンビ好きには物足りない映画に終わりそうです。
あっ、でもお子さんは楽しめるかも!PG12なので、ご両親と12歳以上のお子さんには、セックルシーンもないしグロスや暴力シーンもないし丁度良さそうです。
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