『英国王のスピーチ』感動の実話!あなたが知らなかった国王の苦悩 あらすじと感想

2019年6月6日

イギリス皇室のハリー王子とミーガン妃の間にめでたく男の子が生まれたそうです。ぱちぱちぱち~!日本も新しい天皇が即位されましたし、ちょっとしたロイヤルファミリーブームなので、それらのニュースにふさわしい?!映画『英国王のスピーチ』のご紹介です。

この映画は史実に基づいたものです。実在したイギリス国王ジョージ6世は物心付いた頃から吃音に悩まされており、公務に支障をきたしていたのですが、そんな彼の苦悩や孤独に寄り添ったスピーチセラピスト・ライオネルとの友情を美しく描いた感動的なお話で、現在のクィーンエリザベス2世(ジョージ6世はエリザベス2世のお父さんにあたります。)も大満足したほど!

めちゃくちゃおススメの映画ですので、あらすじと感想、そしてキャストや映画のトリビア情報もご紹介しちゃいます。

『英国王のスピーチ』作品情報

原題:The King’s Speech

公開年:2010年

監督:トム・フーパー

出演:コリン・ファース(ジョージ6世)
ジェフリー・ラッシュ(ライオネル・ローグ)
ヘレナ・ボナム・カーター(エリザベス)
ガイ・ピアース(エドワード8世)

上映時間:118分

映倫区分:G

2010年に公開された歴史ドラマ映画で、コリン・ファースが吃音症に悩まされていたジョージ6世を、そしてジェフリー・ラッシュがオーストラリア人の言語療法士を演じました。

こういう歴史ドラマは色あせることがありません。第83回アカデミー賞では作品賞など4部門を受賞しました。

『英国王のスピーチ』あらすじ

父親のジョージ5世が亡くなった後に兄のエドワード8世が国王継承を放棄した為、1936年に国王に即位したジョージ6世であったが、彼は物心付いた頃から吃音に悩まされていた。

イギリスは第2世界大戦を前に国民の士気を高めるためにも国王のリーダーシップを必要としていたが、吃音症が治るわけもなく王位継承評議会での宣誓は悲惨なものであり、それを聞いていた聴衆も政治家たちも落胆せざるを得なかった。

そんな折、妻エリザベスが評判を聞きつけて言語療法士ライオネル・ローグのもとに国王を行かせるが、そのユニークな治療法に最初はとまどい治療を諦めるも、治療を介してライオネルの人柄に触れ友情と信頼関係を築いた国王はやがて障害を克服し、1939年9月3日第2次世界大戦開戦にあたっては、国民を鼓舞する見事なスピーチを披露した。


©2011年 The King’s Speech

『英国王のスピーチ』キャスト

ここでは、主なキャストとその役の紹介をします。

コリン・ファース(ジョージ6世)

ジョージ6世は、現在のエリザベス女王の父親にあたる。本来ならば2位継承だったが、兄のエドワード8世が離婚歴のあるアメリカ人女性ウォリス・シンプソンとの結婚を望み、それを議会が宗教的・政治的理由から国王に即位したままの結婚は不可能と決断した為、エドワード8世は王位の地位を放棄し、ジョージ6世が即位した。

ジョージ6世の吃音の原因はいくつか挙げられており、ナニーによる虐待、幼少期に左利きを右利きに矯正されたこと、またX脚を直す為に矯正具を着用させられていたがかなり痛みを伴ったらしくそれらがトラウマになったという説がある。

ジョージ6世を演じたコリン・ファースは、映画ファンだったら知らない人はいないかと思いますが、軽くご紹介。
コリン・ファースと言えば一番有名なのは、テレビドラマシリーズの『高慢と偏見』のミスター・ダーシー、映画では近年では『ブリジット・ジョーンズの日記』マーク・ダーシー、『キングスマン』ハリー・ハートが有名ですね。

ジェフリー・ラッシュ(ライオネル・ローグ)

ジョージ6世の言語療法士ライオネル・ローグは、実在した人物。
言語療法士としてのキャリアはオーストラリアのパースで始まり、言語療法士としてトレーニングを受けた後に、スピーチレッスンや演技の発音指導、パブリックスピーキングなどのレッスンを主にしていた。
第一次世界大戦後、戦争から帰還した多くの兵士たちが失語症に苦しんでいるのを目にし、自ら独自の治療法をあゆみだした。

1924年にイギリスに移りスピーチセラピストとして活動し始める。ライオネルは、1930年~1940年にかけてジョージ6世の治療に関わり、戴冠式、そして第2次世界大戦中の大英帝国としての国王の音声放送などをアシストした。ジョージ6世とライオネルの友情は、ジョージ6世が他界するまで続いた。

オーストラリア人俳優のジェフリー・ラッシュは、1996年公開の『シャイン』でアカデミー主演男優賞を受賞し一躍有名になりました。その後も、2004年に『ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方』でエミー賞主演男優賞を受賞。さらに2009年に舞台『瀕死の王』でトニー賞主演男優賞を受賞したことで、アカデミー賞、エミー賞、トニー賞3賞の受賞者を意味するTriple Crown of Actingの24人中のひとりとなりました。

ヘレナ・ボナム=カーター(エリザベス妃 )

現イギリスの女王エリザベス2世の母親にあたるのがジョージ6世の妻・エリザベス妃。
エリザベスは夫をサポートし決してあからさまに前面に出ることはないものの、様々な公務を引き受け、そのエリザベスの柔和な笑顔に国民は慕うようになっていった。

1936年に夫のジョージ6世が予期せず国王になったことからエリザベスは女王となった。以後第2次世界大戦前には、夫に随行しフランス、北米などの公務をこなした。戦時中も、エリザベスの凛とした姿勢がイギリス国民の士気を高めたとされている。ジョージ6世が他界しエリザベスは51歳で未亡人となり、長女のエリザベスが女王になった後もエリザベスクィーンマザーという愛称のもと国民の高い支持を受けた。次女のマーガレットが亡くなった7週間後に101歳で他界する。

ヘレナ・ボナム=カーターは、父親は銀行の頭取、曽祖父は第一次世界大戦時の首相といった由緒ある家庭に生まれ、ケンブリッジに合格するほどの才女ですが、女優の道を選び『レディ・ジェーン/愛と運命のふたり』、『眺めのいい部屋』で国際的に注目を集めます。

日本で一気に名前が広がった作品と言えば、ジョニーディップ主演の『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』で、人肉パイを作るラヴェット夫人の演技でゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネートされました。この作品の監督ティム・バートンとは事実婚状態で2人の子供をもうけており、ティムの作品にも数多く出演しています。

『英国王のスピーチ』感想

2010年の公開時に映画館で友人と観た後に、もう一度観たくなったのと、夫に観てもらいたくてDVDを購入し、その後はもう何度観たか分からないほど繰り返しこの映画を観ました。

本作品はハリウッド映画にあるような華やかさは一切ありません。ロイヤル関連のお話と言えば、バッキンガムパレスに華やかなドレス、といったイメージをもたれるかもしれませんが、お話は第2時世界大戦前から戦時中におよびますし、またジョージ6世の苦悩を表現する為に、実際の撮影には様々なタイプのレンズを使ったり、霧の夜明けシーンを入れるなどして、彼の精神のねじれや歪みのようなものを表現したそうなので、映像は全面的に落ち着いた雰囲気です。

この作品のメインフォーカスは、ジョージ6世が一人の人間として吃音という困難に自ら立ち向かい障害を克服する姿と、かつ国王であるが為に孤独である姿、そしてそれを支えようとする言語療法士ライオネルと育む友情でしょう。

それに、話の中にはエドワード8世の女性関係による王の地位の放棄とジョージ6世の即位、第2次世界大戦などの史実も含みますので、緊張感も髄所に感じます。特に王が地位を放棄してその弟が即位、というのは理由が理由だっただけにかなりスキャンダラスだったらしく、とにかく早くジョージ6世を即位させるべきだ、という慌しい雰囲気をとても上手に表現していたと思います。

さて、少しネタバレになりますが、ジョージ6世がライオネルに会う前に数々の治療を試みたそうですが、それが酷い・・・(^^;;

タバコは肺をリラックスさせるので、吸うべきだ、とか、ビー玉7つを口の中に一度に入れることで息がしやすくなる、とか・・・それ拷問でしょ、っていう方法を用いて吃音を直そうとしていたんですよね~。酷すぎる・・・

それに比べて、ライオネルは、吃音は生れつきのものではなく、パブリックスピーキングや幼少期の精神的なトラウマによるものだという考えを持っていたのです。

ライオネル・ローグ↓
ライオネル・ローグ
写真出典:Wikipedia

治療法は、ジョージ6世とエリザベスが希望したのでフィジカルエクササイズなども治療法の一部に入れたらしいですが、根本的なものは過去に起こった何かトラウマのようなことにより話す能力がブロックされている、という治療方針だったそうです。

そして、コリン・ファースの演技も素晴らしく、ジョージ6世の国王としての風格やしゃべり方を完璧に再現していました!

その上に、国王のパブリックスピーチに対する恐怖、吃音に対するフラストレーションや恥ずかしいという自身の思いなど、ジョージ6世を人間として表現できていたからこそ、観ている私たちは共感できたのでしょう。

でも、それだけだったら何度も観るほどの映画にはならなかっただろうと思います。良かったのはユーモアです。

国王とライオネルのやりとりや、妻のエリザベスが身分をあかさずライオネルの元をたずねるシーン、そして、ライオネルの家に国王とエリザベスが訪ねて行った時のライオネルの妻の驚きようなど、とってもユーモアに描かれていて映画に明るい弾みがついていたからこそ、118分飽きることなくリズム良く楽しめたのだと思います。

特にエリザベスを演じたヘレナ・ボナム=カーターは良かった!クィーンマザーのちょっと腰を引いた感じの特徴ある動作を完璧にコピーしてました!つくづく、面白い役奇抜な役もすれば、こういう役も上手に出来るヘレナ・ボナム=カーターに脱帽です。

この映画、観終わった後はすがすがしい気分になったんですよね~。

私にはパニック障害の友人がいるので、ジョージ6世の苦悩に共感出来、私の友人も障害を克服するんだ!という気持ちになれて、元気をもらったような気がして泣けてしまいました。

先日、雅子様が皇后様におなりになった姿を動画で拝見しましたが、一度は適応障害と診断されたのに今は数々の儀式に少し笑みを浮かべながらリラックスされた様子で公務を遂行されている姿に思わず涙が出るほど感動してしまいましたが、その時の気持ちと少し似ているのかも知れません。

また、一人の民間人・言語療法士のライオネルと、周りの反対の中(言語療法士は医者ではなかった為、国王の治療をすることはふさわしくないと言う人たちがいたそうです)、自分自身で彼の性格を判断し友情を育んだジョージ6世の人柄にもとても好感が持てます。

現エリザベス女王もこの映画を観て大満足されたそうです。お墨付きですので、ぜひAmazonプライムでご家族でご覧になって下さいね~。

『英国王のスピーチ』トリビア情報

  • 兄であるエドワード8世が、離婚暦のあるシンプソン婦人との結婚を望んだことにより国王の責務を放棄したので、当時は「王冠を賭けた恋」としてスキャンダラスなニュースとして世間を騒がせた。ちなみにこの婦人は、男性との噂にこと欠かないかなり破天荒な女性だったよう。
  • 作品の中で療法士のライオネルのアドバイスにより、ジョージ6世が凝り固まった体やストレスをリリースする為に下品な言葉Fワードなどを大きな声で発するというシーンがあるのですが、イギリスではBBFC(イギリスの映倫評議会)によってR-15(15歳以上)に指定されてしまったのですが、監督の反発により12A(大人との同伴に限り12才未満でも鑑賞可能)となった。ちなみに日本では映倫区分はG(誰でもOK)。
  • この作品のように実在する人物を映画で表現する場合、脚色が入ってしまうのは当たり前で、実際映画の中でライオネルが療法士と患者という堅苦しい関係をなくしジョージ6世をリラックスさせる意味で彼に向かって「バーティ」(国王の正式な名前は、アルバート・フレデリック・アーサー・ジョージなので、ファーストネームのアルバートの省略型でバーティ)と話中では呼ぶのですが、ライオネルの子孫たちはライオネルは一度たりとも国王をバーティと呼んだことはないはず、彼はそういう人物ではないと発言している。
  • 実際にライオネルの息子バレンタインは父親が保管していたジョージ6世の治療記録を保有している。また、ライオネルの孫に当たるマーク・ローグも父の遺品の中に祖父ライオネルとジョージ6世との往復書簡を見つけたとのことで、その事実が撮影の9週間前に分かりその往復書簡をもとに脚本を書き直した。その治療記録は、ジョージ6世の妻エリザベスから彼女の存命中の公表を拒まれたため、彼女の死後に映画の製作が始まった。

参考:Wikipedia “The King’s Speech"