映画『アンモナイトの目覚め』あらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想!物議を醸した内容とは
ハリウッド大女優のケイト・ウィンスレットと今もっとも勢いがある演技派女優のシアーシャ・ローナンが共演ということで今一番注目を浴びている映画『アンモナイトの目覚め』を視聴しました。
監督は映画『ゴッズ・オウン・カントリー』のフランシス・リー。
ここでは、映画『アンモナイトの目覚め』のあらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想、そして公開直後から物議を醸しさまざまな評価が下っている物語の内容についてお話します!
映画『アンモナイトの目覚め』作品情報
原題:Ammonite
公開年:2020年
監督・脚本:フランシス・リー
出演:ケイト・ウィンスレット、シアーシャ・ローナン、フィオナ・ショウ
上映時間:117分
配給:ギャガ
映倫区分:R15+
映画『アンモナイトの目覚め』あらすじ
1840年代、イギリス南部沿岸ドーセット州の海沿いの町ライム・レジスで古生物学者メアリー・アニング(ケイト・ウィンスレット)は年老いた母親と二人暮らし。わずか12歳で発掘した化石が王立協会の手に渡り、科学界で評判となるも女性であるがために学会への入会や論文の発表などは認められなかった。
それでもコツコツと化石発掘を続け海沿いの土産物屋で販売し生計を立てていた。
ある日、裕福な化石収集家が町を訪れ、妻シャーロット(シアーシャ・ローナン)の面倒をメアリーに頼む。流産からうつ状態のシャーロットと世間から身を隠すように化石一筋の生活を送っていたメアリーは、お互いの存在に救われ次第に惹かれていく。
映画『アンモナイトの目覚め』キャスト
ケイト・ウィンスレット(役名:メアリー・アニング)
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— Ammonite (@AmmoniteMovie) March 26, 2021
役柄:古生物学者
ケイト・ウィンスレットといえば、やっぱり嫌でもディカプリオとの『タイタニック』を思い出しますよね~。この映画の大ヒットが彼女の名を一躍世界的に知らしめることとなりました。
その後は着々とキャリアを積みなんと!7度もアカデミー賞にノミネートされています。そして、2008年には映画『愛を読むひと』でアカデミー賞主演女優賞を受賞した実力派俳優です。
私生活もきらびやかで3度の結婚をしており航空業で有名なヴァージン・グループの創業者リチャード・ブランソンの甥と結婚しています。
シアーシャ・ローナン(役名:シャーロット・マーチソン)
Happy Birthday to our Charlotte, Saoirse Ronan! #Ammonite pic.twitter.com/0gcUQ9x8Fn
— Ammonite (@AmmoniteMovie) April 12, 2021
役柄:裕福な夫の妻。流産し鬱になり海沿いの町に療養にやってくる。
父親も俳優で子役出身のシアーシャは2021年現在27歳にして賞レースの常連でハリウッドのトップ若手演技派俳優です。
ニュージーランドの監督ピーター・ジャクソンの映画『ラブリーボーン』の主役に抜擢され、若干15歳にして数々の賞を受賞。その後も映画『ブルックリン』でアカデミー賞にノミネートされ、2017年、グレタ・ガーウィグ監督の作品『レディ・バード』では、シアーシャ自ら監督に自身を売り込み主役をゲットしました。
2019年にはグレタ・ガーウィグと映画『ストーリー・オブ・マイライフ/私の若草物語』で再タッグを組みました。長女のメグを演じています。
シアーシャ・ローナン出演作品『ストーリー・オブ・マイライフ/私の若草物語』衣装にこめられた意味 あらすじとキャストと感想
映画『アンモナイトの目覚め』ネタバレ感想
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— Ammonite (@AmmoniteMovie) March 6, 2021
なぜか不機嫌で人間嫌いの主人公メアリーは、12歳でイクチオサウルスという恐竜の全身化石を発掘し、科学界では評判となるも、女性であるがために学会へは入会出来ず論文も発表できず、ただただ好きな化石発掘に情熱を捧げた女性。
ちなみにこのメアリー・アニングは実在する人物です。
私は事実に基づいたお話も好きですし、何より19世のイングランドが舞台ということでピリオドドラマが大好きな私は本当にこの映画を楽しみにしていましたし、この映画「最高だった!」と言いたかったのですが・・・
傷を舐めあうふたり
Francis Lee’s #Ammonite is available for premium rental at home on all digital platforms now in the UK https://t.co/g6ct3lc1Rl pic.twitter.com/bnRbRBTmQT
— Ammonite (@AmmoniteMovie) March 27, 2021
19世紀の科学界は女性の地位が確立されておらず男社会。そして、労働者階級で未婚といったらそれこそ好奇の目にさらされ、酷い扱いを受けていたのはたやすく想像出来ます。
それが原因なのか、メアリー・アニングは人間嫌いになり自分の周りに壁をつくり、お店に来たお客さんにさえ無愛想な態度を取る始末。
一方、裕福な夫と結婚し何不自由しない生活を送っているにも関わらず、流産からうつ状態になってしまったシャーロットも自分の殻に閉じこもり他人との関わりを拒んでいて、ある意味二人は似たもの同士だったのかもしれません。
この二人が化石収集を通じて徐々に惹かれあい、シャーロットが病気のときはメアリーが献身に看病し、シャーロットは社交的な性格を生かしメアリーの仕事を助けるようになり、そんな二人がお互いの傷を舐めあうなかで、徐々に惹かれるようになっていきます。
ここまでの描写はとても綺麗で、ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンの心の機微を表現したデリケートな演技のおかげでとても美しいラブ・ロマンスストーリーに仕上がっていました。
この時点で私ふと「メアリー・アニングがレズビアンだったという証拠はあるのだろうか?」と思いはじめたのです。
メアリー・アニングという名前を使う必要性
💖🦕🥰 Gorgeous review of Ammonite from @robbiereviews in @TelegraphFilm https://t.co/wLrbM9AT1Z
— See-Saw Films (@see_saw_films) March 26, 2021
メアリーが生きた時代は19世紀。彼女の化石発掘が歴史に名を残したのは確かですが、プライベートな部分にいたっては手紙などの証拠がない限りどうやったって憶測の域をでないはずです。
私はレズビアンであることは決して恥ずることではないと思いますし、カミングアウトという言葉がない時代に彼らがした苦労は想像を絶するものだと思います。
監督のフランシス・リーは「インスパイア」という言葉を使っていますが、それだったらフィクションでよかったのではないでしょうか?
イギリス王とか王女とかの歴史上の人物や有名人とかそれなりに公の立場にある人たちが後世あとあと色々と書かれるのはある程度仕方がないことなのかもしれません。
しかし、メアリーはただの一般人。確かに死の数か月前にロンドン地質学会の名誉会員に選ばられたその世界ではプチ有名人なのかもしれません。
ただ、こんな性の嗜好というとてもプライベートな部分を前面に押し出した物語の中で、勝手にレズビアン主人公として取り扱われたメアリーは、もし生きていたら怒り狂っていただろうな、と思います。
メアリーは生涯独身でしたが弟がおり、彼の系列の子孫が生存しているわけですが、彼らにしてみたら自分の祖先の名前を勝手に使われ、怒り心頭しているらしくメアリーの遠縁の姪は下記のようにコメントしています。
The lesbian storyline is pure Hollywood as far as I know and there was no suggestion that she was a lesbian at all.” “Mary Anning was abused because she was poor, uneducated and a woman. Is that not enough?*1
訳:レズビアンストーリーラインは、ハリウッドが好むように描かれており、私が知っている限り、彼女がレズビアンだった、という証拠はありません。
メアリー・アニングは生前酷い扱いを受けました。なぜなら、彼女は貧乏で教育を受けておらず、そして女性だったからです。もう十分でしょう(これ以上彼女を苦しめないで)。
これに対してリー監督は;
“There is absolutely no evidence Mary ever had a relationship with anyone, whether that be heterosexual or same sex, but I knew I wanted to give her a relationship that felt worthy of her. It is well documented that she had close friendships with women and in the society of the time, where women were the subjects of men and where Mary had been virtually written out of history because of her gender and social status, it didn’t feel right to give her a relationship with a man.”*1
訳:メアリーが同性または異性と関係を持っていたという確固たる証拠はありません。しかし、私は彼女にふさわしい人間関係をメアリーに与えたかったのです。
メアリーには近しい女性がいたという証拠はあります。当時の社会において女性は男性のものであり、また社会で女性が地位を確立し活躍する場がなかったがために歴史から除外されたのです。だから、物語の中でメアリーがそのような男性と関係を持つ、というのは正しくない気がしたのです。
と語っています。
しかし、男性との関係を描くのが正しくないと思ったのなら女性同士の友情を描いても良かったのでは?結局は、ハリウッドの中で話題性を求めた上での決断だったのでしょう。
まとめ
お話自体は、美しいイングランドの自然を背景に二人の女性の純粋なラブロマンスが綺麗に描かれていただけに、正直がっかりです。この映画めっちゃ好き!と言いたかった・・・
「インスパイア」されたのだったら、彼女の名前を使わずに描くか、また、メアリー・アニングの名前を使うのであったのなら彼女の仕事人生にフォーカスした内容にすべきだったと思います。
また、セックス描写もそこまでする必要があったのかと。二人の女優の体当たりな演技は見事としかいいようがありませんが、同時にメアリーの名前が傷つけられたような気がしてなりません。
この監督さん、前の作品もそうでしたが同性愛を描くのが好きなんでしょうか?誤解しないでいただきたいのですが、それは決して悪いことではありませんし、もしメアリーがレズビアンだったという証拠があったのなら何の問題もありません!
映画『アンモナイトの目覚め』2021年4月9日から順次全国ロードショー!
参考:
*1 https://www.historyextra.com/period/victorian/ammonite-film-movie-mary-anning-real-history-historical-accuracy-lesbian-relationship-charlotte-murchison/
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