映画『 37セカンズ 』Netflixで観ました!あらすじ、キャスト、感想

2020年5月1日

「37セカンズ」

映画『37セカンズ』は、第69回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門で観客賞と国際アートシアター連盟賞をダブル受賞。それに加え、HIKARI監督もGWFF新人監督賞にノミネートされた作品!

いろいろなところで評判は聞いていたので海外在住者としてはNetflixでの配信を待っての鑑賞となりましたが、ひさびさに心揺さぶられる映画となりました。そして、それと同時にコロナ禍で気持ちが落ち込んでいましたが、この映画から元気をもらいました。

実話ではないのですが、主役ユマを演じているのは、ご自身も役柄と同じ先天性脳性まひを持っている佳山明(メイ)さんです。ここでは、映画のあらすじ、キャスト、そして観た感想などを含めてご紹介します。(ネタバレなしです)

写真出典:『37セカンズ』公式サイト

『37セカンズ』作品情報

題名:37セカンズ

公開年:2019年

監督:HIKARI

出演:佳山明、神野三鈴、大東駿介、渡辺真起子、板谷由夏、芋生悠、渋川清彦、尾美としのり
上映時間:115分

映倫区分: PG12

映画『 37セカンズ 』あらすじ

出生時にたった37秒呼吸が止まってしまったために脳性まひとなってしまったユマ。過保護な母親の元で従姉妹の漫画家のゴーストライターをしながら、ひっそりと生活をしていた。

ある日、自分の作品を世に出したいと思い、アダルト漫画雑誌編集社に作品を持ち込むが、編集長に「経験がない者が描くものはリアリティにかける」と言われてしまい、自分の安全領域から一歩を踏み出すユマ。その一歩が彼女の人生を変えていくのであった。


(C)37 Seconds filmpartners

映画『37セカンズ』キャスト

映画『 37セカンズ 』の主なキャストをご紹介します。

佳山明(役:貴田夢馬・愛称:ユマ)

「37セカンズ」
写真出典:『37セカンズ』公式サイト

先天性脳性まひの主人公ユマを演じるのは本作品が演技初挑戦となる佳山明(メイ)。自身も出生時に脳性まひとなり、電動車いすで1人暮らしをしている。約100人の応募者の中からオーディションでHIKARI監督に見出され主役に抜擢。

神野三鈴(役:ユマの母)

「37セカンズ」神野三鈴
写真出典:『37セカンズ』公式サイト

ユマを守りたいがために過保護になり、彼女が生きがいとなってしまっているシングルマザーを演じるのは、神野三鈴。
三谷幸喜や栗山民也演出の多くの舞台に出演。井上ひさしの戯曲には必ずと言っていいほど出演しており、2012年『桜の園』、『組曲虐殺 』で第47回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。近年では、2019年映画『MANRIKI』そして、齊藤工が監督したオムニバスドラマ『TATAMI 』などがある。

板谷由夏(役:アダルト漫画雑誌編集長 藤本)

「37セカンズ」板谷由夏
写真出典:『37セカンズ』公式サイト

ユマが作品を持ち込んだアダルト漫画雑誌編集長を演じるのは板谷由夏。
19歳からモデルとして活躍、1999年に映画『avec mon mari』で女優デビューし、ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。同年『パーフェクトラブ!』でドラマデビューし、その後は数多くのドラマ、映画に出演し大活躍。最近では、2018年『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の芹香役、そして2019年『 マチネの終わりに』にも出演。

大東駿介(役名:介護士の俊哉)

「37セカンズ」大東駿介
写真出典:『37セカンズ』公式サイト

介護士としてユマにそっと寄り添う俊哉を演じるのは、大阪府出身の34歳大東駿介。
2005年にテレビドラマ『野ブタ。をプロデュース』でデビュー。以後多彩な役を演じられる名脇役となった。2010年にバイク事故で重症を負い、当時出演中のドラマ『タンブリング』の最終回に出演できなかった。それ以後は精力的にさまざまな役に挑戦しドラマ・映画・舞台と活躍中。

渡辺真起子(役名:舞)

「37セカンズ」渡辺真紀子
写真出典:『37セカンズ』公式サイト

本作品では、ユマとひょんなことから友人となる娼婦役を演じてます。
モデルとして数々の雑誌、また、リクルート社「とらばーゆ」などのCMで活躍後、1988年森田芳光の『バカヤロー! 私、怒ってます』にて女優デビュー。以後、映画・舞台・TV・CMなど幅広く活躍。
1999年『M/OTHER』で第14回高崎映画祭主演女優賞を受賞。2013年『チチを撮りに』では、第7回アジアン・フィルム・アワードにて日本映画で初めて最優秀助演女優賞、同年の第35回ヨコハマ映画祭では助演女優賞を受賞。

映画『 37セカンズ 』感想

「37セカンズ」
写真出典:『37セカンズ』公式サイト

映画の題名「37セカンズ」は、ユマが生まれるときに呼吸が止まっていた時間。
そのために脳性まひになってしまい電動車いすで生活している。母親は、ユマの身の回りのこと全ての面倒を見ながら人形作家として家計を支えるシングルマザー。

映画の冒頭では、ユマの母親がお風呂にユマを入れる際に服などを全て脱がしてあげていたので、視聴者としては、かなり重い脳性まひなのだ、と思ったのですが、ユマはほとんどの身の回りのことは自分でできる、という事実。そこからも母親の過保護ぶりがすぐにうかがえます。

従姉妹の人気漫画家のゴーストライターをつとめているが、自分の名前でデビューしたいと思い作品を送ります。しかし、当たり前ですが、作風が従姉妹のものに似ていると言われ却下。そこで、ある日ふと目にしたアダルト漫画雑誌に投稿しようと思いたつ。そこで出会うのが、板谷由夏さん演じるアダルト漫画雑誌の編集長。

この役がお話のキーだったように思います。
板谷演じる編集長が、車椅子で明らかに障害をもっているユマに対して「セックスしたことある?」と聞き、ユマがないと答えると「あー、だからリアリティにかけるんだよねー。経験したらまた来てね」とズバズバと失礼なことを言います。

しかし、よく考えると、彼女はアダルト漫画雑誌の編集長なのですから、当たり前の発言なんですよね。
ある意味、ユマを障害者としてみていないからこそ言える発言。きっと、健常者障害者に関わらず、作家の作品がリアリティにかける、と思ったら同じことを言うそういうキャラクターなのです。

ここで考えさせられました。

何が障害者にとって嬉しいのか?
ユマの母親のように、障害者を過保護に世話するのは間違いなのか?

映画の途中からは、ユマが買った男性の娼婦、障害者をお客さんに持つ娼婦、その障害者の介護士、などいろいろな人に出会う中で、ユマは自分がしたいことを見つけ、一歩一歩進み始めます。

観ていて気持ちよかったのは、登場人物の全てがユマを障害者としてというより、ユマを1人の人間として接していたところ。現実はこうはいかないでしょう・・・実際のところ、私は障害者に接すると、当たり障りのない発言をしようとするし、時にはどうして接していいか分からず見て見ぬふりをする、という感じになってしまうと思います。しかし、登場人物は皆、ユマを健常者と変わらず扱ったように思います。

ユマは色々な人と出会う中でユマの中で何かが変わっていきます。過保護な母親を振り切るかのように家を飛び出し、自分がしたいこと、自分が知りたいこと、に介護士の俊哉の力を借りて突き進みます。

この映画は、障害を抱える人たちの生活や、彼らが向き合う日常の困難、そして、障害者が本当はどんなことを考えているのか、を考えるきっかけになるお話だったと思います。しかし、私はそれ以上のメッセージがあったのでは、と思います。

誰もがマイノリティー

実は、健常者といわれる人たちも、多くの悩みを抱えていてある意味マイノリティだったりします。
例えば、両親を早くに亡くした子供、結婚してない人、結婚して子供がいない人、高校卒業してない人、大学卒業してない人、両親の死に目に会えなかった人。それぞれの環境によって、そして世の基準によって誰もがマイノリティだったりします。

障害者が抱える困難とは比べ物にならないのかもしれないけど、そんな世の中で、常に虚無感を感じている私たちにとって、ユマのこのひと夏のお話にとても元気づけられました。

「37セカンズ」
写真出典:『37セカンズ』公式サイト

母親のたくさんの愛情という心地良い場所を飛び出して、危険かもしれない未知の世界へ飛び出していったユマ。そしてそれを体当たりで演じた明さん。
母親役を演じた神野三鈴さんが映画の会見で「この映画は明ちゃんの冒険旅行」と言ってましたが、まさしくその通りかもしれません。

障害者と性

そして、ユマが大人になるにつれて、避けては通れない性のお話。
ユマがひょんなことから知り合う障害者の男性を演じているのは、熊篠慶彦さん。ご自身も出生時より脳性まひをもっていらっしゃるのですが、特定非営利活動法人ノアールを運営し身体障害者の性に関する支援や啓発活動などをされています。彼の実話に基づく映画『パーフェクト・レボリューション』が2017年に作られ、リリー・フランキーが熊篠役を演じました。

母の愛

脇を固める役者陣も良かった。特に母親役を演じた神野三鈴。
重いほどの母親の愛。ただただ、ユマの人生は私が背負うという意思と愛情がそこにあったように思います。

ユマの自立をこばむというより、成長して羽ばたいていく彼女を心配するがあまりに過保護になってしまう。そして、それが彼女の母親としての今までの生き方だったのだから仕方がないですよね。これは、障害があるないに関わらず全ての母親が通る道なのではないでしょうか。映画を観ている途中で亡くなった両親を思い出し涙が止まらなくなりました。

まとめ

コロナウイルス感染拡大に伴う未曾有の世の中。不安なことだらけで気分が落ち込んでいましたが、映画『 37セカンズ 』を見終わって、ユマ、そしてユマを演じた明さんから、「何にも怖がることないよ。その一歩を踏み出してごらん」というメッセージをもらったような気持ちになりました。

映画『 37セカンズ 』観て良かった。本当にありがとう。Netflixでご覧になれます。