映画『クーリエ:最高機密の運び屋』あらすじ、キャスト、ネタバレ感想 カンバーバッチが激痩せ!?

映画『クーリエ:最高機密の運び屋』

ベネディクト・カンバーバッチ主演の映画『クーリエ:最高機密の運び屋』を視聴しました~!史実を元にした映画ということで、歴史オタクの私としては、とっても楽しみにしていた映画です。

ここでは、映画『クーリエ:最高機密の運び屋』のあらすじ、キャストの紹介、ネタバレ感想、そして、史実とどこが違うのか?などを解説したいと思います!

映画『クーリエ:最高機密の運び屋』作品情報

原題:The Courier

公開年:2020年

監督:ドミニク・クック

脚本:トム・オコナー

出演:ベネディクト・カンバーバッチ、メラーブ・ニニッゼ、レイチェル・ブロズナハン、ジェシー・バックリー

上映時間:151分

配給:キノフィルムズ

映倫区分:G

映画『クーリエ:最高機密の運び屋』あらすじ

平凡なイギリス人セールスマン、グレヴィル・ウィンは、アメリカの中央情報局CIAとイギリスの秘密情報部MI6によってソ連が企てている核戦争を回避するためにリクルートされる。グレヴィルは、ソ連軍参謀本部情報総局GRUの高官ペンコフスキーが入手したソ連のミサイル機密情報を受け取り西側へと運ぶ”クーリエ”となる。

映画『クーリエ:最高機密の運び屋』キャスト

ベネディクト・カンバーバッチ(役名:グレヴィル・ウィン)

役柄:妻と息子を持つ平凡なイギリス人。セールスマンとして東欧へビジネストリップを頻繁にしていたことからMI6によってリクルートされる。


イギリスのインテリ俳優ベネディクト・カンバーバッチ。映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』やBBCテレビ「SHERLOCK」など数々の大ヒット作に関わってきましたが、今回のグレヴィル役はまさに身を削って役に取り組んだ作品です。

私生活では舞台監督の女性と結婚し、2男のお父さんでもあります。また、イギリスのレスター国立大学の研究により、15世紀のイングランド王・リチャード3世と血が繋がっている、ということが判明しております。どうりで気品あるお顔立ちです♪

 

メラーブ・ニニッゼ(役名:ペンコフスキー)

役柄:ソ連軍参謀本部情報総局の高官。グレヴィルにソ連の機密情報を流すスパイ。


ジョージア出身の役者さんで現在55歳。ジョージア内戦の際にウィーンに移住。主にロシアやイギリスの作品に多く出演している役者さんです。ドラマ「HOMELAND」など。

 

レイチェル・ブロズナハン(役名:エミリー・ドノヴァン)

役柄:グレヴィルをリクルートするMI6のオフィサー。


日本ではあまり知られていない女優さんですが、Netflixの人気テレビドラマ「ハウス・オブ・カード」のレイチェル・ポスナー役でエミー賞にノミネート。また、Amazonプライムのコメディドラマ「マーベラス・ミセス・メイゼル」では主演をゲットしゴールデングローブ賞女優賞、エミー賞主演女優賞を受賞しています。

映画『クーリエ:最高機密の運び屋』ネタバレ感想

1962年のキューバ危機を題材にした作品で、平凡なサラリーマンがただ「東欧へ頻繁にビジネストリップをしていた」というだけで知り合いのMI6のオフィサーにリクルートされ、核戦争を回避させるためにスパイ活動をした、という何ともワクワクするお話。

特にそれが実在した人物なのですから、正直私としてはジェイムス・ボンドより一般人からスパイになったグレヴィル・ウィンという人物に興味が沸いてきてしまいました。

そして、そのグレヴィルを演じるのが映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』で暗号の解読に成功し、連合国軍の勝利に貢献したイギリスの数学者という実在する人物を演じたベネディクト・カンバーバッチ

当たり前のことかもしれませんが、歴史もので実在する人物であっても、映画ですので史実は脚色されており、これで「キューバ危機」を学ぶというわけには行きませんが、学ぶきっかけには十分なりえますね。

まず「キューバ危機」の基本的知識があると映画への理解がグッと深まり、もっと映画に入り込みやすくなると思いますので、ちょーーー簡単にご説明します♪

キューバ危機とは

第2次世界大戦では同盟国だったアメリカとソ連が、戦後東欧諸国への勢力拡大を巡って当時対立していました。アメリカの偵察機U2がキューバにてソ連がミサイル基地を建設していることを発見。それを受けてアメリカが海上封鎖を敢行し、キューバをソ連から隔離したことでソ連側がミサイル撤去に同意し、戦争を回避できた・・・という一連の13日間を「キューバ危機」と言います。*1

映画では、ソ連がキューバにミサイル基地を建設している情報をMI6側に流していたソ連の高官ペンコフスキーとその情報を受け取りに行っていた、いわゆる「運び屋(クーリエ)」のグレヴィルらのスパイ活動の様子が描かれます。

この二人が何とか核戦争を回避させようと自分の危険を顧みずに行動するわけですが、社会主義のソ連では日常的に盗聴が行われるのは当たり前。そんな中でスパイ活動をするわけですから、目に付きづらい一介のセールスマンのグレヴィルがリクルートされたというわけです。

ワクワクから緊張感へ!

初めてグレヴィルがソ連に行きペンコフスキーと接触した時は、危険というよりワクワク感が強かったですが、ある日グレヴィルのホテルの一室に誰が入った形跡を見つけると、緊張感はピークに!

その後、グレヴィルの安全を確保するためにMI6オフィサーはグレヴィルの任務を解任します。やっと平凡な日々に戻ったかと思いきや・・・

 

*ここからネタバレになります!

 

ペンコフスキーとグレヴィルの友情

ペンコフスキーのスパイ活動がバレたかも・・・という情報がグレヴィルの元に入り、彼をソ連から脱出させるために、その情報を届けに周りの反対を押し切ってグレヴィルはソ連に舞い戻るわけです。

しかし、MI6のオフィサーの言う通り!KGBを甘くみては行けなかったですね~。ペンコフスキーの家は捜査され、スパイ機器などが見つかると即KGBに連行されます。そして、グレヴィルもブタペスト空港で逮捕。

この後の描写がエグイ・・・かなりダークです。
身体的拷問はもちろん、魚の目玉が入った超まずそうなスープを数日間出された後に、目の前にご馳走を付きつけ白状させよう・・・という精神的拷問を受けます。

カンバーバッチ、激痩せ!

そ・し・て、まともな食事が与えられて無いペンコフスキーは、激痩せします!!あまりにもカンバーバッチが痩せていたので、目を疑い、これってCG?と思ったほど。

トリビア情報になりますが、カンバーバッチは、この役のためになんと10キロの減量をしたそうです!*2

最後にKGBは二人を対面させその会話の様子を盗聴するわけですが、二人はそれは承知済み。ペンコフスキーもグレヴィルも決して口を割らずグレヴィルは最後まで「運び屋」だったを通したわけです。

この時の二人の迫真の演技は涙ものです。

ペンコフスキーにグレヴィルが「あなたが戦争を回避したのだ!」と讃える場面があるのですが、ペンコフスキーがしたことは多くの命を救った、あなたのやったことに価値がある、とグレヴィルは自分が運び屋だったことを認めてしまうことになるにも関わらず、この後に処刑されるであろうペンコフスキーに投げかけた彼の優しさに感動しましたね。

こんな友情・絆があったら、それだけで生きてきた価値があるし、人生悔いはない、と思えるものです。

二人が本当に「キューバ危機」を救ったのか?

映画のお話と史実比べをしてしまうと、せっかく感動したのにそれが半減!という人もいるかもしれませんので、この先を読むかどうかはそれぞれご判断下さい。

冒頭でも述べたように、二人は映画の中のようなスパイ活動を行っていたのは事実で、ペンコフスキーは裁判後に死刑執行され、グレヴィルも有罪となり8年間の禁固刑を言い渡されました。

その後、グレヴィルは健康状態の悪化のため、スパイの交換を条件に無事イギリスに帰国します。*3

ただ二人が本当に「キューバ危機」を救ったのか?

それは、多くの文献が、彼らが逮捕されたのと「キューバ危機」の時期が偶然にも重なった、という言い方をしています。*3

確かに、キューバに建設中だった核ミサイル情報をペンコフスキーはグレヴィルに流していたのかもしれません。そして、アメリカは彼らが運んできた情報で初めて核ミサイル基地の事を知ったのかもしれません。

なので、こればかりは神のみぞ知る、といった感じでしょうか。

それにしてもグレヴィルとカンバーバッチの容姿がそっくり!

まとめ

映画を見終わった後も、あのガリガリに痩せたカンバーバッチの姿が頭から離れませんでした~。それだけのことをしてこの役に望んだカンバーバッチの狂気たる映画に対する意気込みに敬意を表したいと思います。

スパイ映画にありがちなドンパチ銃撃戦などの派手な演出はありませんが、役者陣の素晴らしい演技に1962年の緊迫した世界に簡単にタイムスリップ出来てしまうこと間違いなしです。

おススメです!

映画『クーリエ:最高機密の運び屋』は、2021年9月23日(木曜日)秋分の日に全国随時ロードショー!

 

スパイモノがお好きな方は映画『スパイの妻』あらすじ、ネタバレ感想&解釈!ロケ地はどこ?もチェックしてみてくださいね♪

 

参考:
*1 https://history.state.gov/milestones/1961-1968/cuban-missile-crisis
*2 https://www.insider.com/benedict-cumberbatch-weight-loss-movie-the-courier-emotionally-physically-vulnerable-2021-3
*3 https://en.wikipedia.org/wiki/Greville_Wynne